関税戦争においてアメリカ合衆国は中国囲い込みに傾いており日本政府は対応に苦慮している。公明党の斉藤代表が訪中し石破総理が国家主席宛に親書を手渡したとされているが、中国側からも親書が来ていたようだ。公式発表はなく共同通信の「独自情報」になっており日本政府が扱いに苦慮している様子がわかる。
これについて論評しようと考えたのだがふと「そもそも二者択一を突きつけられた日本人はどちらを取るのか」と考えQuoraで聞いてみることにした。
トランプ大統領の関税政策には異なるいくつかの思惑が混在している。ベッセント財務長官がウォール・ストリートを代表してトランプ関税を止めに入ったがこの時に「問題は中国なのだ」と指摘したことでさらに話がややこしくなってしまった。ベッセント氏は今や「中国との話し合いは可能」とウォール・ストリートに対して釈明しており、これを受けて株価は一転反発した。
中国は中国で貿易戦争をやめなければ多くの企業が倒産し新卒人民が路頭に迷うことになるが、習近平国家主席も振り上げた拳を降ろせずにいるようだ。お互いにとってメリットのない「戦争」だが仲介者もなく落とし所は見つかっていない。
関税政策は中国製品封じ込め策なので当然日本も中国からの輸入品をストップする必要があるだろう。100均は崩壊し、安いPCの部品なども手に入らなくなることが容易に想像できるため、個人的には「やめてくれ」と思う。だが、港で中国製品を荷解きし「メイドインジャパン」に偽装することは難しくない。中国製品を排除するためにはアメリカの貿易国すべてに中国製品を諦めさせるしかない。
石破総理はおそらくアメリカ合衆国を刺激しないために「これは公明党と中国共産党の政党間のやりとりです」という言い訳を考えているのだろう。いかにも日本的なやり方だがアメリカ人はおそらくこの手の言い訳を「ずるさ」の表れと考えるはずである。つまり日本人が相手を刺激しないようにと配慮すればするほどアメリカ人は反発する。
日本政府は明らかに対応に苦慮しており公式発表はしないつもりのようだ。記者から問い詰められるのを避けることができる。代わりに外務省幹部の話として中国を自由貿易の盟主と認めるわけにいかないと主張している。石破政権は斉藤代表に親書を託しているのだから、外務省の言い訳はいかにも苦しい。
日本政府は、自由貿易体制を重視する立場から中国の通商政策を問題視してきた経緯がある。中国側の呼びかけに対し、外務省幹部は「中国が自由貿易の擁護者であるかのような主張は事実と異なる」として警戒する。
【独自】中国、米関税で日本に親書 石破首相宛て協調呼びかけ(共同通信)
格下赤沢大臣はトランプ大統領の前でMAGAハットを被って見せたが、一部では「屈辱的」「朝貢外交だ」と反発の声が出ているそうだ。毎日新聞が記事にしており、TBSの竹岡記者も霞ヶ関・永田町での反発について言及していた。
アメリカ合衆国政府は万人闘争状態になっているため、直ちにアメリカ政府が「中国かアメリカか今すぐ選択せよ」ということにはならないだろう。そもそも交渉担当のベッセント財務長官が中国との貿易戦争突入を阻止する考えを見せておりウォール・ストリートのバックアップもある。
いずれにせよ、日本が「アメリカか中国かどちらかを選びなさい」と突きつけられる日が来ることは覚悟しておいた方が良さそうだ。アメリカにも頭が上がらず、中国ともこっそりと付き合いたい石破政権が毅然とした態度を取れるとは思えないが、一般の日本人がどちらを選びたいのか、できるだけ多くの人の声を聞いてみたいと思っている。
おそらく、このまま事態が進めば「影でこっそりとどちらともうまくやってゆく」ということはできなくなるはずである。デカップリングを食い止めるために毅然と立ち上がるか、どちらかにつくか、あるいはどちらとも距離を取るか、さまざまな意見があるのではないだろうか。