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アメリカの現在は日本の未来? 低所得層がファストフードを食べられなくなっている

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ロイターが「アングル:米ファストフード業界、アプリ利用の割引で低所得層つなぎとめ」という記事を出している。タイトルだけを読むとインフレのせいで低所得者はファストフードしか食べられなくなっていると解釈したくなるが、実はそうではない。低所得者がファストフードを食べられなくなっている。だからつなぎとめが必要なのだ。

これは日本の将来像に重なる。つまり悪性インフレが起きるとついてゆけない人たちが「マクドナルドさえ食べられない」くらい困窮する。実際に何が起きているのか。記事を丁寧に読んでゆく。

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アメリカではインフレが起きている。信用の過剰供給と供給網の制約によるものと思われる。FRBはこの状況を改善すべく利上げを行いQT(量的引き締め策)を実施しているが問題の解決にはしばらくかかるものとみられる。これが前回までの議論だった。今日のテーマは悪性インフレの世界では実際に我々の暮らしがどうなるかである。

低所得者がマクドナルドが食べられなくなる。

全く食べられなくなるわけではなく回数が減る。もともとファストフードレストランは低所得者をターゲットにしている。とにかく安い。だがこれが変わりつつある。

コンサルティング会社のレベニュー・マネジメント・ソリューションズが今年2月に行った調査によると、年収5万ドル以下の低所得者層は約4分の1がファストフードを食べる機会が減ったと回答。約半数がファストカジュアル(ファストフードとカジュアルレストランの中間形態)やフルサービスのレストランに行く回数が減ったと回答した。

ではこうした低所得者の人たちはどれくらいいるのか。人種によってまちまちだが白人層でも2割が低所得状態になっている。少数が困窮しているというわけではない。

米国国勢調査局の最新データからは、22年に年収が3万5000ドル以下の世帯は黒人で約3分の1、白人でも21%に上る。

タイトルだけを見ると「ファストフードレストランも懸命に低所得者の期待に応えようとしている」と考えてしまう。確かにアプリを使ったターゲット販促などは行っているようだが気になる記述もある。低所得者に配慮しなくても価格転嫁はできるため問題にならないというのだ。ファストフードはビジネスであってボランティアではないのだから当然といえば当然だ。

しかし、最近になってファストフード各社は、以前ほど集客に熱心ではなくなっているかもしれない。というのは客足が減っても、値上げが支えとなって売上が安定しているためだ。

こうなるとファストフード店は商品価格を引き上げた上で(それでもお客さんは来てくれる)ターゲットを絞った割引を行えばいいことになる。つまりいつでも安いマクドナルドにありつけるわけではないということだ。このために活用されるのがスマホアプリである。特定の人たちに限定した割引を提案すれば効率的に集客できる。

このようにインフレの効果は人によって異なる。成長から利益を得られる人もいるがそうでない人もいる。今回の話は成長の成果を実感できない人たちの話である。おそらく日本でも同じような状況が起こるだろう。低所得者にとってインフレは悪性のものとなる。

ABCのニュースに「イースターシーズンに合わせてガソリン価格が上昇を続けている」というニュースを見つけた。車社会のアメリカではガソリン価格の値上げは生活に直接影響を与える深刻な問題である。また旅行も控えなければならなくなる。ただし、なぜガソリン価格が上昇するのかはよくわかっていないようで「旅行シーズンで需要が急増したのが原因なのではないか」とされている。つまりこのまま高止まりするのかあるいは沈静化するのかは誰にもわからない。

いずれにせよ、アメリカでは物価が上昇を続け低所得者を中心に生活への不安が高まっている。ただし経済そのものは好調で統計を見る限りは労働市場も好調ということになっている。バイデン政権は「民主党の政権の政策が良かったから経済指標は好調なのだ」と主張するが、おそらくファストフードにすらいけなくなりつつある階層の人たちはその意見には賛同してくれないだろう。

この高まり続ける中・低所得者の不満が大統領選挙に大きな影を落としておりトランプ氏の躍進につながっているのではないかと思う。

冷静になって考えてみると、日本でもすでに同じようなことが起きているのではないだろうか。テレビでは「賃金や株価の上昇はは30年以上ぶり」と喧伝するが、それを実感できないという人も増えている。彼らは野党を支持することはないが日々岸田政権に対する不満を募らせておりSNSで盛んに不満を表明し気に入らない議員たちの落選活動に勤しんでいる。

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