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山本地方創生担当大臣の失言

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しばらくぶりにTwitterを見たら、今度は内閣府特命担当大臣(地方創生・規制改革)が炎上していた。学芸員をガン呼ばわりしたらしい。話題に事欠かない内閣だなと感心する。
門司の出身ということで、もう九州から国会議員を出すのは禁止したほうがいいんじゃないかとすら思ってしまった。九州の男性は仲間内だと気が大きくなって荒っぽいことを言ってしまうのだろう。乱暴なことをいう人が男らしくて大物だという文化があるのかもしれない。
多分、本人に聞けば「ほんの軽口で悪気はなかった」とか「言ってみただけ」というのではないかと思う。地方創生大臣は組織間の調整なので利権に結びつくような「意思決定」がなく、故に何か言っても別に全体の意思決定には響かないと考えてしまうのかも知れない。
実際には大臣の発言はそれなりに「忖度」されるだろう。さらに実際にプロジェクトが成功するかは現場の細かな調整で決まるはずである。だが、山本大臣は自分の発言の影響力がよくわかっておらず、大臣としての役割も自覚していないのではないだろうか。山本大臣が大臣の資質に欠けることは明らかだ。
大臣ポストは名誉職化しており。これといった見識や実績がなくても年次で割り当てられる。これを改めて政策を実行したい人や実績のある人が大臣を勤めるというような選抜方法に変えるべきだ。さもないと、いつまでも舌禍事件はなくならず、そのたびに現場の人たちが「自分たちが切られてしまうのではないだろうか」という不安に晒されることになる。
確かに法に触れたわけではないので、議員辞職したり、大臣の仕事を辞める必要はないと思う。しかし、関係者の心を傷つけ不安な思いをさせたことは確かなので、罰として、今後大臣を辞めるまで、毎週支持者の集まりに行くのをやめて、学芸員の現場を見学するのを義務付けるべきではないだろうか。
だが「自分にはたいした影響力はない」と考えるのは何も山本大臣だけではない。例えば、安倍首相は北朝鮮にはサリンロケットを飛ばす能力があると国会で発言した。サリンがどんな毒物なのか日本人にはよく知られているので「北朝鮮は怖い国だ」という印象を付けたかったのだろう。しかし、そんなことが言えるのは「実は半島情勢は大したことにならない」と考えているからではないだろうか。もし、懸念があれば不用意な発言はできなかったはずである。
その証拠に、週末にはお花見パーティーを開催したようだ。つまり、北朝鮮の脅威をあおってはいるが、実際には「そんなことは起こらない」と考えていたことになる。この判断にはいくつかの根拠があるらしい。第一にアメリカは自国民を韓半島から退避させておらず攻撃の意思はないようだ。また、アメリカの艦隊派遣には相場観があり「これくらいだと脅しているだけ」ということが分かるとのことである。
だが、安倍首相は半島の情勢に影響力を持ってしまうという可能性を失念している。日本は国際的にも有数の軍事的プレゼンスを持っており近隣諸国への軍事的脅威になりうる。日本がアメリカと協働して(あるいは単独で)どう動くのかは誰にもわからないのである。
海外メディアは安倍首相の右傾化について興味を持ち始めているのだが、本人は「単なるドメスティックな支持者へのジェスチャー」くらいに思っているのではないだろうか。だが、一連の発言を外から見ると「再軍備を進めるのではないか」と捕らえられても不思議ではないような過激な発言になっている。それが逐一報道されているのだ。
つまり「どうせ自分たちにはたいした影響力はない」という認識から無責任に威勢のいいことをいうマインドセットを「居酒屋根性」と呼びたい。
山本大臣が「居酒屋大臣」であることは間違いがない。多分ネットで発言が炎上すればすぐに謝ってしまうのだと思う。また野党はすぐに「辞任しろ」と言うだろう。つまり、辞めたり謝ったりすれば問題はなかったことになってしまうのだ。だが、それでは問題はなくならない。繰り返しになるが、山本大臣は大臣を辞めるまでの間学芸員の働く現場を訪問し続けるべきだろう。
記者はこの発言を受けて「大臣は学芸員を何割削減すべきと考えるか」ということを聞き、それは内閣の一致した意見なのかということを確認すべきだろう。大臣の発言は政策を反映したものでなければならないのだから、それは当然のことで、これができないなら記者失格だろう。
人生をかけて働いているかもしれない人を公の場で屈辱したのだ。それなりの責任をとらせるべきだろう。