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アメリカにも事情はある – 「安倍首相が年金資金の使い込み」を心配する前に

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最近、GPIFという文字を盛んにタイムライン上で目にするようになった。安倍首相がトランプ大統領に年金資金を貢ぐかもしれないということを懸念している人が多いようだ。個人的には安倍政権は狂っていると思うのだが(どうやら本気で立憲主義を骨抜きにして教育勅語のように国民に訓示する憲法にしたいと考えているようだ)投資についてはまた別の見方をしている。
今朝、カリフォルニアの共和党がトランプ政権にある申し立てをしたというロスアンジェルスタイムスの記事をみつけた。

California Republicans ask Trump administration to block bullet train funding

ブロックとなっているが実際には「オーディットが終わるまで保留にしてほしい」ということらしい。記事を読むといくつか問題があるようだ。

  • まず、建設費の高騰が予想されている。トランプバブルが起こり始めているのかもしれない。東日本大震災とオリンピックで建築資材が高騰したのを見てわかるようにバブルが起こるとプロジェクト予算が膨らむことがあるのだろう。最初の着工期間だけでも大幅な増加が予想されるそうだ。
  • 一方で資金が不足しているようだ。プライベートな資金は「もっと割の良い」プロジェクトに流れるようである。
  • このことからオーディットなしで資金受け入れしてしまうと、結局最終的にカリフォルニアが穴埋めしなければならなないかもしれない。そこで「ちょっと待て」と言っているのだ。

これはたまたま目にした記事なので必ずしもアメリカの全体像をつかんでいるとは言い難い。しかし、これだけでも次のようなことがわかる。

  • アメリカは公共事業ブームが起こりかけており、投資のチャンスになっている。つまり「年金を使い込むな」などというと、却って国内で資金が塩漬けになるかもしれない。アベノミクスが失敗してしまったので国内には投資機会がないのだ。
  • しかしプライイベート資金は割の良い投資に流れてしまい、後から入った貸し手は「ババをつかまされる」かもしれない。
  • さらに借り手の方も「どんな条件の資金か」がわからないのにどんどんお金が入ってくるという状況を恐れている。予算だけが膨らみ負のレガシーだけが残るかもしれない。

ここからアメリカの投資は有望ではあるが「かなりの目利き」が必要になることがわかる。有望なプロジェクトだったとしても予算が膨らめば資金回収ができなくなる。最初は有望であっっても結果的に全部がこげつくかもしれない。

安倍首相はトランプ大統領の関心をつなぎとめることと、なんとかして競争力を失いつつある国内インフラ(精緻すぎる鉄道とか、時代遅れになりつある原子力発電所など)を売り込むことにしか関心がない。もう安倍首相はGHQ将校に群がるパンパンのようにしか見えないだが、気に入ってもらうためには化粧品を買い込む必要があり、そのために家族の金を使い込まないといけないような気分になっているのだろう。だが、そうして作った資金を連邦経由でばらまくとするとかなり痛い思いをしそうだし、最終的な受益者(返済者でもある)は迷惑するだけだろう。

カリフォルニア版新幹線などと言うといかにも儲かりそうなのだが、カリフォオルニアの列車駅はたいてい街から外れたところに作られている。通勤列車が1日に数本しか走っていないというような路線も多い。飛行機と車があればどこにでも行けてしまうので列車は必要ないのだ。「環境保全」という名目があったのだと思われるのだが、ここまで加熱が予想されると慎重にならざるをえないだろう。

冷静な判断力を失っている安倍政権に変わって、民進党あたりがしっかり勉強して精査するべきなのだろうが、もはやTwitterで昨日仕入れた情報をドヤ顔で質問するくらいのことしかできないようだ。

もともとアメリカはドルを印刷して富を買い込み、負債を国債にして外国に押し付けるようなことをしている。日本は使えない資金(富と労働を売渡した結果として借用証書を大量に持っているのだ)を溜め込んでいる。これをアメリカに投資してインフレ分を補填するのは悪いことではないと思うのだが、全体が複雑で、追求するにしてもかなりの勉強が必要になるだろう。

結局、与党も野党も歌舞伎かプロレスをやっているだけで、本当に必要なことをやるつもりはないのだろう。政府と「独立機関」の間の関係もぐだぐだなので、結局国民の不安が払しょくされることはないということになる。

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