アメリカでは親イスラエル・親パレスチナのデモ隊が激しく衝突している。外からの侵入を防ぐためにジャーナリストたちの立ち入りも制限されているという。そんな中で唯一の希望となっているのが学生ジャーナリストたちだ。逮捕されたり暴行を加えらたりする危険と隣り合わせだが、それでもアメリカが掲げてきた自由を守るための戦いを続けている。
危機にあり混乱が続くアメリカだが危機に対するresilienceも高い。
イスラエルのガザにおける戦争に反対するデモや抗議活動が過激化している。連日お伝えしているように大人たちの保身が抗議活動を過激化させているのだが、アメリカに根深くある有色人種の被害者感情に接続しているため学外の運動と接続するとさらに拡大しかねない。そこで学校側は外からの流入を厳しく制限している。
CNNによるとコロンビア大学では記者が取材を妨害されたと訴える。ジャーナリストなのかそれとも外から騒ぎを持ち込もうとしているのかが区別できないという事情はあるが、それでもピューリッツア賞を運営しているコロンビア大学でジャーナリストの立ち入りが制限されるとは全体未聞という気がする。カリフォルニア北部では地元記者が拘束・逮捕されているという。
UCLAは学生以外の立ち入りを厳しく制限しており学生記者だけが内部を取材できる。学生記者たちの中には暴行を受け負傷するものも現れた。だが、デイリーブルーインは怯むことなくUCLAはでも参加者の暴力に加担していると学校側を批判し続けている。
CNNがこのような記事を書く背景には各地で奮闘している学生を含むジャーナリストたちを支援したいという気持ちもあるのかもしれない。
ジャーナリストたちの話を総合すると、学校側は単なる治安維持のためにジャーナリストたちを排除しているわけではなさそうだ。
そもそも今回の問題はイスラエル問題だった。これがアメリカ国内で燻る人種対立と接続したアメリカに騒ぎが転移する。学校側はこれを抑えることができずアメリカ政治の介入を招いた。つまり学校にとってこれは不名誉な失敗の印なのである。これを世界に晒したくないという気持ちがあって当然であろうが隠すこともまた「恥」を増長する。
イアン・ブレマー氏は今回の件で「誰も見たくない」と書いている。つまり抵抗している側もそれを抑えようとする側もトクはしない。つまりこの争いには勝者はいない。この風景を見た外国の人たちは漠然と「アメリカは揺らいでいる」という印象を持つだろう。
だが、それでもアメリカの学生とジャーナリストたちが「アメリカの自由を守ろう」と協調している姿にはアメリカ独特の力強さを感じる。記者クラブジャーナリズムに堕落した日本のメディアが同じ状況に晒された時「所詮アマチュア」である学生たちと協調できるのか。サラリーマン記者たちが本気で体制と立ち向かうことができるのか。どうしても考えてしまう。やはり日米のジャーナリズムの質と層の厚さには雲泥の差がある。ある意味この危機に対するresilience(回復力・反発力)もまた健全さの指標といえるのかもしれない。
肝心のガザ情勢だが、現在アメリカが「寛大な提案」をハマスに持ちかけている。ハマスは前向きな検討を約束しているが、イスラエル側の極右閣僚たちが「徹底抗戦」を主張している。ネタニヤフ首相が極右閣僚に負けてラファ侵攻に踏み切れば交渉は破綻するだろうとカタールは警告している。
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