中高年にとっては「ああやっぱりな」という感じの動きだが、新聞を読まない世代の人達は不思議に思っているのではないか。普段は「財源財源」と言っているのになぜ選挙前になると気前のいいはなしが出てくるのだろうというわけだ。
そもそも配るなら取らなければいいのにというのが率直な感想なのではないか。
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今、マスコミでは「国民に対していくら配るのか」という報道が盛んに出ている。朝日新聞は所得制限なしに一律5万円だと書いている。またFNNは4万円だ、いやいや10万円ではどうだということになっている。さらに時事通信でも3万円の一律給付と伝わる。
明らかに選挙前の国民買収提案だが各メディアともに「アメリカの関税政策で経済対策が必要になった」との説明を右から左に流している。
新聞を読んでいる世代は「政府・自民党・公明党は所詮選挙のことしか考えていない」ということがわかっていてこれらの記事を読んでいる。しかし、新聞に慣れていない人たちはこれを額面通りに受け止めるかもしれない。だから「配るくらいなら最初から取らなければいいではないか」と考える。
しかし本当の狙いは買収なのだから「取ってから配らなければ意味がない」のである。さらにさまざまな記事を読むと自民党の議員たちが消費税減税に反対している理由もわかる。消費税増税のたびに政権が倒れたという経緯があり「自分たちが政治的コストをかけて勝ち取った既得権だ」というこだわりが強いようだ。
中高年世代は何となく背後にある理屈がわかっているが現役世代は「配るくらいなら取らなければいい」と考えるが、そうした議論が新聞などで交わされることはない。結果的に「新聞を読んでも政府が何を考えているのかわからない」ということになり、政治不信とマスメディア不信が増幅してしまう。
さらに政府は市場の仕組みもよくわからなくなっているようだ。国民買収のためには物価を下げる必要があるが当然資本主義・自由主義の我が国では国家が物価の統制などできるはずもない。
そこで農林水産省は毎月備蓄米を放出することに決めた。これも一種の国民買収策だ。だが目の前で高いコメが売れるのに(価格が二倍になってもコメを買わなければならないと考える人は大勢いる)わざわざ安い値段でコメを売る業者がいるとは思えない。結果的にコメの価格は高止まりを続けている。
ただし政府にとっては朗報もある。
アメリカ合衆国が中国を除く国の関税政策を90日間延期することを決めた。ベッセント財務長官の狙いは非関税障壁(政府の補助金)と通貨政策だと言われていたが、日本はダラダラと交渉を先延ばしすることができる時間的猶予が生まれた。
読売新聞によると赤沢経済再生担当大臣は「どの市場をアメリカに明け渡すことができるか」とカードをかき集めている状態だそうだが、農林水産大臣経験者の間には抵抗する動きが出ていたようだ。おそらく赤沢大臣に茂木氏のようなタフな交渉は無理であり石破総理大臣も党内をまとめることはできないだろうが少なくとも破綻は90日間は延期されることになった。
この時間的猶予があるうちに中国やヨーロッパとの「作戦タイム」を持つことができる。財務省は「日米交渉」ではなく各国との連携を求めてゆく考えだ。交渉力を持つためには合理的な判断だろう。
三村財務官は米関税措置から日本を除外するよう求めていくと強調。対応を巡っては、日本単独だけではなく「各国が連携しないと効果がない」とし、二国間や多国間の枠組みで緊急に情報共有を重ねていると述べた。
三村財務官、米関税は経済に悪影響「緊張感持ち適切対応」-3者会合(Bloomberg)
公明党が中国を訪問することになっており石破総理大臣は書簡を託すとされている。アメリカ合衆国から一方的に時間を区切られ焦って変な取引を結ばされるよりはマシな状況が生まれている。