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スマホを持っている人もなんらかの形でNHKに「受信料」を払うべきではないかと総務省が提言

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スマホを持っている人もNHK受信料(のようなもの)を負担すべきだというニュースだ。単にNHKオンラインを有料化してサブスクにすればいいだけだと思うのだが「おじさん」が議論を転がすと「税金化」が画策されているような議論に聞こえてしまう。なんとなくピントのずれた変なニュースだなと思った。同じトピックを扱った二つの記事をご紹介する。

そもそもサブスクの料金は「受信料」とは言わない。加えて総務省の議論には受益者目線とマーケティング意識が欠けている。このため議論が著しくわかりにくいのだ。

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総務省の提言はどこか分かりにくい。このため、スマホを持っているだけで「ネット受信料」を徴収されかねないという危機感がどうしても払拭できない。だが、よく考えてみると単に「サブスク代金」を「受信料」と言っているだけだ。

日経新聞は次のように書いている。要するに本来業務化して(本来業務化しないとNHKは対価が取れない)サブスクサービスにしろと言っている。

負担金はスマートフォンやパソコンなどを保有しただけでは求めない。ネット番組の視聴に際して①アプリのダウンロード②IDやパスワードの取得・入力③一定期間の試用や利用約款への同意――といった行為を条件とする考え方を盛った。

無料の気象アプリなどが豊富にある現状でNHKが参入して太刀打ちできるのか?というのがおそらくは本来議論すべきテーマだろう。NHKがサブスクを始めても「有料だったら使わない」という人が多いのではないかと思う。さらに公共インフラとしての災害情報提供も課題になる。こうしたインフラを整備するためには受信料ではなく税金を使うべきだが財政支出削減圧力が強まる中でそのような議論は起こりようがない。

さらに面倒なことにビジネスの内容については民放や新聞社も参加した上で吟味させろと言っている。協力して現行サブスクに対抗できる国産サービスを作りましょうという議論展開もありうる。議論を広報・マーケティングに利用するという「ズルさ」があってもいい。だがこのままでは単に足を引っ張りあいで終わりになる可能性が高そうである。

NHKの優位性は「公共放送である」という安心感、他の局と比べて出力が高いという技術的優位性、受信料という3つの特権によって支えられている。日経新聞は他報道機関のネット事業への打撃を心配しているのだが、おそらくターゲットとなっている若い世代は「公共放送だから」という理由でサブスクを希望するようなことはないだろう。逆に災害情報が必要な地方の高齢者を排除する方向に議論が展開する可能性もある。

テレビ受信機の保有者が払う受信料との整合性や、他の報道機関のネット事業への打撃など本格的な議論を先送りしたまま拙速に結論を出した。

話がややこしくなっているのは受信料とサブスク料金という本来別々に議論すべきものを一緒くたにしているからなのだろう。

現在の法律では「テレビを買ったら受信料を徴収する」仕組みになっている。だからスマホを買ったらネット受信料ということにしたい。だが当然スマホやパソコンは専用受信機ではない。ではどうするかという議論になっている。

ここからはAV Watchの記事から引用する。技術には詳しいはずなのでわかりやすく書くこともできるはずなのだが、正確性を優先するとやはりわかりにくい記事になってしまう。

一方で、スマホやPCなどの通信端末を取得・保有しただけで「NHK放送を受信できる受信設備を設置した者」と同等とし、費用負担を求める事は「視聴者の理解を得ることができないため、適当ではない」とし、「受信設備を設置した者」と“同等と評価される行為を行なった者”に対して費用負担を求めることを基本とする。

「だからそれはサブスクだよね」と思う。つまりNetflixなどと同じやり方だ。

NHKが後発のサブスク事業に参加すると書いてくれれば「お金がないからいいや」で終わってしまう話なのだが、現在のテレビを持っている人にはNHK受信料に対する拒否権がないため、受信料だと受け取られてしまうと「ネット民からも税金を取るのか」と将来顧客になりそうもない人たちから反発されかねない。

この総務省の舌足らずな感じは他の箇所からも確認できる。「契約を個人単位にするのか」をこれから検討すると言っているが、いやそれは「アカウント」というんですよ、個人アカウントもあればファミリーパックもありますよねと突っ込みたくなる。

また、現在のテレビなどの受信設備の設置に伴う受信契約は世帯単位だが、スマホやPCなどの場合、契約を個人単位とするのかなど、単位に関する課題については、「インターネットの普及等に伴う視聴実態を勘案しつつ、引き続き検討すべき」としている。

仮に「どんなサブスクだったら購読してみたいか」という議論を喚起できれば有益な報道になったと思う。議論をマーケティングにつなげるというのがビジネスマンの発想である。

しかし、官僚が議論をするとどうしても既得権益者の利害調整になってしまう。今後、民放と新聞社の意見を聞いた上で(つまり将来の受益者を排除した上で)法制化を目指すそうだ。新聞社はネットに押されて購読者が減っている。テレビもまた高齢化に伴ってCM枠が売りにくくなっている。単に許認可事業と受信料という独占的なビジネスモデルにあぐらを書いているうちに受益者から見放されているだけだとおもうのだが、既得権益者の彼らにとってみればネットは金城湯池(きんじょうとうち)に見えているかもしれない。

期待していいのかはわからないが、外資参入で過当競争気味のサブスク業界で国内メディアがどのように魅力的なサービスを作って行けるかという建設的な議論を望みたい。

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