ざっくり解説 時々深掘り

平時のマインドを捨てられない政権が日本を滅ぼす時

補正予算案がまとまった。この議論を見ていて「安倍政権も国会も平時のマインドが捨てられないんだな」と思った。もはや批判する気はない。あとは行動の選択肢を増やすことを考えたほうがいい。

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どうやら3月25日の時点で救済策は決まっていたようだ。社会福祉協議会を通して一世帯に20万円を配るというアイディアが新聞に紹介されている。結局4月3日になって「総理のご英断」で30万円に増えたようである。ではなぜすぐにメニューが出なかったのか。

岸田政調会長には二つの配慮があったようだ。時事通信は逆に安倍首相が岸田政調会長に花をもたせていると書いている。

第一に自民党の部会を通すことで「自民党の議員が仕事をした」ように見せてあげる配慮である。自民党議員はここぞとばかりに和牛商品券などのロクでもないアイディアを出す。これを全て聞いてあげることで「自民党で揉んだ」という形を作った。自民党としては言いたいことを言ったし、Twitter世論を通じて叩かれたものは引っ込められた。つまり自民党内部の納得感が優先された。

次に安倍首相と麻生財務大臣のご英断を仰いだ。安倍首相は慈悲深いリーダーシップで一人の額を30万円に上げた。そして麻生財務大臣は地方も困っているであろうから総額で一兆円を配るようにと指示した。時事通信によれば取りまとめをした岸田さんも仕事をした形になった。

ところがこの話が出てきてすぐに経済学者たちは欠陥を指摘し始めた。これがフリーライドされるだろうという。経済学では「いろはのい」なのだろう。

もともと制度設計の基礎にあるのは麻生政権のルサンチマンである。麻生政権は「思い切って庶民に一万二千円を配った」が政権を失った。これが恨みとなって申請型にしたわけだ。「わざわざ申請してもらいに行ったらありがたみが身にしみるだろう」というわけである。実に浅ましい。

おそらくこの一週間の国民のストレスは全て「自民党の顔を立てるための」パフォーマンスだったのだろう。つまり自民党の顔を立てるために我々は疲れさせられたことになる。そしてまたテクニカルな議論が続き我々はさらなる安倍疲れを起こす。さらに制度が運用されれば無用な混乱を招くだろう。

経済停止を伴う新型コロナの経済被害はこれまでにない規模になりそうである。さらに自粛してもらうためには積極的に窓口に誘導しなければならない。すると「福祉のお世話になるのは恥ずかしい」と思っていた人たちを掘り起こす可能性もあるし、経済学者が指摘するように経営者が利用する可能性もある。みんながやっているのだから別に恥ずかしくないという人が出てくるはずだ。

これはおそらくギリギリの人数でやっている社会福祉協議会の事務リソースを食いつぶすだろう。金融機関の窓口を加えても混乱するかもしれない。企業の助成金申請はすでに10万件というオーダーになっているそうである。

ところがこれは全て平時の発想である。つまり役所や金融機関に行ってお金をもらえるという前提がある。しかし、ニューヨークの事例を見ているともはや外出すること事態が現実的ではない。カリフォルニアは早めに外出禁止令を出して被害を少なく抑えたそうだ。日本(少なくとも東京)は今のままでいくと「ニューヨークトラック」に乗る可能性が高い。すると申請にでかけることすらできなくなる。

本来なら「自民党議員の顔を立てるために時間をかける」のではなく「現場が混乱しない方法」を作るべきなのだろう。もっと言えば「平時の発想を危機の発想に切り替えるべきだった。アメリカの報道を直接見ることは誰にでもできる。だがどうやら不要不急の会見を繰り返す総理大臣や、選挙ビデオのような「No三密ビデオ」を流すことしか念頭にない都知事の頭の中にあるのは選挙のことだけのようだ。もはや自分たちの世界しか見えていないのだ。

ただ、もはや我々は安倍疲れ・小池疲れを起こしている余裕はない。

我々は今すぐおかしな時間泥棒的議論から抜け出して、生き延びるための情報を集めはじめるべきだろう。不要不急の外出は控え(散歩に出かけて息抜きするのは構わない)買いだめに走らず(しかしスーパーの物流スケジュールは把握して複数の店舗に行けるように用意したほうがいいかもしれない)いざという事態に備えるべきである。決済手段も現金と電子マネーなど複数用意しておいたほうがいいだろう。最後にまだ持っていないなら信頼できる公的情報を探し始めたほうがいい。パニックにならずにできることはいくらでもあるはずだ。

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