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自民党が選んだのは維新? 予算の年度内成立に大きく前進

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改めて国内政治は人間関係(政局)でしか動かないのだなあと呆れている。呆れてばかりいても仕方がないので経緯だけを簡単にまとめたい。石破総理は前原共同代表と仲が良いが、大阪で維新と公明党は敵対関係にあるという背景を理解したうえでご覧いただきたい。

議会が国のあり方の議論に全く関心がなく自分たちの議席さえ守れればいいと考えていることだけはよくわかる。ただ国民の側もそれを織り込んでいて「勝利政党がなければ議会はバーゲンセールになる」と学びつつある。

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以前、石破総理は安倍政権のレガシーを破壊しようとしているのだという白鳥浩氏の見解をご紹介した。しかし維新との協議がまとまりそうになると同時に自民党が松本元会計責任者の証言に「あれは聞くな」「日時も伝えるな」と抵抗してきた。松本氏に徹底的に語らせないことで週刊誌ベースの報道などを警戒しているのだろうなあと思える。結果的に参考人招致のスケジュールは延期されることになりそうだ。安住予算委員長が審議をどうハンドリングするかについては伝わってきていないが立憲民主党の内部には日程闘争政党とは見られたないという意見がある。

結局、聴取は延期になってしまった。

国民民主党は徹底抗戦したほうが参議院選挙にトクになると考えているようだ。「こちらは急がない」としたうえで満額回答を目指すことにした。公明党は参議院選挙を見据え有権者に関心が高い年収の壁議論で存在感を示そうとしていると毎日新聞は書いている。しかし、国民民主党側は「本当に存在感を示したいならば自分たちに協力せよ」と「協力」を迫っている。20日に継続審議となった。

国民民主党は公明党に踏み絵を迫っている。

結果的に年収の壁の議論では自民党単独案に国民民主党が難色を示すということになっており、高校無償化においては自民党・公明党・維新の間で協議がまとまりつつある。公明党は「無償化」議論には乗るが、財政健全化の議論には協力しないということになる。つまり各党とも「バーゲンセール」状態になっている。

勝利政党がない状態では有権者に対するバーゲンが行われる

政策がなく人間関係(政局)で決まる政治に個人的には非常に不快感がある。なんとなく民主主義は政策ベースであるべきだという固定観念があるからなのかもしれない。

実際に眼の前で起きていることを見ると「あれもこれも実現したいが負担も増やしたくない」という都合の良い議論が行われていることがわかる。国民も政治には関心を示さなくなり「無償化」と「減税」にばかり着目するようになった。

国民経済と人口の縮小が避けられないと仮定するならば必要なのは制約された状況で何かを選び何かを手放すというトリアージュであると考えられる。米の問題も消費者にとっては高すぎるが生産者にとっては低すぎるという問題があり「両方を満足させるためには何らかの妥協が必要」という状態だ。

政策なき政策では有権者が「特定の政党を勝たせすぎさえしなければ嫌なことは避けられる」と学んでしまい何も決められない状況が生み出されることになる。結果的にインフレ対策と脱デフレ対策が混在し現実に対処できない状況が生まれることとなり衰退が加速することになりかねないという事がわかる。

アメリカではトランプ大統領が自動車関税の導入を決めた。今の段階ではこれが津波になるかはわからないのだが、通貨政策を非関税障壁とみなすのではないかという説も囁かれている。自動車産業の不調は自動車工場に依存する地域に壊滅的なダメージを与えるだろうが、加えて金利上昇による「ゾンビ企業」の倒産連鎖なども起きるかもしれない。

日本の自動車メーカーへの影響について、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、25%の関税賦課は2025年度のトヨタ自動車の営業利益ガイダンスの約3分の1、ホンダでは半分弱に相当すると推計している。

トランプ米大統領、自動車や医薬品などに25%前後の輸入関税の可能性(Bloomberg)

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