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「ちょっとコーヒーでも飲んできては?」でハンガリーが妥協 ウクライナのEU加盟交渉がスタート

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歴史的な会合だった。EUで首脳会議が開かれウクライナとモルドバのEU加盟交渉がスタートすることが決まった。ハンガリーのオルバン首相は反対を表明していたがドイツの首相に「ちょっとコーヒーでも飲んできては」と提案され中座している。ただしその後に戻ってきて支援策には反対を表明した。加盟交渉は行ってもいいがお金は1ユーロたりとも出さないということだ。

ジョージアも加盟候補に決まった。日本語が堪能なジョージア大使がSNSのX上で盛んに喜びのメッセージを発信していた。ジョージアにとってヨーロッパ入りが悲願になっていることがわかる。

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旧ソ連の国の中にはヨーロッパ入りを熱望している国がある。特にロシアから攻撃されているウクライナが国民の心を一つにまとめるためには楽観的な将来ビジョンが必要だ。ところがプーチン大統領に近いとされているハンガリーのオルバン首相は「水準に足していない」として強硬に反対していた。

国民への約束と国際社会からの圧力の板挟みになったオルバン首相だがドイツの首相から「ちょっとコーヒーでも飲んできては?」と提案された。議決に参加しないことで「自分は賛成しなかった」という面目を保つことができたのだった。POLITICOの表現は次のとおり。

About three hours into deadlocked discussions among EU leaders on Ukraine’s accession to the bloc, the German chancellor proposed to Hungarian Prime Minister Viktor Orbán: Grab a coffee outside the room, perhaps.

しかしながらオルバン首相にはウクライナを支援するつもりはさらさらないようだ。支援の時には戻ってきて「反対だ」と表明した。今後4年間で500億ユーロ(7.8兆円)を支援するという内容だったそうだがこちらは通らなかった。今後加盟国はさらに交渉を進めなんとしてでも支援パッケージを成立させたいと考えているようだが見通しは立っていない。

ウクライナのゼレンスキー大統領が手にしたのは将来の微かな希望だけだったのだ。

オルバン首相の立ち位置はアメリカ共和党のそれに似ている。ロシアの侵攻当初は「民主主義を守るため」と盛んに喧伝されていたが戦線は膠着している。アメリカではウクライナ支援よりも身近な経済対策や国境警備の方が重要とする人々が増えておりウクライナを継続的に支援すべきだとする人たちは減っている。おそらくオルバン首相もEUはウクライナより自分達への支援を優先すべきという人々に支えられているのではないかと思う。

オルバン首相は加盟申請プロセスも支援者のアピールに使える。自分が拒否権を持っていることを誇示することでハンガリーの存在を大きく見せることができるからである。自分達はヨーロッパにいるがあの人たちはそうではないという優越感の存在も見逃せない。

今回の交渉ではウクライナだけでなくモルドバの加盟交渉がスタートした。モルドバは東部を親ロシア派の沿ドニエストル共和国に実効支配されており分裂状態にある。

日本語が極めて堪能なジョージア大使が「ジョージアが加盟候補国入りした」とのツイートを連発していた。長い長いプロセスのほんの始まりに過ぎないことは当事者たちが一番よく知っているのだろうがジョージアにとっては歴史的な日になったようだ。旧ソ連の国の一部がヨーロッパ化を熱望していることがひしひしと伝わってくる。

ウクライナの状況は極めて厳しいものになっている。アメリカからの軍事支援の継続は見込めず「戦後」の復興支援が受けられるかはわからない。来年には大統領選挙を控えていると言われているが、将来EUの一員になれるかもしれないという可能性だけが微かな希望になっている。ただそれを実現するためにはハンガリーの首相という高い壁を越える必要がある。

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