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反安倍がお金になる時代

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一時期、ジャーナリストになりたい人が「愛国的な」文章を書くのを見ることが多かった。もともとマスコミの中に安倍さんたちの陣営からお金をもらっているような人たちがいて「俺もああいう風になりたい」と思ったのかもしれない。しかし、あまりページビューが伸びなかったのか、次々となくなっているように思える。
自民党の候補者本部に行ってみるとわかるのだが、自民党はクローズな政党で、イチゲンさんが入れるような雰囲気はない。もともと利益集団の集まりなので、個人を受け入れる土壌がないのだ。このためお抱えの安倍応援団たちもフリーということはありえないのではないかと思う。
ところがオリンピック競技場問題以降面白い動きが起きていると思う。建築評論家みたいな人が専門的知識を駆使して問題を暴いた。こうした問題がテレビに「売れる」時代になったのだ。競技場問題で「どうやったら専門知識が売れるのか」ということを学んだらしく、豊洲ではより戦略的になった。
それを受けて森友学園の問題が浮上した。もともとは朝日新聞あたりの発信だと思うのだが、フリーの著作者と思われる人が、Twitterで問題を煽りながら独自に資料を集めてマスコミに流し始めた。「ほとんどの時間がアポイントメントなどで取られてしまう」という嘆きのツイートを見たことがあるのだが、それだけ需要があるということなのだろう。いったん火がついてしまえば、理事長の「味のある」キャラクターのおかげもあり材料がいくらでもでてくる。
皮肉なことにこういう需要が生まれるのは、安倍政権側が大手マスコミを「押さえてしまった」からである。大手マスコミは機動力があるので、本来ならばフリーの人たちは太刀打ちができないはずだ。しかし、彼らが怠けているせいで、ネットジャーナリストとかフリーの人たちがお金を得る素地ができている。これに集まるのはジャーナリストだけではない。例えば演劇集団が愛国小学校の説明会に行ったという記事を読んだのだ「有名になりたい人」たちが群がり始めている。
すべてのマスコミ人が潤っていればフリーの立場で忙しい思いをしながら独自取材などやる必要はない訳だ。しかしマスコミの収入は先細っており、従って記者たちも仕事にあぶれるようなことが増えているのだろう。同じように自分でネタを探さないとと思っている人がたくさんおり、結果的に炎上が起こりやすくなっている。中にいる人たちは組織の原理に逆らわないようにしながら政府を賞賛して生きゆくしかないのだが、いったん外に放逐された人は需要のある文章を書くことができるのだ。
つまり、お金で意見を抑えることはできるのだが、すべての人を買収するわけには行かないということになる。そればかりか安倍政権側がお金をかければかけるほど、耐性菌のようにこうした火種は増えてゆくことになるだろう。
政府が「経済はうまくいっている」と言い張れば言い張るほど、それに反発する人が増えてゆく。加えて原発が嫌いな人や、法律や憲法をちゃんと遵守したい人、日本が国際的な責任を果たすべきだと考えている真面目な人たちをすべて敵に回しているので、観客も日に日に多くなっている。
お金をもらっている人たちは無理筋の理論を振りかざして「黒を白」にしてゆく。例えば弁論の才能に恵まれた橋下徹元大阪市長などが典型だ。彼らには庶民に太刀打ちできない才能があるので、我々のような一般庶民は黙って見ているしかない。
しかしやはりそれは庶民感覚とはずれている。応援団が「安倍は悪くない」と言い募れば言い募るほどそれに反発する人が増えてゆく訳だ。つまり、彼らはお金を払ってこういう人たちを増やしているとすら言えるのである。
今や体制礼賛側はレッドオーシャンになっているのでフリーが参入する余地はないものと思われる。かつて体制側(もちろん自民党が野党だった時代はそうではなかったのだが)で発言していた人たちも距離を置き始めているのではないだろうか。
これが政権打倒につながることはないだろう。前回の小泉政権後にはこうした「ぐだぐだ」とした状況が3年続いた。最終的には選挙に踏み切る時期を逃した末に歴史的な大敗を喫することになった。前回の主役たちは統治能力のない大臣たちだったのだが、今回は私物化を狙うお友達になるのかもしれない。