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アメリカの「40年ぶりの物価高」が止まらず、1ドル148円まで下落

金曜日は大きなニュースが多かった。ここではロイターの記事などをざっと流し読みした。今後の展開とイギリスの事情については別途記事を分けようと思う。

9月のアメリカの消費者物価指数は「40年ぶりの大きな伸び」を見せた。この結果アメリカの金融当局が11月に更なる利上げを行うのではないかという観測が急浮上している。CPI全体は8.2%の上昇だがエネルギーと食品を除いたコアが6.6%上昇になっている。Bloombergではコアを主に注目している。

もちろん日本のニュースでは円相場が問題になるだろう。円は1ドル148円まで下落した。今後150円まで下落するのではないかと言う観測まで出始めている。一方でアメリカでは100bpの利上げの可能性が取り沙汰され始めた。75bpはほぼ確実と見られている。中間選挙前の最終発表だったためバイデン政権と民主党にとっては逆風になりそうである。イギリスでは財務大臣が更迭され法人税に関するトラス首相の公約の一部が正式に破棄された。保守党ないからはトラス氏の責任を問う声が出始めている。

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アメリカのCPIが40年ぶりの高い伸びを見せているというニュースは実は2022年の夏にも出ていた。この時はガソリンと食料が物価高の主な要因だだと説明されていた。今回の驚きはガソリン価格の上昇が落ち着いたのにまだ物価高が止まらないと言う点にあるようだ。

バイデン大統領はもちろん「自分達のインフレ対策はうまくいっている」と主張している。だが現実的には物価高の抑制ができていない。今回の中間選挙前の最後の調査発表になるため選挙に悪影響が出るのは間違いがなさそうである。

これを受けて日本では1ドルが147円となり当座の防衛ラインとされていた145円があっさり更新となった。「さすがにここまでくれば介入するだろう」と考えた人も多かっただろうが結局介入はなかった。現在この記事を書いている時点では148円になっているがリリースする数時間後には149円になっている可能性もある。

背景にあるのはもちろん日米の金利格差である。アメリカの先物市場は「11月に1%の利上げがあるのではないか」と言う確率を織り込むところが出てきたという。まだ可能性としては高くないのだが75bpは確実になったと言えるのかもしれない。

日本は現在国債を日銀が買い支えている。暴落の懸念はないが実際はどれくらいの金利が適当なのかはわからないという状態が続く。また日本売りを仕掛ける投機筋は「国債がダメならば円を狙おう」と動いているようだ。ロイターは「円売りが代替取引として注目される」などと書いている。

鈴木財務大臣は「憂慮」を繰り返した。G7で為替介入について大臣なりにアピールしたようだが特にコメントはなかったという。反対がなかったのは好材料といえるが協力を申し出る国もなかったということになる。アメリカだけでなくイギリスもインフレ対策に困難が生じておりクワーテング財務大臣が更迭される騒ぎになっている。国際会議から急遽呼び戻されたという。

表面的にはインフレ・好景気が続いているが「リセッションに入った」という観測があるそうだ。リセッションが始まっているのに物価高は止まらず失業率も低いままという不思議な状況が続いている。いずれにせよ急速な利上げの継続は既定路線となりそうだ。アメリカの株価への影響は避けられそうにないため日本の株式市場にも引き続き少なくない影響がありそうだ。

ロイターのコラムによると日本が為替介入を行う可能性はあまり高くないようである。このため150円視野に入れた展開などと囁かれている。

参考文献

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