先日書いたようにアメリカのテック株ブームに翳りが出ておりNVIDIAも利益確定の動きが出ていたことなどから予想された動きだった。結果的に全体の株価は900円下落となりさくらインターネットはストップ安気配となった。実際にストップ安になっている株も出てきている。午後になって下落幅は1000円を超えた。
おそらくまとめサイトなどで「みんなが見ているニュースを見ていれば安心」というランキング依存の人は逃げ遅れているかもしれないが、地道に情報収集していた人たちは「逃げ切れた」と安堵しているのではないか。普段から分厚い情報収集網を持っている人たちの方が助かる確率が高まるのは災害と同じだ。
先日このような記事を出した。AIに関連した半導体株がブームになっているがどうやら翳りが見える。また、日銀の金融政策にも変更の兆しがある。
このため大きな株式市場の動きは予想されていたものだった。おそらくこのニュースをきちんと読み込むことができた人にとっては予想された動きであり特に慌てることはなかっただろう。当ブログの読者は慌てなかったと確信している。
しかしながら、SNSのXのタイムラインではほぼパニックに近いような投稿が多く見られた。中には株なんかやめようかなと言っている人を見かけた。
当ブログの読者は「もうすでに知っているからいいよ」と思うかもしれないが一応確認しておく。
- アメリカの株式市場に関する動き
- 実はファンドなどはアメリカのテック株から撤退を始めていた
- NVIDIAにも利益確定の動きがあった
- アメリカの経済指標に関する動き
- 雇用統計の内容があまり良くなかった。速報値も訂正されていた。このため利下げを急がないという観測になった。
- 同時にアメリカの経済はAIブームを支えるほどのものではなかったということもわかった。結果として株価が下がった。
- 日銀がYCCを撤廃するのではないかという観測気球が出ていた。日銀が金融政策を転換すると利上げの方向に転換する。また状況次第では経済そのものにも悪影響が出る。特に国内企業には影響が大きいだろう。
日経新聞は「日経平均900円安「一時的調整、日銀の政策見解を注視」」としている。このところ急激な株価上昇があったため「こんなこともあるだろう」としたうえで「それでも日銀の政策見解は注意してみておく必要がある」という構成だ。
ただロイターは次のように書いている。日経はできるだけネガティブなことは書きたくないのだろうが、ロイターは極めて正直に「アメリカの株価に吊られていた日本の株価も下がった」と認めている。
寄り付きの東京株式市場で日経平均は、前営業日比456円80銭安の3万9232円14銭と、反落してスタートした。前週末の米雇用統計発表後の米株安や、ドル安/円高が嫌気されている。寄り付き後も下げ幅を拡大し、心理的節目の3万9000円を下回った。一時900円超安に下落する場面もある。
今回の下げはこれらの「波」が合成されてたものとみられる。
今後、この動きが加速するかどうかはわからない。連合の集中回答日を控えており日銀が経済の好循環が実現するかどうかを見極めようとしている。日銀の金利政策変更は春闘の動きに大きな影響を受ける。この市場の迷いがよくわかるのがドル円相場である。146円から147円の狭い範囲ではあるがウロウロと蛇行しており方向性が定まらない。
普段からロイターやBloombergをタイトルだけでの眺めていた人たちはおそらくそんなに慌てなかっただろう。すでに見出しレベルで書かれている材料で状況判断には事足りる。日経新聞は経済に取って都合が悪いことは書かない傾向がある。同じ経済専門紙と言っても企業経営者などが好んで読んでいるメディアである。
情報収集の習慣ができている人は現在の状況を構造的かつ立体的に理解できているはずだ。忙しくて全部が読めないという人たちのために大きなイベントがあった時には当ブログで情報をまとめている。ただし分析をするまでもない(あるいはまだわからない)ということもあるためQuoraの政治スペースなどで記事を並べた速報を出すこともある。興味のある人は是非定期的にチェックしていただきたい。
ちなみに日本はテクニカルリセッション入りしたと言われていたが速報値が改定された結果わずかながらプラスということになった。実質0成長(前年同月比0.4%増加)というのが現在地である。今年は政府の主導により大手企業の賃金は上昇すると見られるがこれが永続的と見るには心配な状態になっている。しかしながらクロダノミクスの脱却を目指す植田総裁はそれでも見切り発車するかもしれない。引き続き春闘と日銀の動きには注目すべきだろう。
コメントを残す