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Googleの採用がもうわけがわからない件

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Googleではマネージャーが採用権を持たないという記事を見つけた。ということで当然人事部が採用権限を持っているんだろうなと思って読んだのだが真逆だった。どうやら一緒に働くことになるチームが全体で採用の可否を決めるらしい。
このライフハックの記事は「マネージャーが採用圏を持っている」ということが前提になっている。外資の経験があるので少しは状況がわかるのだが、ドメスティックしか経験していない日本人には「そもそも意味がわからない」という人が多いのではないだろうか。
アメリカの会社では(多分アングロサクソン系はどこでも)現場が採用権をもっていて随時採用を行っている。これは仕事について重要なスキルは現場が一番よく知っているからである。当然経営も現場の一つなので経営者を決めるのは経営者ら幹部だ。そして経営もプログラミングと同じように「学校」がある。
このため、繁忙期に面接が集中し人事部がパンクするということはない。日本では現場を知らない人事が大慌てで採用をするため、どうしても「ある一定以上の大学を卒業した人たちを効率良く何名以上集めてこい」というのが至上命題になってしまう。あるいは広告業界のように「周りに同調性があって根性のある人を連れてこい」みたいな会社もある。
すると学校側も「どんなスキルを持った人が必要かがわからない」ということが起こる。そこで学校教育がそもそも無効になってしまうという構造的な欠陥があるのだ。人事の人と話をしていても現場を知っているわけではないのでさっぱり概要がつかめない。人事が知っているのは「こういう人はすぐに辞めちゃうな」程度のことで、現場が必要なスキルがわからないのだ。にもかかわらず経営者が「大学は即戦力になる人を供給していない」というような文句を政治家に言う。すると、政治家も「地方の大学は職業訓練校にすべきだ」などと言い出す。が、経営者は「安く使い倒せて根性のある人がたくさん欲しい」というくらいの認識しか持たないので、教育についての議論がだんだん荒れてきてしまうのである。
今回憲法との絡みでいくつか教育の話を書いたのだが、よく考えてみると「どんな教育が競争力のある人材を育成できるか」ということが全く伝わっていないのだなあと思った。そもそも日本の会社は「どんな人材が会社を強くするのか」ということがわかっていないのである。それは当然で現場の人の声を聞かないからだ。
もちろんGoogleのようなやり方がどんな会社でも通用するとは思えない。なぜならGoogleには優秀な人が集まるので、たいていの人はマネージャーとしての視点が持てるはずだからだ。日本の会社はさらに一周遅れている。マネージャーといってもマネージャーとしての教育を受けさせていないので、経営的な視点が持てず、採用にまではとても手が回らないだろう。
経験上、現場にマネージメントを任せた結果、非正規雇用者の中抜き(安く「調達」して経費をごまかす)を始めたという事例を見たことがある。そもそも忙しすぎて採用どころか寝る時間がないという人が多いのかもしれず、もはや引き返せるレベルではないのかもしれない。