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安倍首相の末路

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最近、安倍首相を証人喚問しろという話を目にするようになった。籠池前理事長を晒し者したことが記憶に残っているのだろう。が、現職の首相を証人喚問することはなかなか難しそうだ。いろいろな権限を持っているので、安倍さんを守ってくれる人も大勢いるに違いない。
そもそも安倍さんが優秀な人たちから庇ってもらえるのはなぜだろうかということを考えてみた。結局のところそれは人事権限に行き着く。つまり、安倍首相のことを悪し様にいうと人事で報復するのでみんな口を閉ざしてしまうのである。これは安倍さんが生まれ持った資質ではないので、いつかはなくなってしまうことになるだろう。
人事権限がなくなってしまえば、隠れていた記録や不満がどんどんと表に出るということになる。内閣府は青年将校化していて、様々な役所で「首相のご意向」を傘にきて「赤信号を青」にしてしまう。日本人は嫉妬深く、誰かから無理やりに意思決定を強制されるのをとても嫌う。頭のいい人たちは多分記録を残していることだろう。
安倍首相から人事権限を取り上げることはできないのだが、いつまでも首相でい続けることもできない。つまり、いつかは人事権を手放さなければならない。後継者が安倍首相のシンパならいうことはないだろうが、複数の派閥がある自民党では安倍首相の影響力のない首相が誕生することも考えられるだろう。
つまり、首相でなくなったとたんに安倍首相の手元には何も残らなくなってしまうわけで、そこで証人喚問をすればその行為の違法性を次から次へと暴露することができることになる。
実は同じことは東京都で起きている。石原慎太郎元都知事が晒し者になったが、これはもともと都議会議員が「一方的に騙された」ということにするためのお芝居と言える。都議のなかにも「おこぼれに預かった」人たちがいるだろうが、自己保身のためにこのようなことが起こるのだ。石原さんはなんとなく放免されてしまったが、その部下だった人は偽証が確定した。偽証は確定したが、だからといって何かが変わるわけではなかった。豊洲に移転するか築地に残るかという議論はまだ続いているし、結局誰が何を間違えたのかについてもよくわからない。
政権交代が起これば、前の政権のやっていたことを否定することができるのだから、こうしたお芝居を打つ必要はないかもしれない。が、政権交代がないと却って「俺たちは必要なことを知らされていなかった」と表明する必要が出てくるのだ。つまり、安倍首相が不法な行いをしていたのかそうではないかということとはあまり関係がなく、説明責任が果たせない時に、個人のせいにしてしまおうという圧力が働くことになる。
日本人は強いリーダーシップを嫌うのにはいろいろな原因があるのだと思うが、一つには権力の座から降りても村落共同体から離れられないという事情があるのだろう。このためのちに恨まれるのを恐れて、あまり強いことは言わないのだ。
そのために頭の良い「強いリーダー」たちは出口戦略を考える。それは自分たちを後継してくれる人を見つけてその人に権力を禅譲してしまうのだ。小泉首相は安倍首相を指名して自ら政権を降りてしまった。もう一つ大きかったのは小泉竹中路線というようにプロキシーを立てて自分が全てをかぶらないようにしていた。橋下徹氏も松井知事との共同であり、自分の後継の市長を指名し、しばらく関係を持ったのちに離脱した。このようにそろそろと抜け出す方法を考えないと、かなり面倒なことになるのは間違いがない。
安倍首相が晩年晒し者にならないためには今から出口戦略を作る必要があるのだと思う。がもうその時期はすぎたのではないだろうか。政権担当当時からそれなりの作戦が必要なのだ。あとは、首相の座に立て篭り続け、のちに晒し者としての人生を送るのを覚悟しなければならない。
首相を晒し者にしても何も変わらないわけだが、面白い見世物にはなる。今からどんな証人喚問をするのかを楽しみにして、疑惑のリストを作っておけば良いのではないかと思う。これまでさんざんイライラされされてきたのだから、かなり面白い見世物になるのではないだろうか。