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バイデン大統領がイスラエルを訪問 表は軽いノリだが裏はかなりエグかった

バイデン大統領のイスラエル訪問の直前にガザ地区南部にある病院が空爆された。死者数は大体500名前後といったところのようだ。この地域では史上最大の犠牲者と言われている。どちらが空爆したのかはよくわかっていない。ガザ側(ハマスではなくイスラム聖戦だとされている)がミサイル攻撃を行い迎撃をしたイスラエルのミサイルが落ちた可能性もある。そんな中バイデン大統領がイスラエルを訪問した。表向きはかなり軽いノリで行事をこなしたが、その背景でやっていることはかなり強烈だった。バイデン大統領の選挙キャンペーンの一環としては「まあこんなもの」なのだろうが、これはかなり内外で嫌われるだろうなと感じた。

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ガザの病院空爆は突然のニュースだった。ロイターは「ガザ最悪の日だ」との見出しで衝撃を伝えた。これまでの一度の空爆で数百人単位の犠牲者が一度に出ることなどなかったからだ。

仮にイスラエルの主張が確かだったとしても上空にミサイルが飛び交っていることは確かだ。だから迎撃すればミサイルの破片はガザの全域に降り注ぐことになる。かといってアイアンドームでの応戦を止めることなどできるはずもない。あらためてガザ地区全体が巨大な密室になっておりその下で多くの市民が犠牲になっていることが明らかになった。

パレスチナ西岸地区にも影響が広がっている。西岸地区はイスラエルとの協力にやや積極的な自治政府によって統治されている。だがイスラエルに対する抗議運動が起こり、パレスチナ自治政府は催涙ガスを使用している。このため自治政府のアッバス大統領もバイデン大統領との会談をキャンセルした。

ガザ地区での衝突を止められないにせよエジプトがラファを開いて人道支援物資を域内に届けたり、外国人を解放するというような解決策は残されていた。だが今回ヨルダンのアブドラ2世国王がエジプトも参加するサミットをキャンセルしたことでエジプト交渉はうまく進まなくなるだろう。バイデン大統領は「自分の努力でエジプトから支援物資が搬入できるようにあった」と主張しているがイスラエル側は「自分達の方からは支援しないがエジプトがやる分には止めない」とだけいっている。だが実際にはラファも空爆されている。つまりイスラエル側の本音はよくわからない。

エジプト側はラファが空爆されたとしてイスラエルを非難している。だが、エジプトは難民の流出を恐れておりできればラファを開けたくないという事情がある。いずれにせよ28名の死者が出たそうだ。

BBCがなぜエジプト側がラファを開けたくない理由を説明している。事情通はガザにいる武装勢力が戻ってくるのを避けたいのだろうと指摘するが、BBCは「ガザからの住民流出を恐れているのではないか」と分析している。現在イスラエルはガザ市とその南側を激しく攻撃し住民を追い出した上で更地を作ろうとしている。つまり南側にパレスチナ難民たちを後退させようとしていることになる。つまりエジプト側に難民を寄せている。あとは新しい境界の壁でも作れば新しい植民地ができる。エジプトがうっかりラファのゲートを開いてしまうと彼らがガザに流入することになる。

つまり、イスラエルの「領土」が拡大しパレスチナ難民はエジプトが引き受けることになってしまうのである。

【解説】 ガザのラファ検問所、エジプトはなぜ再開をためらっているのか(BBC)

バイデン大統領はネタニヤフ首相に「病院爆撃は他のチームがやったように見える」といかにも軽いノリでネタニヤフ首相を援護してみせた。一方でNSCに証拠を提示させ「イスラエルは関与していない」と主張させている。国連で一時停戦を求める決議が出された。ブラジルが発議しロシアとイギリスは棄権した。日本は停戦に賛成したが結局この動議は通らなかった。イスラエルの自衛権について言及がないという理由でアメリカが拒否権を発動したのだ。

バイデン大統領はパレスチナへの支援を表明した。1億ドルとかなり巨額である。だがウクライナ、イスラエル、アメリカ国境警備などに要求するとされている予算はそれを遥かにうわまわる1,000億ドルである。ただ下院は議長が決まっていないので予算編成はできない。

今回の行動はあくまでもハマスが先に始めている。つまり誰が悪いのかと言われればそれはハマスである。しかしそれをきっかけにしイスラエルは強硬な姿勢を強めておりガザ市の広い地域を攻撃した。さらにどちらが何をやったのかよくわからない戦争状態というどさくさは結果的にガザの北部を次第に焼け野原にし大きな病院が犠牲になった。

アメリカ人は「民主主義と専制主義は違う」と主張するだろうがやっていることはほぼ「力による現状変更」でありアメリカはそれを黙認し資金支援をしようとしている。

巷ではさまざまなフェイクニュースが飛び交っている。つまり、今回の病院の空爆が偶然この時期に起こったのかどうかはよくわからない。いずれにせよ結果としてアメリカの大統領はこの程度のことはレッドラインしないということは確認ができた。イスラエルの戦時内閣としてはかなり「心強い」支援になったことだろう。と同時に「バイデン大統領はここまで許してしまうのか」という線を世界に提示することになってしまった。

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