2015年8月30日に国会前で大規模な安保法案反対の集会が開かれた。主催者発表による参加者は12万人だった。野党の党首が4人(民主・共産・社民・生活)が集ったが、必ずしも野党の支持率増加には結びついていない。過去にも盛り上がったデモはあった。2012年に代々木公園に反原発を訴える17万人が集ったのだ。しかし、運動はそのまま失速し、政治状況に影響を与えることはなかった。デモに参加することで達成感が得られたのだろうが、有権者のコミットメントを促す仕組みがなかったのだ。
このような可視化された無党派層は、支持率低下に苦しむ野党にとっては垂涎の的だ。しかし、無党派層の政治参加を促すのは至難の技で継続的な支持獲得に成功した政党はない。
過去、無党派が政治に参加したルートは一つしかなかった。それは「改革」を通じて風を起す事だ。しかし、実際には人々は改革を支持しているのではない。自分たちを出し抜いて儲けようとしている集団に対して、罰を与えるために反対勢力を応援するのだ。罰せられた相手が苦しむのを見ることには社会的報酬があるのだろう。負のコミットメントはあるが、長続きしない。
しかし、有権者が正のコミットメントを持ちたくても、現在の選挙制度はそれを許さない。
現在の選挙制度には問題がある。そもそも小選挙区制で選択肢が少ない上に、有権者が地元の議員を応援してもその議員の主張が必ずしも受け入れられるとは限らないのだ。自民党にはTPP賛成派の議員もいれば、反対派の議員もいる。数の上では反対派が多いのだが(反対議員連盟には240名の参加者がいた)トップが賛成の方針を決めるとそれに従わざるをえなくなった。民主党の中にも護憲派と改憲派がおり、どちらが優勢になるかはそのときの党内情勢次第だ。それぞれに純化運動があり党が割れかねない状態が持続している。
普段から政治的な意見を政治家にとどけるという手はある。しかし、政治家にとっては「個人のご意見」に過ぎない。たいした達成感は得られないのだ。社会的なコミットメントがなければ、継続的な政治参加は望めない。
そこで、有権者が直接党首を選ぶように仕組みを変えてみてはどうだろうか。党首候補者は常にツイッターなどを通じて自分の意見を主張し、これをフォローする仕組みを作る。党首選に参加したい有権者は1000円程度の年会費を支払い一人一票で党首を選ぶ。1000円(あるいは100円でもいいのだが)という負担のないコミットメントは大きなコミットメントにつながる。これをフットインザドアと呼ぶ。
これはAKB48総選挙の仕組みと同じだ。「党首」を選ぶ過程を通じて、政策のセンターを選ぶのだ。野党はプロダクションのようなものだ。AKBも同じように複数のプロダクションの集まりである。バラバラに唱っていたのでは今のようなプレゼンスを得ることはできなかっただろう。
この方法を使えば、野党再編は必要なくなる。AKBを応援するのに指原莉乃がどこのプロダクションに所属しているかを気にする人はいない。
無党派の政治参加が増えて野党連合が議会の多数派になれば、行政府の長を選ぶ擬似大統領制が憲法改正なしで実現するだろう。
現代の政党は幅広い総合デパート型でないと生き残りができない。すると政策の差は縮まり、同じような政党が複数できることになる。で、あれば何らかのイノベーションを起こしてプロセスを改善するしかない。直接の投票で有権者の声を政策に繁栄できる仕組みができれば、優位性を獲得することができるだろう。
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