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イスラエル情勢に動き 対ハマス交渉がほぼ決裂しCIA長官はカタールと協議へ

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連休最終日でありおそらく誰も政治ニュースなど読まないだろう。のんびりと改憲議論でも観察しようかと思っていたのだがイスラエル情勢がかなり緊迫してきたので簡単にまとめておくことにした。おそらく多くの日本人が騒ぐのは実際に武力攻撃が起きた時でこの時に「すわ第三次世界大戦だ」などと叫んでその後は数日で忘れてしまうのではないかと思う。

イスラエルとハマスの間の溝が埋まらず交渉はほぼ決裂したようだ。イスラエル側はハマスが要求に応じなければ1週間以内にラファを攻撃するといっている。これまで何度も危機はあったので「これで一巻の終わりです、第三次世界大戦です」などと主張するつもりはないが「最後にはどうにかなるだろう」という感じでもない。

さらにこの情勢はアメリカでも政治問題となりつつある。状況がわからない日本人にとってはこれが最も不思議な点ではないだろうか。

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まず、イスラエルがアラブ系メディアのアルジャジーラを閉鎖した。民主主義国という体裁になっているためメディアの閉鎖は異例である。イスラエルの内閣と戦時内閣は民主主義の破壊に一歩踏み込んだことになる。イスラエル側はアルジャジーラはハマスの宣伝機関だと主張するが、イスラエル国内からアルジャジーラのWebの閲覧を禁止するのではないかと言われているそうだ。よほど国民に見せたくないものがあるのだろう。

このままでは仲介国としての機能が果たせないとしていたカタールだがイラン・イスラエル情勢が落ち着いたことで依然仲介機能を果たしている。これはいいニュースだ。

交渉そのものはカイロで行われている。何らかの動きがあったようだ。CIAのバーンズ長官がカタール首相らと会談するためにドーハに向かった。次善策を協議するものとみられる。ハマスの代表団もカタールに戻った。ハマスの代表団には声明を出す権限がないようだが「ネタニヤフ首相が和平を妨害している」と主張している。今回の会談が始まる時には前向きな気持ちで交渉に臨むといっていたが望みは叶わなかった。

イスラエル側ではベン=グビル氏など内閣を構成する極右が停戦に反対していたようだ。結果的にネタニヤフ首相はハマスの要求には応じないとする声明をだした。さらにハマスが要求に応じないならラファを攻撃すると主張している。アメリカ合衆国は事前通告と相談なしにラファに踏み込まないように牽制しているが、どの程度の実効力があるかは見通せない。

そんな中、イスラエルに一瞬緊張が走った。アメリカ合衆国が弾薬の提供を遅らせているとAxiosが伝えている。Axiosはイスラエル高官らのサウンディングの窓口になっておりイスラエルが「恒久停戦を前提とした会談を考慮している」と伝えたのと同じルートでの報道となった。経緯だけを見るとネタニヤフ政権は「停戦をちらつかせて人質を解放してもらえばあとはどうにでもなる」と考えていたのかもしれない。イスラエル内部でも人質解放を求める動きが加速しネタニヤフ政権に強い圧力がかかっていた。

The Time of Israelはのちに「Axiosの報道は一時的な弾薬供給の遅れを意味しているだけ」だったと伝えている。イスラエル国民がアメリカの意向を気にしていることがわかる。

この間の流れはThe Time of Israelが1日の動きとしてジャーナル化しているが日本語では共同通信が単発の記事をいくつか出している。

アメリカは卒業式シーズンだがアメリカの大学では反イスラエルデモが沈静化していない。ウォール・ストリートジャーナルはこのまま民主党大会に突入すればGenocide Joeという批判が民主党大会にこだましかねないと懸念している。これは1968年のベトナム戦争当時の悪夢の再来となる。1968年は「豚を大統領候補に指名しろ」などと息巻く人もおり州兵が出る大混乱となったそうだ

このためホワイトハウスは「交渉の見通しは楽観的である」と発表し続けている。

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