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北方領土の経済特区創設で吹き上がるおバカな人々

プーチン大統領が北方領土に経済特区を設置したとしてTwitterで騒いでいる人がいる。何を今更……と思った。ニュースは継続的に読んだほうがいい。

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プーチン大統領が北方領土に経済特区を新設した。企業を誘致するために20年間法人税を免除するという。マスコミはこれで日露関係が悪化すると書いた。するとこれを見て騒いでいる人がいる。

  • 安倍総理の外交の結果がこの始末だ。安倍総理は責任を取れ。
  • 岸田総理の弱腰外交の結果がこの始末だ。岸田総理にこのまま任せていると国が滅びる。
  • アイヌ新法を廃止しないとプーチンが攻めてくる。

バカだとは思っていたがこれほどとは……と思った。もともとの結論がありその結論を補強する材料を常に探しているのだろう。マスコミが妙なことを書いているのだろうと思ったのだがそうではなかった。産経新聞の記事を読むと「去年の7月にミシュスチン首相が発表」ときちんと書かれている。この時はプーチン大統領はこれほどの悪者だとは思われておらず従って大した騒ぎにならなかった。9月にも東方経済フォーラムで構想を発表していた。ちょうど菅総理と岸田総理の入れ替えの時期だ。だがこの時に「菅総理の外交の失敗だ」などという人もいなかった。

ちなみにこの時の日経新聞はプーチン大統領は日本にも秋波を送っているということがきちんと書かれている。だが日本側は「プーチン大統領の機嫌をとってうまくやってゆけば主権の問題は棚上げにして北方領土のプロジェクトに参画させてもらえるのでは」という甘い期待があった。今にして思えば「単なる幻想」に過ぎないのだが、おそらくこの時にプーチン大統領が半年後に起こす暴挙を予想できた人もいないだろう。

さらに今にして思えばNATOに対する要求と同じよう要求をしている。つまり、北方領土を解放したらアメリカのミサイルが設置されるのは困ると言っているのだ。つまりウクライナと同じように北方領土を「中立地域」に指定しろと要求したことになる。今にして思えば「戦争を辞さないほど強く要求していた」ことがわかるのだが、当時はそうではなかった。

当時の日本の議論は「まさかアメリカを説得できるはずはないからこの議論には乗れないだろう」というものだったのだが、プーチン大統領の真意をあまり深くは受け取らずなんとなくへらへらと笑いながら「そんなことは無理だよね」などと受け止めた人が多かったのではないだろうか。

だが、この特区がうまくゆくことはないだろう。もともとロシアは北方領土に投資を呼び込もうとしてきたのだがあまりうまく行っていなかった。ロシアの中でも辺境地域にあたるため投資側にメリットがないのだ。2011年の民主党政権下で韓国企業に開発提案をしているという記事が見つかった。韓国は日本のライバルなので韓国に投資提案すれば日本が焦ると踏んだのかもしれない。当時浜田和幸さんが質問を出し、当時の菅直人総理大臣は「知らないわからない」とゼロ回答だった。

今回は経済封鎖が行われているのでおそらく西側先進国がこれに乗ることはないだろう。中国もヨーロッパと仲裁に向けて動き始めているので日本への意趣返しのためというような特殊事情でもなければこの特区に乗るとは思えない。

今回の件は集団無策という状態なので誰も責めることはできない。日本はプーチン大統領を甘く見ており、何も判断せず、今回も落ち着くところに落ち着くだろうと様子見をしている。こんなところで特定の誰かを責めたところで何にもならないということに早く気がついたほうがいい。

ただ岸田内閣の対応は褒められたものではない。すでに非友好国になっているのだが「大変遺憾です」としかいえなかったそうだ。おそらく共産党ならもっと気の利いた罵倒の言葉をいくつも思いつくだろう。一つ相談に乗ってもらえばどうかと思う。

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