共同通信の世論調査の結果が出た。石破政権の支持率が27.6%に急落している。背景にあったのは商品券問題だ。
商品券の何が悪いのかと言われても説明できない人がほとんどだろうが「言語化されない日本人の気持ち」を大きく動かしたようである。
支持率急落の背景にあるのは日本人特有の嫉妬心だろう。
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主な設問の結果は次のようになる。概ね庶民感覚で説明できる。
高すぎる万博は手が届かないものと考えられており国民は反発している。負担増につながる高額療養費の引き上げ見送りは評価されている。また一部が恩恵を受けるに過ぎない私立高校無償化は反対の声のほうが大きかった。自民党が政治とカネの問題を解決できると考えている人は少数派。そして商品券配布は問題だと考えている人が多い。
だが「商品券配布の何が問題なのか」と聞かれて明確に答えられる人はいない。刑事事件には発展しないものと見られていて「法律の問題」ではなさそうだ。
おそらく背景にあるのは「国会議員だけが商品券をもらえるのはずるい」という感情なのだろうが「だったら自分たちにもよこせ」と言っているのはれいわ新選組だけ。れいわ新選組を支援してしまうと「自分もさもしい人と思われかねない」と考える人も多いのではないだろうか。日本人にはこうした無意識の抑圧もある。
嫉妬心はありつつも「さもしい人」とは見られたくないという気持ちが高まると「相手が何かをもらうのを阻止したい」と考えるようになる。これをスパイト行動という。
別の説明もできる。日本人は古来「お金を誠意やねぎらいの気持ちの現れ」と解釈してきた。石破総理が一年生議員に金券を配ったのは「ねぎらい」の気持ちからであると解釈できる。しかしこれは有権者から見れば「自分たちはねぎらってもらっていない」と裏切られた感覚になってしまうのである。
ただし「お金によって誠意を示す」という感覚は次第に理解されなくなっているようだ。一年生議員たちは商品券に戸惑いを覚え、秘書たちも「後で自分たちのせいにされては困る」と考えたようである。一部の議員たちが茂木敏充氏(アメリカでの経験がありかなり合理的な考え方をする人だ)に相談し報道につながったとの指摘が出ているそうだ。
高齢の自民党支持者たちが「自民党は有権者に誠意を示していない」と考え岩盤支持層を割り込むような動きが起きているとも考えられるが、こうした気持ちの変化を比較的若い人たちは理解できないのかもしれない。
たかだか商品券問題でなぜ政権支持率が急落するのかよくわからないと戸惑う人も多いのではないかと思うが、現実的には世論を大きく動かしている。日本の政治は合理的な政策ではなく「お気持ち」で動くのだ。
これを一発逆転するためには「誠意の気持ち」として国民に10万円配るしかないのだが、当然選挙のたびごとにお金を配るわけにもいかない。
フジテレビは盛んに「玉木総理待望論」を煽っている。リベラル(立憲民主党)が政権を取ることに対する警戒感があるのだろう。番組での指摘に小川淳也幹事長はこう反論したそうだ。
野党の一部には、政党支持率が野党トップの国民民主党の玉木雄一郎代表を首相候補とした上で、野党連合政権の樹立を目指す声もある。小川氏は「あらゆる可能性を排除するわけにはいかない」としつつ、「与野党第一党の党首が最も有力な首相指名候補というのは、潜在的に前提とすべきだ」と語った。
玉木首相論に「与野党第一党の党首が前提」 立民・小川幹事長、内閣不信任案には慎重姿勢(産経新聞)
ただ自民党は何度も野党(細川・羽田・鳩山・菅・野田)と他党党首(社会党の村山富市氏)に失敗を経験させて政権に復帰している。政治が「有権者のお気持ち」で動いているのだから時々政権を手放して過去の失敗を忘れてもらうしかないということになるのかもしれない。