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薗浦健太郎議員が略式起訴前に議員辞職

薗浦健太郎氏が辞職した。もともとは読売新聞の記者だったそうだが同じ千葉県選出の森英介氏に誘われて政界入りした。森氏が麻生太郎氏と近いため麻生太郎氏も薗浦さんのことを可愛がっていたという。麻生派では外交・安全保障政策に精通し今回の安保3文書でも自民党側の実務者として関わっていた。「岸田政権にとって痛手」と大手マスコミは書いているが、これをまとめていて「とても重要なこと」を見逃しているのだなと痛感した。本来はここで終わりにしてはいけないのだ。

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産経新聞の記事を読むと「自民党は惜しい人を失った」という感想を持つ。政策通で安保3文書の自民党側の責任者だからだ。今後防衛増税議論を通じてキーになるべき存在である。ところが文春の記事を見ると全く違った印象になる。当初は麻生氏の政策秘書として活躍していたが自分がセンセイになると次第に遊び方が派手になった。この二面性こそが今回の事件の最初の着目点だ。

今回の容疑は4000万円ほどのパーティー収入を過小表記していたというものだが「派手な飲食」に使っていたのではないかとされているようだ。当初、自分はやっていないと否定していたようだが、秘書たちは「議員には報告した」と言っており整合していなかった。だが、特捜部からの捜査が及ぶと一転して容疑事実を認めたようだ。一部では情状酌量を期待したのではないかと言われている。略式起訴は本人の同意が前提になっている。公職資格は失うが罰金刑だけで済む。

多くの疑惑と違い今回の事件は週刊誌が発掘したものではなかったようである。私生活が派手なのか選挙区で噂が広がっていたのかはわからない。東京特捜部が秘書に話を聞いているというニュースが広がり、議員が記者たちに応じたのが報道の発端になっている。「誰かが薗浦健太郎議員を陥れるためにリークしたのではないか」と疑いたくなるのだが文春の記事を読む限りは「周囲にわかるほど遊び方が派手になっていたのだろう」という気がする。

仮に産経新聞が書いていることが正しかったとすると政府・議会は安全保障政策に詳しい議員を私生活の派手さで失ったことになる。「上昇志向が強かった記者が政治家に近づき、有力議員の秘書からセンセイになった。嬉しくなって私生活が派手になったところを検察に目をつけられた」というような救い難い話である。

仮にこうした私生活の派手さで突然中核になる議員を失ったとするならばおそらく岸田総理は党内改革を徹底し二度とこうした議員失職が起こらないように努めなければならない。だが岸田総裁がこのような党内改革を行おうとしているというような話は聞かれない。

最近の岸田総理は若干イライラしているようだ。茂木幹事長に「何で言ってねえことで批判されなきゃいけねえんだ」と八つ当たりしたという話も出ている。

また「茂木さんは高木国対委員長の後退を画策している」という話が流れていると書いている。青木幹雄氏が岸田総理に働きかけ茂木さんを小渕優子さんに代えるように働きかけていると書いている。

自民党中枢部は人事に夢中のようだ。

いずれにせよ薗浦健太郎議員は事実を認めた。このため検察と争うことはなく略式起訴ということになった。NHKの記事によると略式起訴には本人の同意が必要だが簡易裁判所による書類審査だけで罰金刑などが求められるだけなのだそうだ。ただし罰金刑でも原則として5年間は公民権が停止される。当然議員になる資格がなくなるので、その時点で失職してしまうのだという。薗浦議員は失職前に辞表を提出した。

薗浦氏はその後「政治不信を招きかねない」として謝罪したという。

この件についてQuoraで書いたのだが「そもそもどのようにお金を使ったのか追求されるべきでは?」と言う極めて真っ当なコメントがついた。納税者が自分達の出した議員歳費がどのように使われているのかに関心を持つのは当たり前のことだ。さらにそもそもこのような杜撰な出納管理をしている人が本当に法律を作って良いのだろうか?という問題もある。

知らず知らずのうちに政局政治報道になれすぎていて「議員がやめたらそこで終わり」という意識に陥ってしまっていたのだなと我ながら反省してしまった。そんなのは間違った常識であって、あるべき姿ではないのだ。

マスコミ報道としてはここで終わりなのだろうが、本当にこんな人が主導して作った方針を増税の拠り所にしてもいいのだろうかと感じた。


参考資料

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