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9月以降のガソリン補助は「目に見える形で」支持率回復を狙い自民党議員たちが政府に要求

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自分達で野党を育ててこなかったツケはあまりにも大きかった。ガソリン価格が高騰し対策が求められているのだが。自民党議員たちは国民の危機を支持率浮揚のチャンスと捉え、目に見える形で補助を出し支持率回復につなげたい考えだ。実際のガソリン高の要因は8割程度が円安の影響と見られている。これ以上の円安が進むことは考えにくいようだが、この状態はしばらくの間は続くかもしれない。円安はアベノミクスの選択的な結果なのだからこれは選挙での高い支持に基づいた自民党・公明党政権の意思決定の結果といえる。自民党の議員が選挙対策のための補助金を求めるのは仕方のないことかもしれないが「4割が税金」と言われるガソリン価格の構成は今一度考え直したほうがいいのかもしれない。取られても選挙対策に使われてしまうだけだからだ。

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ガソリン価格の高騰が続いている。現在の全国平均は185円だ。8割程度は円安の影響と見られる。ガソリン価格補助はコロナ禍の回復過程やウクライナの戦争による劇的な変化を吸収するために正当化されているのだから、本来ならば原因が変わった時点で対策にも見直しが必要だ。

一方で自民党議員たちは国民の危機ををある種のチャンスと捉えている。「自分達のお金」を支出するのだからメリットのある形でやってもらわなければならないとの考えだ。テレビカメラの前で堂々と「目に見える形で支援を」と主張する議員が現れた。恥ずかしさは全く感じていないようだ。むしろ、国民が自民党・公明党の寛大な政策に十分に感謝していないという不満の気持ちがあるのだろう。西田政調会長代理は「ご理解いただく」ではなく「知らしめてゆく」と言っている。強い統治者意識が覗く。

西田昌司政調会長代理は「年末までとりあえず国民生活を守るための措置をまずする。差額を政府が負担しているというのを何らかの形で知らしめていくというか分かって頂く」とTBSのカメラの前で堂々と主張した。片山さつき参院議員も「とにかく早く、途切れなく、目に見えるように、この3条件だと思います」と断言している。

しかしながら、現在のガソリン高騰の原因は進行する円安の影響が8割程度と言われる。つまり、今後どの程度円安が続くのかを知ることが重要だ。

ロイターに記事が出ている。

アメリカで現在中立金利に関する議論がある。コロナ禍などの特別なイベントがあったたため経済統計が信頼できなくなっているのだが、中立金利がこれまでよりも高くなっている可能性がある。つまり現在行われている利上げには効果がなく利下げが行われたとしても従来のように低い値に抑えられることはない。

この議論が確かならば、これ以上の円安は進まないものの今の状態が「しばらくは」続くことになるだろう。さらに金利が正常化しても元通りにはならない可能性が高い。

これは金利を人工的に抑えつけて政府に対するファイナンスを優先してきたアベノミクスの結果である。民主主義的に国民がこれを選択してきたと考えるならば国民の選択である。国民主権の原則に従えば、国民は今のこの状態を受忍すべきだという結論が得られる。

ただし「政府がリスクなどをきちんと説明した上で政策を選択し実現してきたのであれば」という但し書きはつく。

いずにせよ岸田総理はそんなことは説明できない。ましてやあなたたちの選択の結果なのだから我慢してくれとも言えない。岸田総理はウクライナの戦争前の水準が「正常だった」と説明している。当時の為替レートは1ドル115円だった。つまり現在の円の価値は当時の8割程度なのだがそれについて岸田総理は何ら言及していない。

岸田首相は昨年3月にロシアがウクライナへの侵略を開始した直後の水準が175円程度だった、と説明。措置の対象には、ガソリンや軽油だけでなく、灯油や重油も含まれるとした。

金融政策と円安の関係のように技術的な問題はわかりにくい。さらに自民党に代わる政権政党が見当たらないのもまた確かなことだ。

だが少なくとも一部の議員が「一度とった税金は自分達のものであり支持率向上のために使うのは当たり前だ」と考えているのは確かなようだ。現在のガソリンの価格の4割は税金だと言われている。これらが自民党の選挙対策のために使われるべきなのかとは一度立ち止まって考えてみたほうがいいのかもしれない。

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