アメリカ合衆国というと多様性と人権の国であるという印象を持つ人が多いのではないかと思うのだが、実際にはかなり強い揺り戻しが起きている。スーパーボールのスター選手が卒業式のスピーチで「女は家庭に入るのが幸せ」と主張し議論を呼んでいる。たまたま口を滑らせたわけではなく持論だった。
- トランプ氏の裁判の様子。マイケル・コーエン氏にCross Examination(反対尋問)が行われる。コーエン氏の信憑性を貶めるための作戦。裁判は終盤に近づいており最終弁論は火曜日に行われる予定。
- 春の嵐。テキサス州ヒューストン近くで洪水が起きているほか各地で被害が出ている。
- スーパーボールチャンピオンの卒業式の演説が物議。カトリック系の学校で女性の学生は妻であり母になるのが良いと発言。またLGBTQも神の道に反すると主張した。NFLはスピーチは個人的なものでありNFLの包摂性擁護精神とは関係がないと声明。
- バイデン大統領が機密文書持ち出しの調書録音の公表に対して大統領特権を使いブロック。調書の中で「記憶に問題がある老人」と指摘されていた。共和党は公表に向けてさらに働きかける予定。バイデン氏が高齢で大統領にふさわしくないという印象を与えることが狙いだろう。
- ブラック・ライブ・マターの運動家を射殺して25年の刑に処されていた受刑者にテキサス州知事が恩赦(perdon)を与える。正当防衛を主張していた。
- ABCニュースのレポーターがゼレンスキー大統領へのインタビューに成功。ウクライナの状況は厳しものになっているとの認識を示した。アメリカ人の税金が使われているがという質問に対しては、お金はアメリカの軍事産業に使わており自分達が受け取っているのは武器だけであると説明した。また、パトリオット・ミサイルシステムが必要であると具体的に言及。
- スロバキアの首相が襲撃された事件の犯人は単独犯だった。
- ガザ地区にアメリカ人が移動式の埠頭を建設。ガザ地区に食料を運び込むために1800フィート(550メートル程度)の長さがある。アメリカ軍はガザ地区には入らないため支援配布には国連の協力が必要。北部ガザでは5人のイスラエル兵が殺された。
- Consumer Financial Protection Bureauに裁判所の判断。議会を通じずFRBから直接経済的援助を受けることの是非が議論になっていた。
- オハイオ州で家が爆発し父親と娘が亡くなる。近隣住民(良きサマリア人)が母親と息子を助ける。
- WNBAにおけるケイトリン・クラーク選手の活躍。
- 34年間陸上勤めたジョーさんというコーチの引退のために在籍・卒業の学生たちが再結集。
スーパーボールのスターであるバッカー氏の発言はその時の思いつきという程度のものではなく最近の強硬派共和党の主張に沿ったものになっている。女性は家庭に入るのが良いと主張しただけでなく、中絶やLGBTを声高に批判している。VOXによるとバッカー氏はこの主張を繰り返しているそうだ。民主党のエマニュエル駐日大使のような多様性擁護がアメリカンスタンダードだと考えている人がこの発言を聞くとおそらくかなりびっくりするのではないかと思う。
Consumer Financial Protection Bureauは消費者金融保護局でも訳すのだろうか。もはや「早くてよくわからないので後で調べよう」というあきらめモードになっている。
2008年の金融危機の後で金融業界の「消費者虐待」的な行動を監視するために消費者金融保護局というものが作られた。金融機関にとっては目の上のたんこぶになっておりこれを潰したい。そこで議会を迂回してFRBから直接資金を回すやり方が「憲法違反なのではないか」という理屈で裁判が起こされた。保守派の判事2名は規制に反対の意見を出している。
ABCはこの決定を「民主党とバイデン政権にとっての勝利」と評価している。アメリカではビジネスの自由を制限すべきでないとする自由主義的な考え方と健全な資本主義を守るためにはある種の政府の規制が必要だとする考え方の対立がある。
一方でクレジットカードの延滞料にキャップをかけるべきであるというバイデン政権の主張は裁判所からブロックされている。