コンゴ民主共和国でクーデター未遂があった。首謀者はアメリカに拠点を置く野党組織でアメリカ国籍の3名が含まれていた。アメリカの国家的関与はないものとみられるが反乱の規模が大きいため支援者の有無などの詳細は不明な状態である。首謀者は既に亡くなっている。バイデン大統領の声明などは出ていない。
ロイター通信が伝える。
- 首謀者(米国を拠点とするコンゴ人政治家クリスチャン・マランガ氏)は殺害された
- 米国人3人を含む約50人が逮捕(アメリカ人の1名はマランガ氏の幼い息子)
- チセケディ大統領の公邸を武装集団が襲撃
- 議会の次期議長と目されていたビタル・カメルヘ副首相・経済相の邸宅も襲撃
- キンシャサから発射された砲弾が隣国コンゴ共和国のブラザビルを直撃し数人が負傷
アルジャジーラは事件の背後にどのような人物がいたのかについて分析している。アメリカの国家的関与を裏付ける報道はなくあくまでもアメリカに拠点を置いたコンゴ人政治家による犯罪という位置づけになっている。逮捕者の1名は幼い息子だが1名は「cannabis entrepreneur」だそうだ。大麻起業家ということになる。
Photos released on social media show the seized passport of another US national, Benjamin Zalman-Polun, who was allegedly involved in the Sunday attack. In a 2022 article in Africa Intelligence, Zalman-Polun is identified as a “cannabis entrepreneur” and a business associate of Malanga.
クリスチャン・マランガ氏は幼い頃にアメリカに亡命したがコンゴに戻り軍での勤務経験もある。議会選挙に立候補したが拘束されアメリカに戻りUCPという政党を立ち上げていた。
アルジャジーラの報道を読む限り
- 非常に大規模な反乱であり背後に支援者がいたのではないかと思わせるが
- 軍事行動は極めて稚拙で重要拠点を制圧せず真っ直ぐ標的に向かって突進していった
という状態になっている。
つまり、外国の支援者が体制を転覆させようとしたのかならず者の集団がなにも考えずに政敵に突進していったのかがよくわからない状況になっているようだ。アフリカでは軍が中心となったクーデターが頻発しておりその後にロシアと接近する事件が頻繁に起きている。最近アメリカはニジェールからの撤退を決めたばかりだ。今回のクーデター騒ぎではそのような構造は確認されておらず従って専門家も「首を捻っている」状態なのだという。
一般にコンゴと呼ばれる国は二つある。二つの都市はコンゴ川を挟んで向かい合っている。
- 旧フランス領コンゴ(ブラザビル)
- 旧ベルギー領コンゴ(キンシャサ)
今回のコンゴはもともとベルギー王の私領だった。ダイヤモンドなどの鉱物資源に恵まれた土地で略奪が激しかった。今も天然資源頼みの経済構成になっており利権をめぐり政治的な情勢は安定しない。かつてはコンゴ(キンシャサ)などと呼ばれていたが、その後ザイールと国名を変え、再びコンゴに戻した。北にあるコンゴとの混同を避けるために日本語ではコンゴ民主共和国と呼ばれ英語ではDRCと表記されている。
1998年8月から2003年7月まで第二次コンゴ戦争が行われWikipediaによると8つの周辺諸国と少なくとも25の武装勢力が関係していたとのことである。この戦争が解決してからも国内情勢は安定しておらず資源を巡る争いが続いているようだ。