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「ネタニヤフの泥沼」に引っ張り込まれるバイデン大統領とそれに引っ張り込まれる岸田総理大臣

日本は不幸な時に不幸な総理大臣を選んでしまったようだ。

岸田総理が日本を泥沼に引き込むかもしれない。NBCが「ネタニヤフ首相がバイデン大統領を泥沼に引っ張り込もうとしている」と書いている。岸田総理はBe with you=「バイデン大統領のそばにいる」と裏打ちのない約束をしておりバイデン大統領が泥沼に引っ張り込まれると自動的に引っ張り込まれることになる。

今後何が起きるかはバイデン大統領次第だが、場合によっては極めて支持率が低い首相が日本国民に対して予算と自衛隊の支援を要請することになるだろう。

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NBCの記事は「Biden officials worry that Israeli response to Iran’s attack may trigger wider war」というタイトルになっている。バイデン高官は心配しているという意味だ。何を心配しているのか。

バイデン大統領は表面上はイスラエルへのコミットメントを表明しているものの、ネタニヤフ首相がワシントンをより広範囲な紛争に引っ張り込もうとしていると心配している。

ソースは匿名の3名でありNBCは消息筋ながら複数の確認をとったことになる。

President Joe Biden, who has publicly reinforced his administration’s “ironclad” commitment to Israel’s defense, has privately expressed concern that Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu is trying to drag Washington into a broader conflict, according to three people familiar with his comments.

さらにNBCは識者のコメントとして「バイデン大統領はもう一つの破局的な戦争に向けてSleepwalkingしている」と指摘する。寝ながら歩くという表現は日本語では「夢遊病」などと訳される。元々はガザ地区の紛争だったものがいつの間にか中東戦争危機に転じつつあるというのだ。ふらふらと危機に吸い込まれてゆく様子がよくわかる。

“The strategy of the Biden administration has failed miserably. Biden is sleepwalking the U.S. into another catastrophic war in the Middle East. His overarching goal of preventing the war in Gaza from escalating into neighboring countries has failed,” Gerges said. “Biden has failed to influence Netanyahu’s decisions either in Gaza or towards Iran.”

先ほど出した別のエントリーでは「すわ第三次世界大戦か」と書いた。

だがこれはイスラエルが反撃し、イランが応戦し、ロシアがそれをウクライナの戦争とリンクさせてはじめて生じるシナリオであり実際に懸念されのはanother catastrophic war in the Middle Eastということになる。つまり新しい破局的な中東戦争だ。

バイデン大統領はコロナ禍で信用を過剰供給し現在の悪性インフレの要因を作っている。だが仮に中東戦争が起きれば石油の価格もさらに高騰する。すでにXではこれを指摘する人がいる。

1970年代に起きた第四次中東戦争は原油高を招いたがその後もイランとイラクの間は緊張し続けていた。このエネルギー供給問題はアメリカに高いインフレを引き起こす。FRBのボルカー議長が「ボルカーショック」と呼ばれる乱暴な手段でこれを抑制するまで10年間もアメリカはインフレを制御できなかった。

また日本でもこの時に高いインフレが起きている。第4次中東戦争の時の経済混乱は「オイルショック」と呼ばれる。オイルショック=トイレットペーパーが街から消えた事件として記憶・認識している人が多いかもしれない。SNSのなかった時代の消費者はパニックに陥った。

誰も戦争は望んでいない。だが、ネタニヤフ政権はそうではない。ネタニヤフ首相が身の安全を守るためには戦争の継続以外に道はない。このためアメリカをこの泥沼に引っ張り込もうとしている。また限られた人数で意思決定をしている戦時内閣が集団思考に陥らず正しい判断ができているかはもう誰にもわからない。ただそうでないことを祈るばかりである。

バイデン大統領はそのことをよく知っているが、それでも最終的にはネタニヤフ首相に泥沼に引き摺り込まれてしまう可能性がある。

岸田総理は訪米で「be with you」宣言をおこなっており、議会に対して何があってもアメリカについてゆくと宣言してしまった。タイミングが極めて悪い。

一生懸命に英語スピーチの練習をしている時には全く気がついていなかったのだろうが、それは今や「戦争になっても何が起きてもとにかくあなたについてゆきます」という宣言になってしまっている。

岸田総理は支持率が低いからこそアメリカとの関係を利用しようとしたのだろう。日本にとってアメリカは揺るぎない大国でありその支援を取り付けることは歴代政権にとって極めて重要なテーマだ。

だが、このまま岸田政権の想定を超えて事態が進行すると、低い支持率の岸田総理が「私はアメリカに支援を約束してしまいました。どうかアメリカを支えるためのお金を出してください。自衛隊も派遣させてください」と要請することになるのかもしれない。

無条件の白紙協力手形を提出している以上、岸田総理がどのような約束をさせられるかはバイデン大統領の今後にかかっている。本来ならば難しい状況にある時に嫌なことでも言えるのがパートナーなのだろう。だがジョー・フミオの関係がどのようなものなのか日本国民が知ることはできない。政治と金の問題を解決できなかった自民党政権が岸田総理を止められるかもよくわからないということになる。

依然「管理戦争派」の人たちはアメリカが最終的にはイスラエルを抑止できると考えている。特にアメリカの政局を見ている人は政府閉鎖などの脅しが最終的に回避されてきたという状況を何度も目撃しているためこのような状況に慣れているといってよい。

つまり今回も「単に騒いでいるだけ」である可能性はある。だがこれはあくまでも選挙を戦争に例えた状況判断であり、イスラエルの政権トップがどのようなメンタリティを持っているかを保証するものではないという点には留意しておいた方がいい。問題は我々日本人がこうした流動的な状況に主体的な選択肢を一切持たないという点にある。

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