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ジャクソンホールは事前の予想通りの内容 9月利上げ説は後退し円安が若干進行

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「ジャクソンホール」を目前にしてドル円が146円近辺まで急落する場面があった。パウエル議長の発言が全く読めないためにデフォルト通貨である米ドルが買われたと言われている。米国債の利回りも上昇した。結局パウエル議長の発言は従来通りの慎重なものだった。9月の利上げ説は後退し年末にもう一度利上げがあるかもしれないとの説が出ている。ニューヨークの株は若干上昇した。また、円は146円台で推移している。やや円安に進んだのだ。

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FRBの総裁たちからは「利上げは一旦中止になるのではないか」という観測が相次いで出ていた。ただし、直ちに利下げ時期を確定できるような状態でもなさそうだ。明確な打ち止めのサインを出してしまうとそれ自体が意味を持ってしまうため連銀総裁たちの意見も実にバラバラで掴みどころがない。

結局、パウエル議長の発言は事前に予想されていた通りのものだった。極めてタカ派的というわけでもないが利上げの終了を示す「勝利宣言」はなく従って利下げの開始がいつごろになるのかという発言もなかった。中立金利について明言してくれるのではないかという期待もあったようだがそれも示されなかった。

識者たちのコメントも「予想通りだった」とするものが多い。追加利上げはやらない可能性が高くやるとしても9月ではなく11月あたりであろうとの観測をBloombergは伝えている。

結局この動きを受けて警戒モードで下げていたニューヨークの株価は戻った。日米の金利差が開いた状態が続くという予想なので円は146円台を進行中である。

アメリカの金融政策はしばらくこのままであるということは日銀が何もしなければ円安基調が続くということになる。日本サイドはこのところ日銀の総裁の発言と対応について動向を掴みかねている。植田総裁もジャクソンホール会合に出席するためどのような発言が出るのかに注目が集まる。討論会に参加するそうだ。

日銀が金利を上げれば賃金上昇に水をさすことになるが、金利を抑えれば円安を容認し食料やガソリン価格の上昇などを許すことになる。

日銀は日本には根強い抗インフレ圧力があるため2023年のような高いインフレはやがて沈静化すると見ている。賃上げも定着するかはよくわからないと考えられているようである。ただし政策目標に賃上げが入っているため「場合は」と言っている。つまり、政府と企業が今までの慣習を捨ててくれなければこのままの状態が続きますよと警告している。岸田総理がこの忠告をどのように聞いているのか、あるいは聞いていないのかはよくわからない。

日銀は賃上げを伴う物価上昇を重視するが、展望リポートでは「物価や賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く残り続ける場合、来年以降は賃上げの動きが想定ほど強まらず、物価も下振れる可能性がある」と指摘した。

額面で賃金が上昇しても円安が加速すれば実質賃金は低下することになる。

一方で、円安によりインフレが起こりやすくなっているため耐えきれなくなった企業が一斉に極端な値上げに走れば日銀が急激なインフレを抑えきれなくなる可能性があると指摘されている。つまり動向次第で企業の抗インフレ圧力が瓦解してしまう可能性はある。この場合に秩序だったインフレに留まるのかは誰にもわからない。

つまり「企業がこれまでの慣行通りに意思決定し続ければ」賃金が額面でわずかばかり上昇しても実質賃金が下がり続けるという状態が定着することになる。アメリカは今後の展開が見えてきた。景気を破壊しないようにソフトランディングを目指す。一方の日本の対応は今始まったばかりと言えそうだ。今後の不透明感は徐々に積み上がっている。

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