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救済はなかった ドル円157円も植田総裁は「物価高には影響がない」と冷淡な発言

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お昼頃の為替変動を見て「あ、植田さんは何もしないんだ」と思った。

政策決定会合後の植田総裁の会見ではハト派的な姿勢と円安による物価高の影響に対して冷淡で突き放したものだったとロイター通信がまとめている。

庶民生活は大きな犠牲を強いられるが国家運営に携わる人たちにとっては政府の借金を国民生活に転移させているという意識なのだろう。統治者目線では国民への負債転移はむしろ正解といえるが、国民経済が経済成長を牽引する構造の非資源国家の日本にとっては亡国の道である。

だが、有権者はそもそも政治について語る場を持たない。だから、目の前で何が起きているのかがわからない。このままの無知な状態が続けば、政府の借金を何らかの形で押し付けられることになりそうだ。

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日銀の政策会合が終わった。一時は150円でも高すぎるとされていたがあっさりと155円ラインを突破しついに157円までドルが上昇した。一時154円までドルが急落し「介入か」との観測が飛び交った。だが、これは何かに怯えて野鳥が一斉に飛び立つような現象に過ぎなかったようだ。すぐに円安基調に回復したそうである。つまり当初期待されていた介入はなかったのだ。

ちなみに今は157円と書いているがこの記事を書いている時点では157.9円になっている。つまりリリースした後に158円になる可能性もある。単なるジョークと思われていた160円が現実のものになるかもしれない。

ロイターは日銀総裁の会見を「ハト派姿勢が目立つ一方で円安が物価高に与える影響については突き放した言い方が多かった」と分析している。冷淡さについては植田総裁に批判が集まりそうだ。だが彼のアポインティは岸田総理なのだから政権に歩調を合わせていればいい。特に国民の人気や支持率を気にする必要はないのだろう。

実は政府にとって円安は都合がいい。輸出産業は業績アップが期待できる。また円の価値が暴落し通貨の価値が下がればインフレが進み政府の借金は縮小する。さらにブラケットクリープ調整をしなければ税収が自然に上がる。

円安は輸入に頼る国民生活に負債を転移する政策と言えるため政府は円安を通じて政府負担を国民に転移することができる。

だがこれもアベノミクスの熱狂的な支援で国民が勝ち取った「成果」といえる。安倍総理には熱心な支持者が多く「政府はいくらでも借金してもいい」などと嘯いていた。当然のことながらフリーランチなどあり得ないがそもそも安倍政権の支持者にそんな難しいことを理解できる人はいない。無知も統治の有効なツールになる。

貧困対策は日銀の仕事ではない。政府の財務担当者にとっても円安は他人事である。だが政府・与党にもおそらく当事者意識はない。鈴木財務大臣は「日米の金利差が縮小しません、困ったものですな」などと国会答弁している。

イエレン財務長官は為替介入には懐疑的であり、岸田政権は政治的リスクを負ってまで為替介入には踏み切らないのかもしれない。

つまり、今の円安は「起こるべくして起きている」当然の結果と言える。だが不幸なことに日本の有権者にはこうした情報は伝わらない。テレビや新聞を探しても今の円安についての真剣な議論はない。せいぜい海外旅行に行けなくて困りましたねとか、外貨ショップには昔の旅行の余剰米ドルを持ち込む人が増えています程度の情報しかない。

さらに片山さつき氏のように「クーポンを配って何かポイントでも付与すればそれで満足なんだろう」という政治家もいる。片山さんも利上げには慎重という姿勢なので円安基調は維持されることになる。だがおそらく有権者はクーポンやポイントなどの直接配分先以上のことは理解できないだろうという気持ちがあるのだろう。

有権者が声を上げない限り「国家統治」優先の冷淡な政策は続くのだろうが、そもそもこうした問題について平熱で語ることができる場所がオンラインにもオフラインにもないのが日本の現状だ。無知と結束のなさを背景にした状況は有権者が態度を変えない限り温存されることとなるだろう。

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