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中国がイランとサウジアラビアを仲介 アメリカにとっては外交失点に

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イランとサウジアラビアの外交が7年ぶりに復活した。アラブ・スンニ派とペルシャ・シーア派の関係改善は地域の安定化に大きく貢献するだろう。だがその仲介をしたのはアメリカではなく中国だった。習近平国家主席にとっては外交得点となりバイデン大統領にとっては外交失点となりそうだ。

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サウジアラビアとイランが7年ぶりに外交関係を復活

きっかけは2016年だった。サウジアラビアでイスラム教シーア派の聖職者が処刑された。イランではデモが起こりテヘランにあるサウジアラビアの大使館が襲撃された。外交関係が断絶したことで周辺諸国を巻き込む代理戦争が起きていた。

最も緊迫しているのはイエメン情勢だ。イエメンにはフーシ派と呼ばれる勢力が政府軍を攻撃している。イランはフーシ派を支援しているとされてきた。また、サウジアラビアを中心とする連合軍はイエメン政府を支援するためにフーシ派をターゲットにした空爆を繰り返していた。2019年にはサウジアラビアの石油施設がミサイル攻撃を受けている。イランの関与は不明だがサウジアラビアとアメリカはイランが背後にいるものと見ている。

地域の不安定化は地域大国であるサウジアラビアとイランが直接対話できないことが原因になっていたのだから今回の外交関係復活は間違いなく喜ばしいニュースと言えるだろう。


アメリカが仲介できなかった三つの理由

記事は背景については書いていないのだがおそらくは三つの背景情報があるものと思われる

イスラエル情勢の緊迫化

一つは緊迫するイスラエル情勢だ。イスラエルはかつてないほど右傾化しておりイスラム教徒が多い西岸地域で緊張が高まっている。またイランに対しても核兵器開発を阻止するために攻撃も辞さないなどと主張していた。イスラエルはイスラム教国の間の共通の懸案事項となっている。アメリカが暴走するイスラエルを抑止できていないことからアメリカに対する不信感が双方に高まっていたものと思われる。中国はそこに割って入ったのだ。

サウジアラビアのアメリカに対する不信感

もう一つの要因はバイデン大統領の一貫しない姿勢だ。サウジアラビア出身のジャーナリストカショギ氏が暗殺されるとバイデン氏はムハンマド・ビン・サルマン皇太子を痛烈に批判した。サウジアラビアに対しても冷淡な姿勢をとり就任後1ヶ月以上経ってようやく国王に挨拶している。国内支持者向けに「民主主義を擁護する」とアピールしたかったのだろう。

アメリカが石油不足に陥ると一転してサウジアラビアに接近する。サウジアラビアは次第にアメリカから離反しつつあった。サウジアラビアにとってみれば「なんだ結局石油目当てなのか」ということになってしまうからだ。

アメリカの国内情勢

最後の事情はアメリカの国内情勢だ。革命の経緯からアメリカ議会にはイラン強硬派が多くいる。イランは制裁の停止を求めていたがバイデン大統領は議会をまとめきれなかったようだ。単に共和党に反対派がいるというわけではなく民主党内にもイラン強硬派がいるとされている。このためバイデン大統領は一方的にイランが折れるように説得していた。これも最近のアメリカ外交ではよくみられる構図だ。

つまりこの話は中国習近平氏の外交的勝利というより、アメリカの外交的プレゼンスの後退、つまりはバイデン大統領の失敗と評価した方がよさそうだ。問題はこれがアメリカの中長期的な体調を意味しているのか、あるいはバイデン大統領の個人的資質によるのものなのかがよくわからないという点にある。バイデン大統領の個人的資質だとすれば政権交代が起これば再びアメリカは頼れる国になる。だがそうでなかったとすると日本は安全保障政策を転換させなければならないのかもしれない。


外交関係が復活するのは地域にとっては悪いことではない。アメリカ合衆国政府は表向きはこの動きを歓迎している。一方で中国とサウジアラビアが「イランの味方」になってしまうと、アメリカだけが蚊帳の外に置かれる危険性がある。アメリカは核合意に復帰できていないのだ。

関連情報を調べると「イランがサウジアラビアを襲撃しようとしている」という情報がアメリカから出ていた。2022年11月のニュースだ。

確かなことは言えないのだが、アメリカはまずサウジアラビアとイスラエルを修好させようとしていたことからイランとサウジアラビアの関係が改善することを防ぎたかったのかもしれない。この当時からイランとサウジアラビアは水面化で交渉を重ねていた。サウジ当局が疑心暗鬼におちいればイランとサウジアラビアが結びつく可能性が低くなると考えても不思議ではないのである。

今回サウジアラビアとイランが中国の仲介で外交関係を復活させたことで、イスラエルとアメリカが蚊帳の外に置かれることになった。これは石油資源を中東に頼る日本にとっても他人事とは言えない大きな出来事だ。今後バイデン政権がどのように遅れを挽回できるのかに注目が集まる。

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