8,800人と考え議論する、変化する国際情勢とあいも変わらずの日本の行方

石破総理の「楽しい日本」は単なる高度経済成長期自慢だった

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

代表質問が始まったが「中居・フジテレビ報道」と「トランプ氏が好き放題にやっている」というニュースがテレビを占領する状態になっていて国会についてはほぼ何も報道されていない。

予算を巡る取引は「議場の外」で行われるため国会議論では政治とカネの問題が中心議題になっている。そんななか、Quoraであるコメントを聞いた。そのコメントを念頭に石破総理の楽しい日本構想について聞いたのだが「ああ、これは高度経済成長世代の自慢話なんだなあ」と感じた。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






国際報道では「トランプ氏好き放題」のニュースが目立つ。トランプ大統領はガザ地区からパレスチナ人を一掃してリゾート地にしたいようだ。「ひどい話だ」とは思う。スーダンでも人道危機機が起きているのだがこちらは語られることすらなくなった。

国会では代表質問が始まった。

各党の間でそれぞれ協議が始まっており大切なことはそこで決まるだろう。例えば維新と自民党の間では高校教育無償化の議論が進んでいるのだが私立を含めるか公立だけを支援するかで意見が別れているようだ。学校教育の市場原理をどう維持するか(=多様な教育をどう確保するか)という議論は行われず「支援の額=税金の投入額」の議論に堕落しているのが特徴だ。

立憲民主党は政治とカネの問題にこだわっている。「今そこなのか?」とは思うのだが石破総理のいう「楽しい日本」の実像が伝わってこないため批判のしようもないという状況である。

中国が日本の失われた30年化を防ごうとしているというニュースをQuoraで紹介したところ現役世代の恨み節のようなコメントがいくつかついた。政治に期待はしていないが当事者意識もなく「散らかした奴ら=バブル組がゴミを片付けるべきだ」と冷淡なコメントだった。彼が氷河期世代なのかポスト氷河期世代なのかはわからないが、政治的リソースもなく政治的な議論をするスキルもないのだからこのような感想以外は持ちようがないのかもしれない。

そこで氷河期世代は高度経済成長期世代の「バブルは良かった自慢」を散々聞かされてきたのだなあと思い返した。ReHacQ SPの石破総理の番組を見たのはその後だった。

1時間超の長尺の割にほぼ中身がないので「ぜひ見るべきだ」とはおすすめできない。要するに石破総理は「高度経済成長期は良かったよ」ということを繰り返している。就職氷河期世代に属する高橋弘樹氏は一応「具体的にどうするんですか?」と聞くのだが石破総理は「高度経済成長期はみんな楽しかった」「みんなが楽しくすれば社会も楽しくなるんだ」「だから万博は意地でも盛り上げようと思う」と繰り返すのみだ。暖簾に腕押し、糠に釘である。

氷河期世代はバブル組の自慢話を「そんなん知らねーよ」とうんざりしつつ聞き続けてきた世代だが高橋氏は自分からお願いして首相公邸に乗り込んでいるのだから「そんなん知らねーよ」とも言えずにいるようだ。番組の最後の方で若いスタッフに「あなた達はカセットデッキは知らないでしょう」と自慢する一説が出てくる。それこそ「そんなん知らねーよ」だろう。VHSとベータを知っていることがそんなに偉いのかと思われるのが関の山である。

石破総理は党内の議論をまとめる意欲を完全に失っているようだ。ReHacQの夫婦別姓の議論は時事通信に転載されている。石破総理自身は別姓推進派だが党内の保守政治家の手前「通称」でもいいと考えているようだ。ただし議論は早く片付けたい。おそらくどうでもいい話なのだろう。

政治とカネの問題はもっと深刻だ。おそらく党内には企業献金に依存している政治家が多いのだろう。政策活動費が制限されパーティー収入も途絶えてしまっているのだから、ここで企業献金までで失うわけには行かないということなのだろう。それでも何らかの妥協はしなければならないと考えているようだ。1000万円を1000万円以上に書き換える変更を行ったそうである。ほとんどやる気が感じられないが「とりあえずこれで一度出してみよう」ということになっている。

立憲民主党も特に画期的な日本再浮揚の政策を持っているわけではない。安倍派のもと会計責任者を国会招致して政治とカネの問題を長引かせたいと考えている。

現在の政治課題は個別のイシューにあるのではないという気がする。どの政治家もそれなりに筋が通った風なことは言っている。しかし、国民の諸課題に関しては「どこか上の空」と言った状況で党勢拡大・維持にばかり目が行っていると言った印象。

その意味では編集なし・プロンプターなしの石破総理のインタビューはそれなりに意味があったのかもしれない。石破総理の「暖簾に腕押し」「糠に釘」な感じがよくわかる。「ああこの人と話をしてもしかたないな」ということがよく分かるのだ。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで