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中国企業のロゴ問題 内閣府は問題を認めず斉藤経済大臣は逃亡

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中国企業のロゴ問題はあまり火がつくことなく一旦終了しそうだ。内閣府は問題を認めることはなく「ハッキング被害にあっていない」から大丈夫だと主張している。一方で斉藤健経済産業大臣はこの問題から逃亡を図っている。高市大臣は対策を訴えるがどの程度主体性を持って取り組んでいるかはよくわからない。さらに言えば岸田総理はこの問題について意見を述べていない。

日本は中国の脅威を軽視しており安全保障上は極めて危険だが、世論の反応は鈍かった。問題についての「抗体」がなく中国の侵入を許しやすい状態になっている。つまり日本は外国からの干渉に対して風邪をひきやすい状態になっている。

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大林ミカ氏が中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴの入った資料を使った問題に進展があった。内閣府だけでなく経済産業省などで資料が使われていたことが判明したのだ。

この問題では国家安全保障に詳しい自民党の小林鷹之氏が「このタスクフォースは政府の正式な見解ではない」と早期離脱を図っていた。経済産業大臣も早期離脱を図りたい考えだ。

一方の高市早苗経済安全保障担当大臣は対策を訴えているがどこまで主体的に対応するかはよくわからない。なんとなく「他人事」としての論評に留まっている。

高市大臣は「他国の干渉などあってはならない」として「速やかな調査」を要求している。だが実際に高市早苗大臣がどこまでこの問題について主体的に関与できるかは示されていない。一方で実際に資料が見つかった経済産業省を所管する斉藤健経済産業大臣は「実態がわかるまで自然エネルギー財団からの意見聴取を控える」との立場を強調した。ただし自分達は意見聴取には呼ばないと言っているだけであり自分達が積極的に調査するとは言っていない。つまりどちらも総括はせず逃げ切りたいのではないかと思う。

内閣府もなぜ大林ミカ氏と自然エネルギー財団がタスクフォースに関わったかを調査しない方針である。すでに自然エネルギー財団の方から離脱の申し入れがあったことを理由に挙げている。自然エネルギー財団と大林ミカ氏は統一教会と同じ腫れ物扱いとなった。

自民党政権のこの曖昧な対応には既視感がある。統一教会は日本からの資産を韓国に簒奪するのは当たり前だという教義を持っている。と同時に我が国の家族観・家庭観を変えようと様々な働きかけをしていたことがわかっている。自民党が十分にこの問題を総括しなかったので今でも統一教会と関わりを持っていたというだけで批判の対象になることがある。盛山文部科学大臣は統一教会との間に政策協定を結んでいたとして国会で追及されていた。

我々と異なる政治体制の中国は民主主義は攻略可能なものであると考える傾向にある。サイバー攻撃を通じて選挙に暴力的な影響を与えることもあれば与野党議員の分断を利用して選挙支援という形で影響を与えようとすることもあると言った具合である。

ところが日本には経済安全保障という抗体はない。代わり中国に対する蔑視感情とリベラルに対する蔑視感情が入り混じった「抗体」がある。一部では、再生可能エネルギーというリベラルな政策に対する感情的な反応があり、それが中国に結びついたことで「中国が日本の電力網を支配しようとしている」という主張につながっている。エコーチェンバーの中では熱心に語られる話題だがその外では「そんな馬鹿な」と冷めた見方になってしまう。これが結果的に世論への浸透を妨げてしまうのだ。

産経新聞は東アジア全体に電力網を作る「スーパーグリット構想」を紹介している。日本がヘゲモニーを握ることができれば問題はないのかもしれないがネットでは「中国が日本の電力を支配しようとしているのでは」などと疑われている。今回の問題はこれに家庭にとって負担となる再エネ賦課金の問題や余剰太陽エネルギーを地方で融通し合う1兆5000億円の大規模送電インフラ構想などについて「一体誰が負担するのだ」「そんなものはやめてしまえ」などと議論になっており、再生エネルギーそのものが攻撃対象となっている。

今回の自然エネルギー財団はもともと野党が反原発・再生エネルギーという形で政策に取り込もうとしたようだ。河野大臣はそれを奪うことで自民党の中で違いを際立たせようとしたのではないかと思われる。つまり与野党対立、与党内対立といった構造を利用して中国の国家戦略であるエネルギー安全保障の簒奪を狙った可能性はは自助できない。ある意味では中国は日本の有権者よりも民主主義をよく理解している。大規模支援者の影響を極めて受けやすく外国の干渉に対して在弱だ。特に自民党政権は政治と金の問題が整理できていないため外国に対する干渉を受けても外から気が付かれにくい。

この問題は、火力発電・原子力発電を推進したい国民民主党の政治利用も始まっている。太陽光発電は天候による変動が大きく既存の電力会社にとっては厄介な存在である。国民民主党は立憲民主党に働きかけて党内にいる「反原発勢力」を取るか「我々を取るか」を選べと持ちかけており彼らの中核的なテーマだ。

一方で環境問題=リベラルという構図もできていてリベラル攻撃の一環としてこの問題を利用しようとする人たちも出てきた。

日本人が持っている硬直的な構造意識が問題をいたずらに複雑にしている。単なる「内輪揉め」と見做されるとおそらく多くの有権者はこの問題を厄介で面倒な他人事と捉えることになるだろう。

さらに言えばアメリカ合衆国でもトランプ政権になれば、経済を武器化して日本に譲歩を迫る可能性がある。日本の硬直的な構造意識はこうした問題に対応できていない。アメリカは安全保障において日本をバックアップする存在と見做されており「武器化」を通じて日本の脅威になるとは考えられていない。

構造を整理すると次のようになる。

  • 政治は経済安全保障に対する主体的な問題意識が低い。
  • またエネルギー問題は与野党内対立・与党内対立の道具となっており中国の浸透を許す可能性も高い。
  • 政治を遠巻きに見ている普通の有権者はおそらくこれを内輪の争いとみなすため大きな政治的アジェンダになりにくい。

結果的に外国からの脅威に対して脆弱になっているわけだが、厄介なことに中国だけでなくアメリカ合衆国も脅威化する可能性がある。中国に対しては蔑視感情に基づく「抗体」が曲がりなりにも存在するが、アメリカに対してはそれすらないという極めて風邪をひきやすい状態になっている。これを防ぐためには普通の市民が普通に政治について語ることができる場が必要だが、そんな場所があると考えない人がほとんどなのではないかと思う。

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