最近、トルコ経済は落ち着きを取り戻していたが、再び株・通貨・国債のトリプル安に見舞われている。エルドアン大統領が政敵のイマモール氏を拘束したのが原因だ。イマモール氏は大学卒業資格も取り消され(大統領出馬の要件なのだそうだ)エルドアン大統領のあからさまな政敵潰しだということがわかる。トランプ大統領とプーチン大統領の再接近が周辺国の政治に直接的・間接的影響を与えている。
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トランプ大統領はすっかりプーチン大統領に夢中になっている。内外の様々な報道からアメリカが民主主義養護政策を放棄したのは誰の目にも明らかだ。この影響が周辺国に広がっているのかもしれない。プーチン大統領はホッケーの試合を通じてアメリカとの友好関係の再構築を模索している。
プーチン大統領は過去にもソチオリンピック(2014年)でマイルド路線を強調したことがある。時間稼ぎをして体制を整えその後ウクライナに襲いかかりクリミア半島を強奪した。日本に対しても北方領土返還をちらつかせて支援を引き出したことがある。誰の目にも明らかな「偽装平和工作」に苛立ちを募らせる人は多いが、間違いを認めないトランプ大統領が歴史から学ぶことはない。プーチン大統領は自身の政権基盤を固めるためにスポーツや文化交流を国威発揚と国際平和を両立させる便利な道具として利用している。
トルコのエルドアン大統領は次々と政敵を粛清し首相権限を強めてきた。しかしながらトルコはNATO加盟国でもありあからさまな民主主義潰しはできない。ところがトランプ大統領は大陸国家化を志向しNATOからの段階的撤退も視野に入れている。BloombergがNBCの報道を引用している。最高司令官のポストを放棄するのではないかというのだ。まだまだ「思いつき」レベルである可能性は残るがヨーロッパと決別しロシアとの宥和政策を取っている現れなのだろう。
これは大統領権限強化を狙うエルドアン大統領にとっては好機といえるだろう。民主主義といううるさいハエを追い払い経済的利益だけを追求できる。
しかしながら市場の反応は当然ネガティブなもので通貨・株・国債のトリプル安を通じてエルドアン大統領に懸念を伝えた。
もう一つ動揺している国がある。それが韓国だ。尹錫悦大統領の弾劾宣告の日付が決まっていない。朴槿恵大統領の弾劾においても4人の死者が出ている。すでにトランプ大統領の政治姿勢(北朝鮮を核保有国に認定し韓国を関税対象国として適ししている)に動揺が広がり、進歩系野党とメディアは反米感情を煽っている。さらに李在明代表に有罪判決が出される可能性も極めて高いとされており進歩系野党に不利な状況も生まれている。
最高裁判所がなかなか日付が決められないのはおそらくは大統領にとって不利な判決が出される可能性が高いからだろう。とはいえ進歩系野党に肩入れしているとも思われたくない。
トルコ・韓国ともに中進国から先進国入りした中堅工業国だが、政治風土に大きな問題を抱えている。報道から政敵のイマモール氏も李在明氏も「スネに全く傷がない」わけではないようだ。
トランプ大統領とプーチン大統領の最接近は様々な形で周辺国の政治の脆弱性によって生まれたヒビを亀裂に変える働きを持っているといえるのかもしれない。