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佐川さんが壊れた日

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佐川理財局長がついに新しいシステムを発明した。理財局には一定時間がきたらデータが自動的に消えるシステムがあるのだそうだ。
この話の面白みを味わうために、パソコンがどうやって文書を記録するためにはどうするのかをおさらいしておこう。コンピュータは文書データとは別にそのデータがどこの番地に入っているかを記憶している。いわゆる「ゴミ箱をきれいにする」というのはこのアドレスを消して「ここには別のデータを入れていいですよ」と再宣言することを指す。Macの古いOSには確実にゴミ箱を空にするというオプションがある。これはアドレスを消すだけでなく、ファイルがあったところに意味のないファイルを書き込むのだそうだ。つまり、復元できないようにファイルを消す方法というのは存在する。
ということでシステム的には、文書の日付を洗い出して毎日「確実にゴミ箱を空にする」コマンドを実行すれば良い。簡単なスクリプトでは作れないがプログラミングとしてはそれほど難しいことではないだろう。このほかにもSSDを使うという方法もある。SSDはファイルを複数の場所に保存しているようで、いったんアドレスを消してしまうと、文書がバラバラになってしまう。これに暗号化を組み合わせると、ほぼ復元ができなくなるそうだ。
ということで「特別なシステムを構築した」というのは、技術的には対応可能で、多分それほどの費用もかからない。しかし問題はそこではないのではないか。
そもそも、文書は何のために保存するのだろうか。テンポラリの備忘録として保存しているという人もいるだろうが(例えばブログを書くためにアイディアをまとめたものはブログを書いたら必要なくなる)最終成果物は誰かに見せたり、後日検証するために必要だからとっておくのであろう。企業だと「言った、言わない」にならないために途中経過も含めて情報は残しておくはずだ。
理財局の職員が趣味で構築したのでない限り、予算を受けてシステム構築しているのだから、国会の承認を受けているということになる。ということは国会は「何かあったときに検証できなくてもいいですよ」と許可してしまったということになるだろう。つまり「勝手に何かやってもいいよ」という認可を与えていることになる。理財局が扱うのは債権を含む国有財産らしいので「国の財産をどう処分したのか途中経過がわからなくていい」などというお人よしの国会議員などいるはずはないし、本当にそんな制度になっているのであれば、それを設計した責任者を処分すべきだ。
もちろん、そんなことはありえないわけで、佐川さんはそれくらいの理屈もわからないほど追い込まれているということになるのだろう。多分、消えているのは過去の文書ではなく、佐川さんの理性なのではないだろうか。
サーバー型のメールサーバーだと、過去のメールを溜め込む不届きものがでてくることがある。自分のハードディスクスペースが占有されないために「ま、いいか」と思ってしまうようだ。このためメールを消してゆくという運用をしている会社はある。佐川理財局長はそのようなシステムを念頭に置いて「データが消える」と言っているのかもしれない。
しかし、そのようなシステムになっているとしたら、途中経過を文書にして残して置いておくべきだ。多分「メールが一定時間で消える」システムでも、別のメールデータが上書きされない限りはハードディスクの復元ができるだろうが、それはあまり意味のない議論ではないかと考えられる。国会というのはシステムがわからない人同士がわけのわからない議論をやっている場所なのだということがよくわかる。