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才能のない安倍首相は思い切り開き直って、過疎地域を抱き込んで心中するべきだった

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二日間に渡る不毛な審議が終わった。個人的にはかなり興味を失っている。結局「言った言わない」の話にしかなっていないからだ。安倍首相が個人的なつながりを使って特区を悪用したことは確かで、これは健全な市場経済と民主主義を著しく歪める。

が、そんなことはみんな書いているので面白くもなんともない。ここで思ったのはもし安倍首相が「縁故主義の何が悪い」と開き直ったらどうなっていたかということである。安倍首相は嘘をつく必要がなくなるので、野党は攻撃ができなくなる。今の仕組みでは利害関係者は選定に関われないということになっているようなのだが、忖度が横行しているので安倍首相が直接関わらなくても加計学園が選定してもらえただろう。安倍首相はそれほど困らなかったはずである。

安倍首相はお友達に便宜を図りたかった。しかし、バレると怖いので加計学園は申請に関わっていないことにした。このため、本音と建前が錯綜し話が複雑化し、大騒ぎになったせいで支持率が低下した。しかし、野党が騒いでいるのは「安倍が嘘をついた」ということだけなので、嘘さえつかなければ判断がつかない国民はすぐに興味を失ったはずである。

すっかり忘れ去られているが、戦略特区は成長戦略の一環だ。都市圏ではそれなりの事業者がおり、特区はそれなりに進んでいるようだ。しかし、それでは地方は救えない。特区を作っても税金の援助などがなければ誰も過疎地域には見向きもしないのである。加計学園が医療・福祉系に目をつけたのは、国家助成が多いからだろう。国家助成が多いから、官庁も慎重になるのだ。

すると、加戸前知事が正しいということも言える。確かに、大学を作ろうとしても文部科学省の審査が面倒なのは確かだ。加戸さんは文部科学省のOBというインサイダーだったのにも関わらず難しいのだから、外国からの資本や中小の人たちが新規事業などを開始するのはほぼ不可能だろう。

今回の議論で、特区だけでなく大学を作ろうとなると、事前に何回もご相談に行かなければならないということがわかった。新設時にはどこの大学の相談にも乗っていると文部科学大臣が認めている。京産大にはここまで丁寧に接していないという点を脇に置いたとしても、大学の新設がいかに難しいかということがわかる。が、そうしないと持続可能性のない業者ばかりが集まってしまうのだろう。最近では通信制の高校への名義貸しなどが問題になっている。これも生徒数を確保するために、高校卒業資格を必要としていない生徒が在籍したように見せかけている。

加戸さんは「利権を持っているのだろう」と決めつけていたが、多分それだけではないだろう。大学が失敗すると文部科学省は責任を取らされる。国会で追求され、裁判を起こされる。それを恐れているのではないだろうか。

その意味で、維新の会はいいことを言っていた。文部科学省に挙証責任があるがそれに失敗したから認めないと仕方がないと決めつけていたが、確かにその通りだ。過去に加計学園が作った学校の偏差値が50に届かない程度で、加計学園が「隠れ浪人してもとりあえずこの学校に入ればいいですよ」と主張して学生を集めていても、獣医学部だけは例外で、立派な獣医をたくさん育てるかもしれない。つまり、未来のことは誰にもわからない。だから、文部科学省が監督する必要がなく自己責任でやってくれといえばよかったのである。

もちろん、こうした特区は大失敗するだろう。あまり財政状況のよくない加計学園はリスクを冒してでも新しい学部を作らないと首が回らなっているようだ。だから、もう政治家を抱き込んで心中するしかないのだろう。それほどまで困っていない人たちは既得権益を守りながらぼちぼちやって行こうかと思うはずだし、外資の人はこんなにわかりにくい割に市場も縮小しつつある国で新規事業をやろうなどとは思わないだろう。つまり、特区は困窮した企業ばかりを惹きつけるはずだ。が、それでも構わない。沈没するのは今治市だけだからである。

労働規制にしてもそうだ。いろいろなところで「外国人を農業労働者として導入したい」という要望が出ているそうだ。つまり、安い労働力に依存しなければ産業が維持できないような地域が多数あるのだ。が、やってみればいいと思う。多分、どんなに規制しても他業種へと人が流れるだろうし、闇労働市場もできるだろう。さらに地域住民との軋轢もあるかもしれない。それも自己責任である。

そう考えると、これは責任の問題だということがわかる。安倍首相は自分がリーダーシップを取って岩盤規制をぶち破るなどと格好の良いことを言っているが、縁故を隠し、部下に嘘をつかせ、責任を担当官庁に押し付けようとしている。これを全部引き受けて官邸と困窮する地方で勝手にやれば、中央政界の政治的リソースを消費することはなかったのである。

実際に中国はそのようなやり方をしている。強いリーダーがいて、全てをとり仕切る。文句をいう政敵は粛清するが、自分たちも失敗すれば粛清されるという世界である。韓国も大統領ごとに親類がいい思いをし、終わると粛清される。自殺した大統領もいる。

安倍首相は頭があまりよくないのか、民主主義的なルールを遵守して市場経済を活性化させるような方策を思いつかなかったようだ。さらに、加戸さんが言っているのは「俺は文部省のOBだから特別扱いされて当然なのに奴らは俺を無視しやがった。だからなんとしてでも俺のメンツを守ろうとして首相の縁故を使ったのだ。それのどこが悪いのだ」ということだ。

今治市は高速道路網から切り離されてしまい半島化が進んでいる。そんな土地に進出する企業も大学もない。特区を作ってもアイディアが集まるのは都市圏ばかりである。だから地方で産業を起こすためには、補助金目当てで筋の悪い事業者と一緒に地元住民を騙して土地と金を出させるしかなかったのである。

多分、今回の特区が認められれば加戸さんは「今治市で世界的な先進教育が行われるのだ」という夢をみつつ人生を全うできるだろう。後始末をするのはその後の世代である。日本にはそういう地方がたくさんあり、このような老人がたくさんいる。

安倍首相は衰退する地方と一緒に沈んでゆくしかない。経済を成長させることに失敗した上に後継者も自分たちで潰してしまったのだから、それはもう仕方がないことなのだ。

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