時事通信の世論調査の結果が出た。政権支持率が微増している。ゴールデンウィーク直後には「ネガティブな報道が抑制された結果として支持率が回復したのではないか」と言われたがおそらくそうではないことがわかった。
では、岸田政権はこのまま存続するのか?ということになるのだが、必ずしもそうとはいいきれない。どうやら国民は政治に飽きているようである。
だが考えてみれば「国民が政治に飽きているか」を図った調査はない。
時事通信の最新の世論調査は次のとおり。不支持が減っているがそれがそのまま支持に流れているわけでもないというのがポイントになる。
時事通信が10~13日に実施した5月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は発足以来最低だった前月から2.1ポイント増え、18.7%だった。不支持率は前月比3.8ポイント減の55.6%で、「分からない」は25.8%だった。
さらに政権についても聞いている。こちらはなぜか政権交代を期待する人が増えているが、これは他の調査(確かJNNだったと思う)でも見られた傾向だ。
- 「政権交代を期待する」との回答は43.9%
- 「自民党中心の政権継続を期待する」の33.2%
- 「分からない」は22.9%
仮に政権への支持が戻っており支持率が回復しているのであれば政権交代を期待する人が増えるはずはない。つまり、この2つは矛盾することになる。だが仮に「政治なんかどうでもいい」人が増えたと考えるとこの結果は整合する。
何事も積極的に憎み続けるのはかなりしんどい作業だ。岸田総理は安倍総理のように次々に嫌われる燃料を投下するようなキャラではない。だから、継続的に岸田政権に反発し続ける人はよほど政治が好きな人だろう。
立憲民主党と維新は「自民党の政治と金の問題」でできるだけ自民党のことを憎んでもらおうという作戦を打ち出している。だが、有権者が一般的持っている「積極的に嫌うほど政治に興味があるわけでもない」という態度は織り込んでおくべきだろう。
自分達の生活が大きく崩れることがなければ政治に関心を持たないというのが現在の有権者の姿なのではないかと思うが、世論調査は「有権者は政治に関心を持っている」という前提で組み立てられており有権者の熱気を図る調査はない。また世論調査のような形で聞かれると「もちろん政治に興味を持っています」と答える人が多いはずだ。「別にどうでもいい」と対面調査などで答えるのはかなり勇気がいる。大人として怠惰だとは見られたくないからだ。
自民党政権には飽きていて「もうそろそろ別の政党でもいいのかな」くらいに思っている人が多いとすれば「自分は政治に参加するつもりはないが政権交代が起きるんだったらまあそれはそれでアリなんじゃないの?」と考えている人が増えているだけなのかもしれない。
岸田総理の顔を見たくない、もううんざりだという人はそれほど多くない。一方でもう飽きたから9月の総裁選で変わってほしいと考える人は増えている。すぐに総裁選があるのだからその時にいなくなってもらいたいというのが最も多数派の意見だ。
無党派層がそれほど政治に関心を持っていないと仮定するとおそらく支持基盤を固めたほうが勝てるということになる。どっちみち興味のない人は選挙にはいかない。
岸田総理は自民党の党員数を増やすように指示を出しており、岸田派(解散したはずなのだが)の幹部たちとも「密かに」会っている。彼らが支持基盤を固めることができれば熱狂なき選挙では自民党の負けは最低限で済むのかもしれない。
現在は岸田総理に変わる新しいビジョンを提示する自民党のリーダーが出ていない。仮に岸田総理になんとなくうんざりしている人が多いのならば、表紙さえ変われば満足ということになる。つまり自民党を救うにはおそらく岸田総理が総裁選を諦めた上で新しいリーダーに変わってから選挙をやるのがベストということになる。
なんとなくそんなことでいいのか?と大演説を行いたくなるが各種調査を見る限りはかなり緩い感じでなんとなく飽きられているというような前提を置いたほうが全体をすんなりとまとめることができる。