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ジャニーズ再発防止特別委員会の会見で記者たちは「もっと石を投げさせろ」と林真琴座長に迫った

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ジャニーズ事務所の再発防止特別チームが記者会見を行った。マスコミの意識と再発防止特別委員会の意識のズレが目立った会見だった。

再発防止特別委員会はこの問題を俯瞰で捉え、国連の「ビジネスと人権」の観点から高いスタンダードを広める教師の役割を果たそうとしたようだ。一方で記者たちは「ジャニーズ事務所に石を投げる」ための材料を集めようとしていた。この期待が叶わないと知ると林真琴座長に盛んに詰め寄る記者が現れた。

テレビ局はこれを大きく編集なしで扱うことで問題を終わらせたかった。彼らは「自分たちが石を投げられる存在になること」に対して大きな恐れと警戒心を持っていた。

結果的に、このニュースはジャニーズ事務所への判決文のようして伝えられた。藤島ジュリー景子社長は退任の意向だと一部週刊誌は伝えている。

確かにレポートは、ジャニー喜多川氏の性嗜好を「異常」と断定し、藤島ジュリー景子氏は取締役として問題を知っていたのだから辞任しなければならないと断罪している。ただ、一方でメディアに具体的で着実な取り組みも求めている。前半部分は盛んに報道されたが後半部分について伝えたテレビ局は今のところ出てきていない。

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記者会見の最後は騒然とした。納得できない一部の記者たちがオフマイクで林座長らに詰め寄る中で3人の報告者たちは無言で席を立った。記者たちは何に怒っているのか。だいたい3つのパターンの記者たちがいた。

第一のグループはジャニーズ事務所に対する「判決」を求めていた。

第二のグループはメディアに対する「判決」を求めていた。テレビや既存雑誌の記者たちではないようだ。マスコミ批判につなげたいのだろう。

第三のグループは少し特異だ。「上から目線でメディアに判決文を下すあなたたちにもそれなりの根拠があるんでしょうね」と報告者たちに潜在的な敵意を向けていた。

林真琴元検事総長を座長とする特別チームは国連の「ビジネスと人権」スタンダードに即した厳しい判断を下した。具体的には経営に独立したチームを作りこれまで被害に遭った人を救済せよと言っている。このためには企業にCCO(チーフコンプライアンスオフィサー)を置き、取締役会にも影響力を与えるべきだというのだ。さらに、同族経営の弊害が問題の隠蔽につながったのだから藤島ジュリー景子社長は辞任すべきだと言っている。藤島ジュリー景子氏に責任をとって辞任しろと言っているわけではなく同族経営の弊害を無くさなければ再発防止と再出発はできないだろうから辞任すべきだとの説明だ。

再発委員会はメディアの責任にも踏み込んで具体的なアクションを求めた。国連の「ビジネスと人権」という観点から見れば全ての企業は取引先の人権状況にも責任を持つべきでなのだから従ってメディアも「取引先」の人権状況にコミットするべきだ。林座長は何回かそう説明している。

これまでの人権問題対処は「企業内部のことは責任を持つが外のことにまでは責任を持たない」で良いことになっていた。ところが、国連の「ビジネスと人権」の観点はそうではない。取引先などのステークスホルダーの問題にも関心を払い「社会全体として」人権擁護に取り組むべきだというのだ。

なぜこのような説明になったのかはわからない。全く提言が実行されない可能性もあるため「逃げを打った」のかもしれない。また報酬がジャニーズ事務所から支払われているから甘い報告を出したのではと批判されるのを恐れていた可能性もある。さらに、元検事総長という経歴から高い理想を掲げた可能性もある。いずれにせよ、その理想はあまりにも高すぎるが故に会場にいる記者たちには全く理解されていなかったように見えた。

テレビ局は一方で「自分達が石を投げられる側」に回ってしまうのではないかという恐怖心があったようだ。日本テレビ、TBS、テレビ朝日などは報告部分を全て放送していた。あとで「扱いが小さいのは共犯者だからだ」とか「都合の悪い箇所を切り取った」と言われることをを恐れていたのかもしれない。

報告書はメディアに「今回、何が突きつけられているのか」を自分ごととして考えるようにと言っているが、それがテレビ局に響いたのかはよくわからない。日本の犯罪報道は「誰が誰に石を投げるか」という前提で組み立てられている。このため社会が全体として問題の再発防止を目指すために共に考えましょうというような視点を持つ記者は(少なくとも記者たちの中には)一人としていなかったようだ。

このボタンの掛け違いは共同通信の記者の馬鹿げた質問によく現れている。共同通信の記者は全ての「事実認定をどのような確度でやったのか」と質問していた。つまり「判決の妥当性」について明らかにするようにと特別チームに挑戦していた。林真琴座長は裁判官ではないのだからその期待に答える必要はない。林真琴氏は「再発防止のために必要な情報を集めるために必要最低限の調査をしたに過ぎない」とした上で、実際の全容解明にはジャニーズ事務所とメディアの継続的な取り組みが必要だと訴えていた。

その後も記者たちはジャニーズ事務所を「叩くことができる」材料を集めるために質問を繰り返していた。だが、彼らは最終的に「これは裁判の判決ではないからジャニーズ事務所を叩く決定的なネタにはならない」ということに気がついたようだ。質問が打ち切られた後も盛んに「国が捜査して犯罪として証明すべきではないか」とか「藤島家が株を持っている以上、単に逃げ得になるだけではないかと」叫び続けていた。

この問題を各社どう伝えるのだろうか?と考えたのだが、結果的にジャニーズ事務所に対する判決文のような扱いになっている。社会全体として人権問題に取り組むべきだという点について紹介した局はなかったようだ。

記者会見は開かれていないが藤島ジュリー景子社長は退任するであろうと文春は伝えている。文春は藤島氏は会見には出てこないだろうと予想している。提言がかなり厳しいものになったこともあり、今後ジャニーズ事務所は名称をどうするかを含めかなり難しい立場に置かれるのかもしれない。

〈独占〉ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長(57)が退任へ「人前に出られるような状態ではない」《60年続いたファミリービジネスの終焉》

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