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なぜネトウヨ的マインドセットは世界から嘲笑されるのか

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今回のお題はネトウヨメンタリティは世界に通用するのかというものである。結論からいうとネトウヨ的メンタリティは世界から嘲笑されることになる。大きく分けるとネトウヨが笑われる理由は2つある。

安倍首相がついにアメリカとの間での二国間貿易協定の開始を宣言してしまった。ワイドショーは「とんでもないことになるのではないか」と戦々恐々である。これが日本にとって得になることはないのだろうが、どれほど損になるかはよくわからない。日本は最後の一線を守っているからである。この件は韓国が先行しているので韓国の失敗から学ぶことができる。

韓国は鉄鋼の報復関税を回避するためにFTAの改定を受け入れてしまった。韓国がアメリカとのFTAにコミットしなければならないのは、米軍への依存度が高く経済的構造も日本と比べると単純だからだろう。FTA自体が改訂可能なものになっていたのも問題だった。

日本はFTAのような協定を結んでいない。だから、だらだらと交渉プロセスを長引かせながらトランプ大統領の任期切れまで逃げ切れれば「勝ち」となるだろう。アメリカはすでにこれを見越しており「二段階で成果を受け取りたい」としている(ロイター)のだが、日本はこれに従う必要はない。次の政権を見越した官僚組織も安倍政権には従わないだろう。彼らも長くても3年待ては安倍政権から解放される。

今のアメリカとはいかなる包括的な二国間協定を結ぶべきではないことがわかる。包括的な二国間協定を結んでしまうとアメリカは一方的に攻めてくる。トランプ大統領は選挙で負けると弾劾から逮捕というコースも予想されるので死ぬ気で押してくるに違いない。トランプ大統領の言動は日々その支離滅裂さを増しており、中国を名指しして選挙に介入しているとまで言い出している。トランプ大統領はロシアから支援されて大統領になったという批判があり現在捜査が続いている。そこで民主党は「あのアメリカから仕事を奪っている」中国から支援を受けていると言いたいのだろう。(ロイター)これはネトウヨが「民主党政権も同じことやっていた」と必死で言い張るのにも似ている。

トランプ大統領はアメリカに有利な条件を引き出して「公平でWin Winだ」と喧伝したがる癖がある。これは安倍首相のようなネトウヨメンタリティが自分たちに都合が良いファンタジーを「公平な事実だ」と言いたがるのに似ている。相手に対する共感能力が欠けているという点では共通点がある。

協力を前提として切磋琢磨のための競争がある総体を「社会」とすると、ネトウヨもオルトライトも反社会的である。この反社会的行動は嘲笑の対象になる。トランプ大統領は国連総会で国際社会から嘲笑され、安倍首相はプーチン大統領から突然の提案を突きつけられてニヤニヤと笑ってごまかすしかなかった。どちらも、協力を前提としていない上に自分のやりたいことだけを押し付けようとしたので、拒絶の笑いで歓待されたのである。

彼らは自分がなぜ笑われているかがわからないという点も似ている。トランプ大統領は「自分が笑われたというのはフェイクニュースであって、みんな自分と一緒に笑ったのだ」と言い訳してまた笑われた。安倍首相はプーチン大統領は本気だからあのようなことを言ったのだと言い訳している。

しかし、アメリカと日本には大きな文化的な違いがある。日本人は上下という固定的な関係を前提として関係性を築きたがる。つまり、ネトウヨは安定性を求めている。安倍首相が「ウチ」と「ソト」を分けているというのも同じ動機から来ているのだろう。

だがトランプ大統領は家族以外は信用しない。このように、トランプ大統領もアメリカ社会も安定的な社会構造を作ろうとは思わない。彼らの頭の中には「今利用できる」か「利用できないか」である。利用できるとみなされると賞賛と脅しで揺さぶられる。一方利用できないと中国のように「敵認定」され利用される。賞賛されたとしてもインサイダーになれるわけではない。

安倍首相は「自分が目下になりながらもインサイダーになる」ことをゴールにするのだが、トランプ大統領にはそのつもりはない。だから、関係性を求めて妥協してきたら「もう一押しすればもっといけるのではないか」と考えることなるのだ。

それでもかつては固定的な関係があったではないかという人がいるかもしれない。しかしこれも日本に利用価値があったからである。つまり、共産主義がアメリカ国内にも広がるかもしれない」という恐怖心があり、それを外から守るために東アジアのどこかに基地が必要だった。ただそれだけである。

共産主義の脅威が消え、北朝鮮ともコミュニケーションパスができた今、アメリカが「個々の国と個別に協議することでおいしいところを最大限につまみ食いしよう」と考えるのはむしろ当たり前のことで、実はこのこと自体は驚くことでもなんでもない。

ところが、上下関係を作りたがるネトウヨにはこれが世界の終わりに見える。彼らは自分の中に価値の体系をもっておらず、相対的な体系に依存している。だから体系が崩れると世界が崩壊してしまうのだ。

日本人の中にも「状況が変わったから賢く立ち回ればいいのに」と考える人は大勢いるだろう。だが、世界が終わると思っているネトウヨは「受け入れてくれ」としがみつくことになるはずである。

アメリカは各国をバラバラな状態にして、それぞれからつまみ食いすることを目指している。だが、トランプ大統領はこのバラバラな人たちが団結するという図式は予想していない。アメリカが圧力を強めると、結果的にそれらの国がお互いに協力したりロシアや中国といった別の国と結びつくとは思っていないのだろう。彼らの世界観はエゴ(自己)セントリック(中心)である。例えば韓国を起点として中国やロシアが結びつく図は認知的に理解できないのである。

実はこうした脱アメリカの動きはすでに現れている。前回はFTAで追い詰められた韓国が極東開発に望みを託す様子を観察したがヨーロッパにも脱アメリカの動きがある。どちらも「橋を燃やして」退路を断つわけではなく「バックアップは用意しておこう」という構えだ。

ヨーロッパにはPESCOというEUとは別の防衛の枠組みがある。アメリカがNATOが恫喝しても、別の供えを持っている。日本ではあまり取り上げられないPESCOだが産経新聞の記事を見つけた。

EUをさらに駆り立てるのが、トランプ米政権の存在だ。北大西洋条約機構(NATO)による同盟関係への不安は拭えず、「一国に頼れる時代は過ぎた」(メルケル独首相)との危機感が募る。

一国の運命がかかっているのだからリスクを分散させるというのは当たり前のことである。アメリカはエゴセントリック世界しか見えないが、ネトウヨには関係そのものが見えないという違いがある。ではなぜネトウヨには見えないのか。

安倍首相やネトウヨの人たちのメンタリティは固定的な関係を目指している。前回のエントリーで見たように協力のスキルがなく不安定さに耐えられない。彼らは固定的な関係を作り、対外的にはアメリカに諂(へつら)ってでも内政はアメリカの威光を使って「上」の関係を作りたいと考えているのだろう。しかし、これは結果的に日本が取り得る外交的なオプションを減らし、日本をアメリカとの真っ向勝負に追い込む可能性が高い。

例えば北朝鮮には北朝鮮の政体を維持したい。韓国も朝鮮半島がアメリカのおもちゃにされて核戦争に突入するのを防ぎたい。ドイツはドイツをロシアなどの脅威から守りたい。つまり、彼らは自分たちが何者であるかということを知っており、だからこそそれを保持しようとする。つまり、彼らは自分という起点を持ち、なおかつ自分を起点にしない世界も想像しながら生き残りを図る。

だがネトウヨにはこの起点がないのではないかと思う。彼らは何者でもないからこそ関係性を作ってその中で自分たちを位置づけるしかないのである。そのためには依存する存在と見下すことができる敵が必要なのだろう。つまり彼らは「LGBTより上の自分」とか「アメリカの子分」という関係性で世界を理解しているので、構造が消えると自分も消えてしまうのだろう。

よくネトウヨが日本を破壊するという言い方をする人がいる。これは間違っているのではないかと思う。なぜならば彼らはそもそも自分たちが何者かがよくわかっていない。だからそもそも破壊するという行動に出ることはできない。普通の日本人は「英語が話せるわけでもないし、中国人とも似ていないから多分自分たちは日本人なんだろうな」と思うだけだが、ネトウヨは常に「中国より偉い自分たち」という関係がないと日本人を規定でいないのだ。

この関係を作ってからことを優位に進めようというマインドセットは憲法改正でも破綻しつつある。自民党は公明党と事前に協議した上で憲法改正案を提起しようとしていたようだが、これを公明党に拒否された。公明党は創価学会というはっきりとした総体を持っているのでこれを守ろうとする。彼らが守りたいのは創価学会なので自民党が利用できるときには利用する。憲法改正は保守派同士の内輪揉めなので彼らはそこに一つ線を引いているということになる。(毎日新聞

いずれにせよ、守るべきものがわからないのだから、彼らの行動はいずれは敗北することになる。彼らにできるのは何もしないことと、彼らが考えている世界に浸ってそこから出てこないことだけだ。

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