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イスラエルのイラン攻撃の総評(2/3)状況を制御できなかったアメリカ合衆国と破綻したバイデン大統領の戦略

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イスラエルがイランなどを攻撃した。すわ第三次世界大戦かという情報も飛び交ったのだが、結果的にはイランが「警報装置が作動しただけでダメージはなかった」と宣言したことで沈静化に向かっている。エントリーをいくつかに分けてそれぞれの国の立場から報道を整理する。このエントリーではアメリカについて分析する。アメリカの物語は崩壊したがそれを無かったことにして前進しようとしている。

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今回、すわ第三次世界大戦という報道が飛び交ったのはなぜだったのか。それはアメリカが十分に根回しをできなかったからである。アメリカ中心の平和という幻想が破壊されたと言って良いがおそらく先進国はそれを見なかったことにせざるを得ないだろう。日本を含め各国とも「アメリカなき平和」というビジョンを国民に提供できない。特にロシアからの脅威にさらされるNATO加盟国は難しい立場に立たされたと言って良いのかもしれない。彼らは今後独自の安全保障体制の構築を加速させるだろう。

今回の報道はイランとイスラエルメディアの報道から始まっている。これが世界的なニュースに格上げされたのはホワイトハウスに太いパイプを持つABCのマーサ・ラダッツ氏というベテラン記者が「アメリカ政府がイスラエルの関与を認めた」と報道したからである。のちに報復直前の事前報告だったことがわかっている。「核施設は攻撃しない」という通達だったそうようだが、イスラエルはアメリカが制止するだろうことを織り込んでいたからこそ事前通告にしたのだ。

タイミングは微妙だった。アメリカ合衆国は事前に攻撃が行われるとしてもそれは過越際の後であり攻撃は限定的なものになるであろうと宣伝していた。まず、この報道が無惨に打ち砕かれることとなった。さらにアメリカは単なる暴走の支援者であってイスラエルの政権には影響を与えていないことも露呈してしまった。

ユダヤ系の支援者に期待するバイデン大統領の「答え」はイスラエル擁護と決まっており、バイデン政権はそれに合わせた「事実」を組み立てている。その「事実」はイスラエルは悪の専制主義国家イランに狙われる一方的な被害者であるという前提の元に組み立てられている。そして、アメリカはイスラエルの有力な支援者なのだからイスラエルを完全にコントロールできると続く。

だが今回のイスラエルの攻撃の詳細をアメリカ合衆国が事前に知らされていなかったのは明らかだ。今回の攻撃を伝えるライブ放送で、ABCのキャスターが盛んに知りたがっていた点が2つある。

アメリカが報復に関与していないことと、アメリカの誰がイスラエルの誰とコミュニケーションをしているのかという2点だった。前者には明確な答えがあった。アメリカは関与していなかった。だが、後者について記者たちは明確な答えは持ち合わせていなかった。だからこそ「これは第三次世界大戦の始まりなのか?」という問いが飛び誰もそれを否定できなかったのである。

その後国務長官は「アメリカはいかなる対イラン作戦にも関与していない」との弁明に終始した。その後、緊張緩和に向けた努力をしていると付け加えたがその言葉は虚しく響くだけだ。

まず、アメリカはイスラエルの暴走を止められていない。また、パレスチナの国連加盟ブロックの前提になっているイスラエルとパレスチナの当事者間の話し合いからはカタールが降りかけている。

日本はアメリカの提示する正解に抱きつく以外の選択肢しかない。イスラエルの関与が明らかになってなお、林官房長官は「イスラエルの関与が明らかになっていないから」という理由で記者たちの質問にまともに応えなかった。マスメディアは日本の意向を取材するのではなくアメリカのホワイトハウスに記者を送るべきだろう。

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