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高校生の政治活動届出制について

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今度の選挙から18歳以上に選挙権が認められるようになる。自民党は当初、自党への支持が広がると考えていたようだ。しかし、SEALDsなどの台頭を受けて「高校生の政治活動参加は届出制にするべきだ」という議論が出てきた。過去にも学園闘争が高校生に波及した例があり、過激な活動を警戒しているのだろうと思われる。実際に大学では政治活動が過激化して、授業が継続できないことが起きた。
だが、これはなかなか不思議な議論だなと思った。
政治結社の自由や集会の自由は憲法で守られた最も基本的な権利のひとつだ。もし仮に、高校がデモに参加した学生を退学処分にしたら何が起こるだろうか。多分、主権者たる高校生は「思想信条の自由を侵されて不利益をこうむった」として高校を訴えることができるはずだ。これは明確な憲法違反だ。だから、学校から許可が得られなかったからといって何の意味もない。
そもそも、これは議論になるほうがおかしいのだ。逆に「じゃあ一度退学処分でも出してくれますか」とお願いしてもいいくらいだろう。
同じことが校内でも起こるはずだ。共産党(あるいはなんらかの過激な思想でもかまわない)の支持を訴える学生が退校処分になったら「言論の自由が奪われた」として高校を訴えることができるだろう。
こんなことが書けるのは、基本的人権に制限がかかっていないからだ。学校や文部科学省のお役人は高校生を脅かすことはあっても実際の処分はしないだろう。彼らは馬鹿ではないので、実際に強権を発動したら何が起こるかをよく知っているはずだ。政治家たちは憲法の人権条項の強力さを知っているいるからこそ「公共の福祉」を拡大したがるのである。拡大さえすれば「道徳的におかしい」などという理由をつけて主権者を縛ることができるからだ。
18歳以上の高校生も主権者として差別されることはないはずだ。憲法に「高校生の主権は限定的だ」などと書いた条項はない。ただし、これは国や地域の意思決定に加わるということを意味する。それに伴う責任の大きさには心を留める必要がある。だが、それなりに情報収集して政治的な意見を持っているのだから、そんなお説教はしなくてもよいのだろうとは思う。
むしろ、やたらと「あいつらはわがままなやつの人権は制限されるべき」だという普通の主権者のほうが危険だろう。誰がわがままかを決めるのは一般国民ではなく権力者だからだ。だが不思議なことにそう思っている一般国民も多い。気分の上だけでも正義の側にたったつもりになれるからかもしれない。