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自民党執行部「処分を調整」に感じる違和感の正体

4月4日に自民党の執行部が安倍派と二階派の処分を発表する。渡米を前にして政治と金の問題の幕引きを図ろうとしているのだろう。個人的にはこの問題に対する関心は薄れていて「処分が決まってから発表してくれればいいから」と言う気持ちになっている。

そんな中で気になったフレーズがあった。メディアが「処分を調整」と書いている。普通「処分」と「調整」と言う言葉は並べて使わないだろうと感じた。最終的にこの違和感は田崎史郎氏の解説で解消する。おそらく岸田総理の責任逃れだろうと言う。

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通常の企業の場合、なんらかの基準を決めた上で調査をしてその調査の内容に基づいて処分を決める。仮に基準が曖昧なままで処分をしてしまうとのちに人事に不都合が生じる。不透明な基準による処分は残った人たちの士気に影響するだろう。処分はそれ自体が目的ではない組織に「こう言うことはやってはいけない」と言うコードを示すと言う目的がある。

だが、自民党にはすでにこのようなコード意識は失われている。だからこれは違和感の正体としては若干弱いのかなと感じた。

そもそも一体、誰が誰と何を目的にして「調整」をするのかがさっぱり見えてこない。

NHKの記事は次のようになっている。

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で自民党執行部は安倍派と二階派の39人を処分する方針です。安倍派幹部の塩谷・元文部科学大臣と世耕・前参議院幹事長を今回最も重い離党勧告とする方向で調整しています。

日経新聞はこう書いている。

自民党は派閥の政治資金問題を巡り、安倍派幹部の一部に離党勧告の処分を科す調整に入った。政治資金パーティー収入の還流の継続に関わった議員を最も重い処分にする。処分は離党勧告以外も含めて政治資金収支報告書の不記載が5年間で500万円以上あった議員ら40人規模が対象だ。

そもそも一体誰と誰が何を調整しているのかわからないのでおそらくこれを英訳できる人はいないだろうと感じた。つまりわかったようでよくわからない日本語というわけだ。

Quoraで色々な人に聞いてみた。「おそらくこう言うことなのではないか」とさまざまな意見はでるが核心をついた答えは返ってこなかった。過去の事例と照らし合わせているのだろうと言う人や国民と自民党内のバランスを探っているのだろうと言う意見などがあった。

最終的に「ああこれだ」と思ったのは田崎史郎さんの解説だった。岸田総理は自分一人で決めたと思われたくないため「周囲に相談した」と言う実績を作ろうとしているのではないでしょうか?と言う解説になっていた。つまり、今回の曖昧な処分が恨まれることはわかっていて周囲を巻き込もうとしていると言うことになる。

つまり単なる責任回避だったわけだ。

岸田総理はおそらくご自身では強いリーダーシップを発揮したいと言う気持ちの強い人なのだとは思うだが、いざとなると「誰かに恨まれるのではないか」とか「後々禍根を残すのではないか」と考える傾向があるようだ。今回の「調整」もその一つだったのだと考えると納得ができる。

ただそもそも今回の処分も国民に「なんだこの程度か」と思われたくないという意図から調整が進んできたと言う経緯がある。また世論調査を見ると岸田総理自身を処分すべきだと言う声が強く「調整」が国民に伝わるかは微妙なところであろう。

野党はおそらく今後も全容解明は進んでいないとして証人喚問などを求め続けるだろう。処分が出たからと言ってそれで終わりになるような問題ではなさそうだ。

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