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ガンツ氏が戦時内閣離脱へ 6月8日までに返答がなければ……

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イスラエルの状況が不安定化している。つい先日ガラント国防大臣が「ネタニヤフ首相はガザの戦後体制に対して明確な答えを準備していない」と反発していたが、今度はガンツ氏が「6月8日までに返答がなければ戦時内閣を離脱する」と表明した。つまりついに締切が設定されたことにになる。

ネタニヤフ首相は今の所「断固拒否の姿勢を崩していないことからこのままで行くとネタニヤフ首相と極右・超正統派が孤立したまま暴走する危険性が出てきた。

の姿勢を崩していないことからこのままで行くとネタニヤフ首相と極右・超正統派が孤立したまま暴走する危険性が出てきた。

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The Time of Israelは今回の動きを次のように伝えている。

Should Netanyahu choose “the national interest over the personal, in the footsteps of Herzl, Ben Gurion, Begin and Rabin,” National Unity will be a partner, Gantz said, providing Netanyahu a political lifeline.

個人的な動機よりも国家のことを優先してきた先人たちの例を挙げたうえで、ネタニヤフ氏が極右を切って自分達(National Unity)と協力すれば「彼の政治家としての生命は維持されるだろう」と言っている。つまり「先人たちのように歴史に名前が残せる」ということになる。裏返せば「自分達と協力しないならば氏の政治生命は終わりであり歴史的評価も地に堕ちるだろう」ということになる。もはや選挙や議会外闘争による「宣戦布告宣言」と言っても良い強い調子の言葉だ。

ネタニヤフ氏の当面の返答は「イスラエル前国防相、ガザ計画を求め離脱示唆 首相府は拒否」である。つまり政敵であるガンツ氏とは協力せず極右・超正統派と運命を共にすることを選択した。The Time of Israelによると極右・超正統派はガンツ氏の提案に対して猛反発しており状況はほぼ決裂である。

今回の離反劇には異なる見方がある。希望的観測を持っている人は「おそらくガンツ氏側に勝算があったから勝負に出たのだろう」と考える。アメリカサイドからこの問題を見ている人は希望的に考える傾向にある。

アメリカ合衆国の支援が入りガンツ・ガラント氏を中心とした政権ができれば、ガザ地区の状況は改善されバイデン大統領も大統領選挙の懸案材料を一つ片付けることができる。おそらくガザ地区の状況も今よりはマシになるはずだ。現在サリバン報道官がイスラエル入りし今後の対応策を協議している。ネタニヤフ首相らと協議しラファへの攻撃を行わないように働きかける意向だ。

しかし、アメリカ主導で勝算があるシナリオが提示されているという希望的仮説を支持する報道はない。アメリカが蚊帳の外に置かれネタニヤフ氏とガンツ氏の間で次期政権をめぐる政争が始まってしまったと仮定することもできる。この場合はガンツ氏なしで体制が維持されることになる。Bloombergは次のように書いている。

ハマスによる攻撃でイスラエルが大きな打撃を受け、ガザでの過酷な戦争に突入してから7カ月がたち、ネタニヤフ首相に対して既に圧力が高まっている。3人で構成する戦時内閣メンバーの1人であるガンツ氏が離脱すれば、首相への圧力はさらに強まりそうだ。ただ連立与党は議会(定数120)の64議席を占めており、それだけで政権が崩壊することはないとみられる。

イスラエルには内閣と戦時内閣がある。確かにガンツ氏が撤退すると戦時内閣は崩壊するのだがこれだけで内閣が崩壊することにはならない。むしろ、これまでアメリカや西側の希望だったガンツ氏やガラント氏が閣外に出てしまうと、そのままグリップが効かなくなり暴走する可能性が出てくる。

別のエントリーで書いたようにライシ大統領と外務大臣の乗せたヘリコプターが行方不明になっておりイランと西側世界をつないでいた外交的なパイプが途絶する可能性が出てきている。ここでイスラエルの状況が不安定化すると現地の情勢がどうなっているのかや今後どうなるのかがわからなくなり不安定化が加速する。

最後の望みは「そうはいってもイスラエルはこの手の騒動を何度も乗り越えてきた」のだから「今回も何とかなるのではないか」というものだ。これ以上に希望的観測は持てそうにない。

なお、イスラエル軍は既に事実上ラファへの侵攻を始めており人口の半数にあたる80万人が域外に脱出したと伝えられている。とはいえ他に逃げたところで食料や安全な休息場所があるわけではない。アメリカが設置した臨時の埠頭からは支援物資が運び込まれているが略奪も起きており十分に支援が行き届いているという状況ではないようである。

状況が複雑な上に何の救いもない状況が続いているため、日本ではイスラエル・ガザ情勢そのものが伝えられることが少なくなっている。

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