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岸田総理の主張の根拠が崩れる中、最後の望みはデフレ脱却宣言

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大河ドラマ「光る君へ」をみている。京の都に疫病が流行するが朝廷には打ち手がない。そこで関白殿が考えたのが「改元」だった。ところが新しい元号の長徳は「長い毒(ちょうどく)」に通じるため「関白殿は物事の是非が判断できなくなった」などと参議たちが囁きあう。とはいえ参議たちにも打開策は見出せない。そんなシーンが展開していた。

現在の岸田政権もそんな状況にあるようだ。岸田総理政権下の日本は円安から来る物価高に苦しめられている。この気分を変えるために「デフレ脱却宣言を出す」という案が浮上しているそうだ。それくらいしか打開策が見出せないほど政権は何もしてこなかったし今後もその考えを改めるつもりはなさそうだ。

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OECDが世界経済の成長見通しを発表した。成長見通しは引き上げられたが日本は個人消費の伸び悩みと投資の弱さが響き1.0%成長から0.5%成長に引き下げられたと時事通信は書いている。

冷静に考えてみれば岸田政権は経済状況改善の具体的政策をなんら実行していない。アメリカや世界経済の風を受けてエンジンのないヨットのように漂い続けているだけだ。OECDは2025年には復調するのではないかとみているそうだ。

今回の円安の直接の原因はアベノミクスである。赤の女王仮説という仮説がある。現状を維持するためには少しずつ前進していなければならないという仮説だ。アベノミクスは金利を下げ財政ファイナンスで国民負担を先送りするという政策だった。これが結果的に「少しづづ前進」する動機と活力を奪った。

しかしながら、今そこにある危機を解消するために「まずアベノミクスを総括しろ」などと言ってもなんの役にも立たない。とにかく何か手を打つべきだ。

ところがここに別の問題が浮上する。

アベノミクスの元で問題を先送りしている間に自民党はすっかり経済政策を立案する力を失ってしまっている。全員参加型の「民主的な」合議体になっているため、今経済対策を考え始めるとそれぞれの議員が「自分達を支持してくれる団体に利権を回して欲しい」というような予算獲得合戦が始まるだけだろう。

仮に補正予算審議や選挙用の政策立案が始まったとしても新型コロナ対策のために岸田政調会長が苦労したのと同じ状況が生まれる。選挙に負けて総裁再選が怪しくなった岸田総理が利権に群がる自民党議員たちを抑えて政策をまとめることができるとはとても思えない。政調会長時代にもできていなかったのだ。

加えて「明日にでも解散するかもしれない」という不確実性だけが岸田総理の最後の武器になっている。選挙に向けた政策の取りまとめが始まれば「選挙対策」という理解が広まるだろう。政権交代の可能性を意識する議員たちも多いことから岸田おろしが吹きかねない。

一体どうするのだろうか?と思ったのだが、時事通信が「デフレ脱却宣言を出すのではないか」と伝えている。

周辺によると、首相は4指標が改善基調にあり、賃上げも広がりつつあるとして、デフレ脱却宣言に意欲を示している。政府関係者は「政権の成果をアピールできる」と首相の狙いを説明。衆院3補欠選挙で示された政権批判を和らげたいとの計算ものぞく。

もはや実効的な対策は打ち出せないのだからとりあえず宣言を出して時代の切り替わりを演出したいという気持ちは平安朝の時代からあまり変わっていないようだ。

こうなるとそろそろ自民党の中にどのようなアイディアを持ったリーダー候補がいるのかを見てみたい気がする。あるいは新しい政策を持っている人もいるかもしれないのだが岸田総理が総裁選に出ると言っている以上彼らも下手に動くことはできない。

OECDが2024年の経済見通しを引き下げたことで岸田総理の「自分の元で日本経済は確実に成長している」という根拠は崩れたが。あとは自民党の誰かがそれに代わる経済政策を持っているのかを見極めた上で、それもなければいよいよ政権交代ということになるのかもしれない。

光る君へでは描かれていなかったが病は天然痘だと言われているようだ。改元には効果がなく公家役人ともにかなりの犠牲者がでたと歴史家は書き残している。

長徳に改元とされても流行は収束せず、関白に就任して12日しか経たない藤原道兼も死亡した。その後も五位以上の官人のうち69人が死亡し、六位以下の官人・僧侶で死亡したものは数え切れないほどだったという。

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