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「ネタニヤフ首相とは真剣な話し合いが必要」とバイデン大統領 英語のCOME-TO-JESUSとはどういう意味か?

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バイデン大統領の対イスラエル政策は破綻しかけている。ユダヤ系献金者をトランプ氏に取られてはならないと考える一方で民主党支持者が持っている多様性志向にも配慮しなければならないという矛盾した気持ちがあるからだ。おそらく民主党支持者も気がついているがなかなかこれを認められない。やはり「ここでバイデン大統領を見放すと悪夢のトランプ時代が再びやってくる」という気持ちが強いのだろう。日本のアメリカ通の中にもこれがバイデン政権の弱さになっていると指摘する人が増えている。

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バイデン大統領がMSNBCとのインタビューに答えている。MSNBCは極めてリベラルなメディアで従って強力な反トランプだ。MSNBCはバイデン大統領を当選させたいと考えているだろうが同時に彼らの価値観に合っていると証明したい。結果的にこれは大惨事になった。イスラエルに対する発言が矛盾してしまったのである。

バイデン大統領はラファへの攻撃はレッドライン(越えてはいけない一線)と表現した。ところがその後で何があってもイスラエルを支援し続けると言ってしまった。レッドラインを設定したにもかかわらずイスラエルがそれを越えても何ら問題はないと認めてしまったことになる。

アメリカ研究家の小谷哲夫さんは「レッドラインと言いながら守るつもりがないとは」と呆れ気味である。小谷さんは他にもイラク・アフガンというべきところをウクライナと言い間違えていると指摘しておりバイデン大統領が外交問題で大混乱していることは間違いなさそうだ。

民主党を支持するマイノリティたちは迫害するユダヤ人よりも迫害されるパレスチナ人にシンパシーを感じる。またそうしたマイノリティに同情する白人も民主党を支持している。一方で大統領選挙は個人献金に依存している。バイデン大統領はユダヤ系の支援も必要だと考えている。

このためバイデン大統領の対イスラエル発言は混乱に満ちたものにならざるを得ない。言い間違いも増えていて高齢不安にも拍車がかかる。トランプ氏は大統領時代から混乱した一貫性のない発言が多いため問題にならないがもともと民主主義の理念擁護から一貫した理論を組み立ててきたバイデン大統領の発言が混乱すると「高齢化のせいだ」などと言われてしまう。

そんな苦しい状況がわかる出来事があった。バイデン大統領はアメリカの大統領としては一貫してイスラエルを支援をしていると表明し続けなければならない。だがネタニヤフ首相は暴走を続けている。このため「リーク」という形で本音を吐露する方法がとられた。非公式の会合でビビ(ネタニヤフ首相)とはCOME-TO-JESUSな集会が必要だと発言した。共同通信は「説教してやる」と翻訳している。

このCOME-TO-JESUSという言葉は日本人には馴染みがないが、アメリカでは一般的に使われるくだけた表現のようだ。十字架のある教会で嘘をついてはいけないという常識が広く浸透しているからである。このためアメリカ人にとってこの発言は「嘘がつけない場所に呼んで膝詰めで真剣な話し合いをしなければならない」という心情が伝わりやすい。

だがネタニヤフ首相はユダヤ教徒でありユダヤ教徒にとってナザレのイエスは数ある聖人の一人に過ぎない。アメリカ人への心情的説明を優先するあまり不適切なリーク表現が選ばれてしまった。

またバイデン大統領が習近平国家主席、サウジアラビアの皇太子、イランの宗教指導者などに同じ表現を使うことはないだろう。おそらくアメリカ人は英語に堪能なネタニヤフ首相を準キリスト教徒であるかのように誤認しているのだろうと思われる。結果的に一種の偏見が滲み出てしまっている。道徳によって支えられる草の根民主主義の限界が仄見える。

おそらく、民主党支持者たちも本音では「バイデン大統領の外交政策は破綻している」ということに気がついているだろう。だがアメリカ人は一貫性にこだわるため正面から矛盾を追及されると反論をせざるを得なくなるだろう。さらに、バイデン大統領を見放してしまうと混乱に満ちたトランプ氏が返り咲くという恐怖心も持っているものと思われる。

仮にバイデン大統領が再選を決めたとしても支持者たちの間にうっすらと広がった動揺は今後もアメリカの政治に大きな影を落としつづけるだろう。

アメリカの政治に詳しい自民党の長島昭久さんやキャノングローバル研究所の峯村健司氏などはこうした状況を「バイデン大統領の弱さ」と表現しているようだ。バイデン大統領の発言が弱いというよりは民主党支持者たちがはっきりとバイデン支持を打ち出しにくくなっている状況を踏まえてのものではないかと想像する。

日本のアメリカ通たちの一部は「民主党のプランB(つまりバイデン候補の差し替え)」に期待し始めているようだ。長島氏はこれを3番目の逆転の可能性としてあげている。別の投稿では「深刻な劣勢を挽回しうるほぼ唯一の道」とも表現していることから、かなりプランBに傾斜していることがわかる。

長島さんは政界ではアメリカ通として知られる。こうした人たちが日本の政界で発言力を持ち続けるためには日米同盟が盤石であり続けなければならず一般国民が日米同盟に疑問を持つことなどあってはならない。その意味ではバイデン政権の弱体化やトランプ氏の不規則さは彼らの核心的利益に関わる重要な問題と言えるだろう。

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