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「千葉市は既成事実ができたら建物つくっちゃうんですかっ」について

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先日来、豊洲問題を見ているのだが、面白いツイートを見つけた。千葉の熊谷市長が「減価償却とかいろいろ考えたらもう豊洲に移転するしかないだろ」とツイートして、豊洲移転反対派が反発していたのだ。ちゃんと読んでないのでどういう理由で豊洲を正当化したのかはわからない。でも「問題ってそこじゃないんだよな」と思った。背景には千葉と東京の明確な違いがある。それは当局への信頼性である。
豊洲の意思決定が膠着している原因は一つではないと思うのだが、大きな要因に「誰が正しいことを言っているのかよくわからない」という点がある。日本人はあまり統治に興味がないので普段はお任せで政治に関与している。逆にいままで観察をしていないから、何か疑念が生まれても何をどう評価していいかわからない。わからないなら意思決定を延期しようというのが一般的なリアクションだと思うのだが、今度は豊洲移転推進派が「放射能マグロが埋まっている」とか「ネズミが出る」などと言い出したためにますますわけがわからなくなっている。
こうした気分にいるときに、「千葉市は一旦決めたらそれを推進するのか」という突っ込みは理解できないことはないのだが、千葉市がたどった経緯を確認してからこの問題に戻りたい。
千葉市は東京からの流入者に農地や漁村を売って一攫千金を果たした人たちがたくさんいた。このため、土地は儲かるという図式が生まれる。そこで住宅地の造成をしたのだがバブルが弾けたこともあり大きな損出を出した。こうした不祥事を別会計でごまかすというようなことをしていたが隠しきれなくなり処理をめぐって大きな騒ぎが起きた。
しかし自民党は反省せず、中央省庁出身の市長を担いだままで利権を手放さなかった。政令指定都市だからというだけの理由で立派な建物を建てた。大きな図書館も作ったが「さいたまに負けてはいけない」と、近隣の政令指定都市なみになるようにというだけの理由で建てたようだ。最終的に市長が収賄容疑で逮捕されて「ああ、これじゃいけないんだな」ということになった。
もともと市議出身だった市長は土地整理組合の問題などを処理した。そのときに東京の小池知事や大阪の維新のように派手な歌舞伎政治は行わなかったし、石原さんのように別のプロジェクトを持ってきて隠蔽しようということもしなかった。とにかくお金がなかったし、これ以上借りることもできなかったのだ。
例えば、3つあったゴミ処理施設の1つを廃止せざるをえなかった。老朽化していたので建て替えをする必要があったが、その費用が捻出できなかったのだ。そのために市がやったのは市民を啓発してゴミの量を減らすということだった。結局ゴミの量を1/3削減することに成功した。
さて、最初の疑問に戻る。確かに千葉市は既成事実化したら建物を作るとは思うのだが、それまでにかなり綿密な議論をするはずだ。その背景にあるのは過去の失敗と「ああ、これではいけないなあ」という反省だ。熊谷市長がえらいというわけではなく、そうするしかないのだと思う。これがなんとかなってしまう東京との大きな違いである。
東京都は優良な企業を抱えていて将来の税収に不安がない。そこで問題と向き合うきっかけになる危機がなかったのだろう。石原慎太郎さんの喚問を思い出してみていただきたいのだが「東京が財政危機なってみっともない」という認識のもと、築地の土地を売ったり、オリンピックを言いだしたりして隠蔽を図った。千葉もそうしたかったのだろうがお金がなくできなかったのだ。
千葉から東京をみると「最終的にみっともなかったのは誰か」というのがよくわかる。東京都民は多分「このままでもなんとなかる」と思っているのだと思うのだが、もしかしたら、そう思っているうちはこの騒ぎは終わらないのかもしれない。