ざっくり解説 時々深掘り

まるで株元から腐食した桜の大樹 岸田総理の「政治とカネの問題」の危うい解決策

  • 立派な桜の木が春の強い風に倒れてしまうことがある
  • 蕾をたくさんつけているが実は幹が腐っていて強風に耐えられないのだ
  • 下村さんの政倫審での対応を見て今の自民党も似たような状態にあると感じた
  • さらに岸田総理の処分案を見てその気持ちがさらに強くなった

自民党の政治とカネの問題に関する対応が決まったようだ。

除名や離党勧告は行わず、党員資格を停止したり公認しないなどの措置になりそうだ。

また処分は予算成立後の4月になるという。岸田総理の政権運営にとっては極めて合理的で違和感はない。だが本当にそれでいいのだろうかと複雑な気持ちになる。

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3月には儀式的に内閣不信任案が出される。これより前に80名に離党勧告を出してしまうと「うっかり解散」の可能性が出てくる。党員資格停止でさえ恨まれる可能性がある。

造反者によってハプニング的に解散した事例は過去にもあり岸田総理はリスクは避けたいところだろう。

内閣不信任を無難に乗り切り、その後で公認を外すなどの措置をとれば清和会・安倍派の人たちは選挙を恐れるようになるかもしれない。岸田総理は解散権を武器に安倍派を牽制しつつ9月の総裁選まで党内での影響力を維持することができるだろう。

さらに今選挙をやれば自民党に逆風ですよと言いながら選挙を恐れる議員たちに「頑張って党勢を拡大せよ」と命じることもできる。支持率低下も実は党内引き締めに利用できる。

政倫審は実は岸田総理には好都合だった。安倍派・清和会に反省するつもりがないということが改めて確認できたからだ。また森喜朗氏が安倍派を一つにまとめることもなさそうだ。

まだまだ岸田総理には利用価値がある状態と言えるだろう。


自民党は全く反省していない。野党支持者の立場から見るとこれはとんでもないことである。しかしこの立場をいったん離れるとまた別の風景が見えてくる。

政治とカネの問題とは一体何なのか、と考えることがある。2つの問題がある。

まず、政策を真面目に追求したい議員たちも群がってくる地方議員や関係者たちとの関係構築を優先せざるを得ない。

つまり政治と金の問題を克服しなければ、自民党の中にもおそらくは存在するであろう真面目な議員たちにとってはマイナスの環境が温存される。だったらほぼ全裸に近いダンサーでも呼んで口移しでチップなどを与えながら、楽しく「多様性」について考えた方がいい。

さらに保守本流による縁故主義もやる気ある若い議員の気持ちを削ぐだろう。

保守本流は今や貴族政治化している。戦後復興に功績があった議員たちの子孫が優遇されるという構造だ。こうした貴族的議員たちに気に入られなければいくら実力があっても党の序列の階段を登ることができない。

そもそも政治と金の問題の源流は安倍派・二階派の「非主流・保守傍流」が勢力を増すために資金と議員の数に頼ったことで起きた問題だ。結果的にこれはやる気がある議員たちを抑制してしまうことになる。

自民党は今や2009年の下野を克服し、立派な大樹に成長した。立派な蕾がたくさんついていて「もうじき花を咲かせるかもしれない」と楽しみにしている人も多いのかもしれない。

だが政党の力の源泉が実力ある議員たちの切磋琢磨による政策立案能力であると考えるとどうしても目に見えない幹の内部はどうなっているのか?と感じる。


そもそも岸田総理がギャンブルのような政権運営に頼らざるを得ないのはなぜなのか。おそらく国民が納得できるような政策が打ち出せないからだろう。

ただ、岸田総理はおそらく2つのことを確信していると思う。

  • 支持率が下がっても人々は自民党に依存せざるを得ない
  • 安倍派の人たちにはおそらく抵抗する気概などないだろう

選挙で自民党が野党に大敗してしまえばそもそも岸田総裁は総理大臣ではいられない。また処分を予感した安倍派の議員たちが結託して内閣不信任にサボタージュで応じてしまうとハプニング解散は実現してしまう。

おそらく安倍派幹部と非幹部議員たちの間の泥試合を見て「どうせ彼らは一枚岩にはなれないだろう」と踏んでいる。

だからこそ、公認権と解散によるコントロールという作戦が成り立つのだ。

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