今度は「トラス・ショック」でイギリスポンド安

今週は投資家にとって忙しい一週間だった。まずFOMCで利上げが発表された。直後は株価も円相場も動かなかった。次に日本国債の取引が成立しなくなり、さらに日銀が金融政策を据え置いたことで円安傾向が出た。これを防衛するため財務省が24年ぶりの為替介入を行った。実弾は限られている上アメリカの支援は得られないことから「いつまで戦線が持つのか」という状態になっている。またFOMCの結果が投資家に伝わるにつれてニューヨークの株価も落ちている。

ただ連休に入ったため「もうこれで今週はひと段落だろう」と思った。Twitterでは「イギリスが怪しい」という声が出始めていたが「それはまた来週まとめて研究しよう」と思ったのだが、ポンドが下落したそうだ。日経新聞も「下落」を伝えている。






背景にあるのはイギリスの政権交代だ。トラス新首相は代表選挙キャンペーン中に「今後数週間で政策をまとめるが今は具体的な内容については触れない」と言及していた。おそらくたいして思い切ったことはしないのだろうと思っていた。

ところが蓋を開けてみると金融市場には大きな動揺を与えたようだ。「英、大型減税と借り入れ増額へ 市場は動揺 ポンド・英債急落」という記事をロイターが出した。記事が書かれたのは2022年9月24日午前1:26になっている。つまり最新情報ということになる。

減税と大規模な借入で今の危機を乗り切るという計画だがエコノミストや投資家たちは「そんなことはできるはずがない」と考えたようである。ロイターは「クワーテング財務相は英経済成長率を向こう5年間で年率1%引き上げることによって減税分の回収が可能としたが、多くのエコノミストはその可能性は低いと懸念している。」と書いている。

イギリスでは動揺が急速に広がっており「見込みのない賭け(ギャンブル)だ」という非難が出始めているようだ。数時間して「英財務相、ポンド安にコメントせず 減税は「ギャンブルでない」」という記事がロイターから出てきた。

最も懸念されるのはイギリスの中央銀行と政府の関係だ。おそらく中央銀行はこの政策には納得していない。しかしながら「民意」で選ばれたのは議会であり、その議会の代表者の政策は尊重されなければならない。そこで中央銀行の政策委員の一人は「独立した中銀が選挙で選ばれた政府という別の機関と対立する状況は望ましくなく、われわれは困難な立場に置かれている」と苦しい胸の内を滲ませた。置かれた状況には対応しますが責任は我々にありませんよと言っていることになる。中央銀行の積極的な協力は得られそうにない。

この混乱がどの程度続くのかはわからない。だがトラス政権は厳密には「選挙では選ばれていない」内閣だ。選挙で勝利したのはジョンソン首相の政策でありトラス首相はまだ選挙の洗礼は受けていないからだ。トラス氏を支持したのは厳密にはわずか8万人余りのイギリス人の保守党員の一部だけである。

保守党の党首選を采配する「1922年委員会」の委員長、サー・グレアム・ブレイディは、保守党関係者を前に、トラス氏が8万1326票、対立候補のリシ・スーナク前財務相が6万399票を得たと発表した。投票率は82.6%だったという。

トラス英外相、イギリスの新首相に 保守党の党首選で勝利

エリザベス女王が急逝したためイギリスは突然の服喪期間に入り、この間政権は思い切った動きはできなかったのだろう。ただ党首選で約束した通りすぐに対策を明示する必要があった。この性急な動きが「ショック」となって広がったようだ。

いずれにせよ始まってしまったゲームは最後までプレイしなければならない。この動揺が短期に終わるのか、それとも総選挙の前倒しにまでつながるのかは今は誰にも分からない。

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