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神の国日本

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北朝鮮が人工衛星を打ち上げて大騒ぎになった。左の人たちは単なる人工衛星なのにNHKが禍々しく騒ぐのは安倍政権の策謀だと息巻いている。ミサイルなんて言っているのは日本だけという人たちもいたが、Twitter上では韓国人もミサイルとつぶやいていた。発射直後、日本語と韓国語のミサイルという単語がワールドワイドでトレンドワード入りした。北朝鮮はアメリカを挑発しているので、安倍さんが何を言っても眼中にないと思うのだが「安倍外交の失敗」という人もいた。
いわゆる現実派の人たちや右の人たちは「憲法第九条の第二項を今すぐ見直せ」と言っていた。現実派の人たち曰く、いざとなってもアメリカは助けてくれないそうである。米軍は東アジア全体の防衛の駐在しているので、日本が外国から攻められても米軍は防衛義務を負わないということである。にもかかわらず、現実主義の人たちは「日本が単独で防衛すれば24兆円が必要」などと言っている。助けてくれない軍隊を頼りにする人たちがどうして現実主義者を名乗っているのかさっぱりわからない。
安倍首相の対応もおかしかった。儀式のように「談話」を発表した。予め予告されていたからだ。政府は対応してくれているのだなという安心感はあるが、もしこれが突然だったらどうしたのだろうか」と思った人も多かったのではないだろうか。
日本では「日本も核武装せよ」という話は聞かれない。右の人たちも日本が核武装など言い出せばアメリカの不興を買うということがよくわかっているからなのだろう。だが、北東アジアは中国と北朝鮮という2つの核武装国を抱えている。北朝鮮が制御不可能だということを考え合わせると世界で最も危険な地域かもしれない。タブーをなくして第九条について語れというのだから、この際核武装についても俎上に載せたほうがよいのではないかと思う。でも絶対に言わない。アメリカが怖いから。
こうした騒乱を目の前にして「日本はなぜ合理的に防衛政策を語らないのか」と嘆いている人もいた。これは簡単に答えが出そうだ。これまで運がよかったからだろう。こんなに運がよい国や地域は他にない。
四方を海に囲まれていたので、半島や中国大陸の騒乱に巻き込まれることがなかった。半島で内戦が起きたときには難民を受け入れた。元が攻めてきたときも嵐が起きて元軍は敗退した。ヨーロッパは内戦や病気の蔓延による人口が急減を経験した。南や東からイスラム教徒に占領された地域もあった。しかし日本には征服的なイスラム教徒はやってこなかった。日本の戦国時代にはスペイン軍がフィリピンを攻撃して植民地化した。もしこの時期にスペインが日本に来ていたら、内乱状態にあった日本は占領されていたかもしれない。でも、スペイン艦隊は来なかった。フィリピンはその後「独立させてやる」といわれてその気になったのだが、その後あっさりとアメリカに裏切られて再植民地化された。
その後、徳川家康が日本を統一すると200年以上も外国は来なかった。その間も貿易不均衡に苦しむイギリスが中国に麻薬を売りつけて貿易不均衡を解消しようとした。それに怒った中国がイギリスを攻撃すると、戦争をしかけて香港をぶん取った。言いがかりもいいところだ。ようやくアメリカが開国を要求したときに、日本は内乱状態にも陥らず、かといってアメリカを追い払おうともしなかった。そこそこの蓄積があったので、すぐに軽工業国になることができた。
最も運が悪かったのは、中国に進出した挙句にアメリカと衝突したときだったかもしれない。しかし、考えてみるとこれも最悪ではなかった。第一次世界大戦でドイツを追い込んだ反省から連合国は敗戦国に対して賠償金を要求しなかった。植民地経営も割に合わなくなってきていたので、日本はアメリカやソ連の植民地にならなかった。一方で、朝鮮半島は再植民地化される予定だった。統治能力がないとみなされたのだろう。統一政府も作れず、東西冷戦に巻き込まれて2国に分断されてしまった。一方で、日本を西側世界のショーケースにしたかったアメリカは、為替を優遇して日本を工業国にした。朝鮮半島が東西冷戦の結果分断されたのとは対照的に日本は東西冷戦があったから戦後の繁栄を手にすることができたのだ。もし、ソ連の脅威がなければ日本は再工業化を許されずに農業国になっていたかもしれない。
この一連の歴史を見ると、われわれの祖先が特別に優秀だったとは考えにくい。それよりも「単に運がよかった」としかいいようがない。神様(実際には地理的要因だが)が守ってくれているのだといってもよい。
これまで通りに好き勝手言っていても、なんとかなるんじゃないだろうか。ただ、運のよさには感謝すべきだ。