最近、YouTubeで動画ばかりを見ている。アメリカ人の子供が外国の食べ物を体験して様々なリアクションをするという他愛もないものだ。
日本食編では、生卵のかかった発酵した大豆、生魚、魚のケーキ、緑色の激辛スパイスなどが出てきてその度に子供達がしかめっ面をする。その他にもエチオピア、フランス、フィリピン、インドネシア食のバージョンがあって、アメリカ人の子供達の悪戦苦闘ぶりが面白い。
これを見てアメリカ人の食の間口がこんなに狭いのかと驚いた。と同時に日本人はとても食の間口が広いんだなあとも再認識した。
間口が広い最大の要因は、発酵食品、生魚、生卵など生の食材が食べられるということにありそうだ。これに海藻類やエビなどが加わる。流通や市場が発展していないと傷みやすい食料は普及しないはずだ。ビデオの中では「これは生魚なんだよ。調理してないんだよ」というセリフがある。普通の国で調理していないものを食べると体を壊してしまうのだ。
アメリカ人の子供に一番人気だった日本食は天ぷらなのだが、これはもともとは西洋由来だろう。つまり日本人は古くから西洋の食事を受け入れたためにアメリカに行っても困らない。同じように麺料理はアジア圏に広がっているのでアジアを旅行しても何か食べるものは見つかる。アメリカ人は、魚醤を使ったフォーを気持ち悪がったりするわけだが、日本人には馴染みのある調理方法だ。
明治期に入って日本人は肉食を受け入れ(これはかなりハードルが高かったのではないかと思うのだが)さらに昭和の終わりごろから平成にかけて韓国やインド料理が流入した。つまり激辛料理も体験したことになる。動物の内臓にも拒絶反応はないので、残っている食べられないものは、昆虫、牛やアヒルの頭、ワニやカエルくらいだろう。
このように日本人が食べ物に対して並々ならぬ関心を持っており、関心を持つだけでなく日本流にアレンジしてでも取り入れてきたのには間違いがなさそうだ。だから外国からのレストランをそのまま受け入れる余地があり、食の豊富さにつながっている。ミシュランガイドに載っているレストランが多いのはもちろん料理人が優秀だという理由もあるのだろうが、日本人の食に対する間口の広さが原因の一つになっているのではないかと思った。