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トランプ関税のアメリカへの影響と日本が持つ「核爆弾級」の武器

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トランプ大統領の「解放の日」の波紋が広がっている。アメリカの株価は290兆円が吹き飛んだそうだ。自民党・公明党政権は対応に苦慮しているが実は核爆弾級の武器を持っている。アメリカ合衆国の経済を簡単に吹き飛ばすことができるがおそらくボタンを押せるリーダーは日本にはいないだろう。

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アメリカ合衆国の労働市場は「椅子取りゲーム」状態になっている。インフレに対応するためには転職を繰り返すしかない。音楽が鳴っている間は踊り続ける必要があるのだが離職したものの次の仕事が見つからないという人が増えていた。

今回の「解放の日」ショックでは290兆円の資産が吹き飛んだと報道されている。誰も逃れることができないと嘆く記事がBloombergに出ている。S&P500は調整局面(つまりまだ景気後退が決まったわけではない)入りした。このためアメリカ合衆国の家計が持っている資産が圧迫され他国以上に大きなダメージが出そうだ。リセッションの確率は半分程度になったという人もいる。つまり100%景気後退が起きるというわけではないがそれなりに確率が上がっているという状態。

貿易戦争の全容が明らかになるとカナダもヨーロッパもそれなりの知恵を発揮している。過去の教訓などからブロック経済化は好ましくない事がわかっている。また報復関税はそれぞれの国の国民に対する課税なので「経済対策」としてもふさわしくない。このためマクロン大統領は「アメリカへの投資を控えるように」とメッセージを調整している。カナダも全面戦争は行わず「限定的に」対応する。

イギリスの中央銀行総裁を勤めた経験もあるカーニー首相のメッセージは非常に参考になる。報復の連鎖を抑えつつ「アメリカに依存できる時代は終わった」という明確なメッセージを発出している。

別のエントリーで分析したようにトランプ大統領が間違いを認めないのであれば、各国はアメリカ合衆国をできるだけシステムから切り離す事によって自国に混乱が連鎖しないように努める必要がある。

その意味では日本にもカードはある。これでもかなり売ったそうだが、実は米国債を大量に保有している。

現在アメリカ合衆国議会は債務上限問題を話し合っているが目処が立っていない。このため政権幹部は債務上限問題が解決しなければ6月頃に資金が切れると議会に強く働きかけている。

このため「こんなことはやりたくないが自由貿易を撹乱し続けるならば保有米国債を処分せざるを得なくなる」とアメリカ合衆国に働きかけることは可能だ。

ただし実際に発動してしまうとおそらくアメリカ合衆国の財政は壊滅的な被害を受ける可能性がありしたがって日米同盟は維持できなくなるだろう。カードとしては核爆弾級ということになる。日本国内をまとめ上げ「ギリギリの交渉」ができるようなリーダーがいなければ交渉はできない。

残念ながら石破総理にそのような度量を求めることは期待できそうになくそれに代わるリーダーも出てきそうにない。日本はただただ指をくわえて今の状況を見ているしかないということになりそうだ。

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