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二階俊博氏に重い処分か? 高まる国民の懲罰感情と祟りにおののく岸田総理

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自民党の政治とカネの問題における二階俊博氏の処分に関して情報が錯綜している。

いったんは重い処分という話が出たものの執行部で話し合うことになった。

国民の懲罰感情は高まり続けている。だが岸田総理はそれに応えることができない。処分された残党は自民党に残り続けて岸田総理に対する怨霊になる。

一旦処分をすると決めたら息の根をとめなければならないが岸田総理にはそれができない。国民から支持されていないからだ。

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自民党の処分は重い順に、除名・離党勧告・党員資格停止・選挙での非公認……と続く。ここまでが重い処分である。これらが重い処分なのは選挙での身分に関わるからだ。以下は国会内の役職の辞任、党の役職停止、戒告、党則の遵守勧告と続くそうだ。つまり自民党では国会内の身分よりも選挙の方が重要視されていることがわかる。

では自民党は何人までであれば党員を失ってもいいのか。

選挙時点では与党は293議席を確保していた。現在は自民党が少し数を減らしていて259+32で291名になっているという。

  • 絶対安定多数(委員会を全部支配でき委員長も介入しなくて済む)は261議席なので29議席減までは許容できる。
  • 安定多数は(委員会を全部支配できる)244議席なので47議席減までは許容できる。
  • 過半数は233議席である。

不記載は衆議院51名・参議院31名だそうだ、全員に離党勧告を出すと委員会の支配権を維持できる安定多数失ってしまう。これは野党に何らかの委員会を明け渡すことを意味する。

それでもかろうじて予算を通せる過半数は残るが公明党(32名)に依存する状態になり政権が不安定になる。防衛装備品の輸出問題や東京都の選挙協力などでさまざまな圧力が生じているため実は公明党も牽制しなければならない状態になっている。国民民主党を取り込むという案もあったが、公明党の反対などでほぼ破断状態になっている。

もちろん、離党勧告・党員資格を停止しても予算案に賛成してもらえる可能性はある。ハプニング解散はかろうじて阻止できるようだ。過半数を失うところまではいかないからである。

だが、状況が不透明になることは間違いがない。だから、最初から岸田総理は離党勧告・党員資格停止などの「極めて重い処分」を下すことはできないことは明白である。

そこで浮上したのが幹部だけを重い処分にし、そのほかの人たちを非公認以下の軽い処分で済ませるというアイディアだった。選挙で安倍派を非公認にして選挙に強い人たちだけを拾い上げることができるため求心力の維持も可能だろう。

だが、ここでも問題が出てきた。安倍派は会長が亡くなっているため象徴的に塩谷立氏を非公認処分にしてしまえばいい。あとは西村前経済産業大臣、下村元文部科学大臣、世耕前参院幹事長にどのような処分を下すかだ。

問題は二階氏だった。バランスをとって二階派の会長である二階氏に重い処分を下すというアイディアが出てきた。

だがSNSのXでは思わぬハレーションが起きた。人々は二階俊博氏を剛腕幹事長と記憶しており「あの二階さんに重い処分が下される」と色めきたったのである。テレビ局(少なくともANNとFNNが報じていた)が二階氏処分の報道をして以降、自民党のトーンは後退した。二階氏に恨まれることを恐れたのだろう。森山総務会長のコメントだ。

「議論が始まる前に結論は分からない。結果を前提として議論するわけではない」と述べた。

岸田総理の勝虞も問題だ。塩谷氏、二階氏を派閥領袖として処分すると宏池会の事実上のトップだった岸田さんはどうなるのだ?という話が必ず出てくる。現時点では「岸田総理は自らの処分に含みを残した」という報道になっている。

執行部は二階氏に恨まれないために岸田総理にも処分を下してバランスを取りたいと考えている可能性がある。また武士の情けで「切腹」を希望していると書くところもある。FNNの報道は「二階さんの方から申し出てくれるのを期待している」と書いている。武士にとって処分されることは恥になる。最後は自分から切腹を申し出てくれればいいのにといっているようなものである。

毎日新聞は二階氏でなく安倍派幹部からの不満を抑える狙いもあるとしている。そもそも自民党は政治とカネの問題について十分な調査をやっていない。つまり実態がよくわかっていないので処分の明確な基準を作ることができない。

一方で国民は高まる負担増の予感に岸田政権に敵意を募らせている。権力者であった二階俊博氏への懲罰感情が高まるのもそのためであろう。自民党政治は自分達をいじめている。だったら自分達と同じくらいの痛みを相手にも与えてやりたい。それが庶民感情なのだ。

この「恨みと怨念」をうまく利用した総理大臣がいる。それが小泉純一郎総理だ。郵政族の利権を切り崩すために郵政民営化を掲げると当然清和会の外からは大きな反発が起きた。

仮に郵政族の人たちを中に残したままにしておけば自民党の中に恨みと祟りが蓄積されることになる。

そこで小泉総理は彼らを抵抗勢力とみなして放逐することにした。自分の政治に反対する人たちには刺客を立てて攻め滅ぼしていった。こうして自民党への恨みを交わし清和会の支配力を強めていったのだ。

だが当時と今では状況が大きく異なっている。

小泉総理は郵政民営化を妨げるものは国民負担を増やしても平気な人たちなのだと主張し郵政族を排除していった。

現代の労働者は働けば働いただけ社会保障費などが「ストーカーのように」上がってゆく時代を生きている。それを主導しているのは宏池会の財政再建派だといううっすらとした理解がある。

国民の支持が期待できた小泉総理と違い岸田総理には国民の支持が得られる見込みがない。もっと広く取ると国民は政治全体に期待していない。懲罰感情だけは高まり続けているが処分を下せば処分された議員たちの恨みが内部に蓄積し続け怨霊のように岸田総理や茂木幹事長(次期総理を狙っているとされる)を苦しめるだろう。

もともと「国民負担増=増税メガネ」から始まった岸田政治の現在地の現在地はざっとこんなところだ。

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