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日本化する中国経済 若者世代は節約志向を高める

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REUTERSが「アングル:節約志向強める中国Z世代、経済成長にリスク」というコラムを出している。バブル崩壊後の「就職氷河期世代」と似たようなマインドセットだ。

中国政府はこの日本化を恐れているようで「政府の支援により消費ブームが来ている」と報道している。節約志向=デフレマインドが国家経済を数十年単位で冷え込ませると知っているのだろう。

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中国には月光族と呼ばれる極めて消費意欲が高い世代がいた。

この状況は、いわゆる「月光族」世代の浪費的な態度とは対照的だ。月光族とは1980年代から90年代生まれの世代を指す。

アングル:節約志向強める中国Z世代、経済成長にリスク(REUTERS)

日本もバブル世代と呼ばれる消費意欲が旺盛だった人達がいる。しかしバブルが崩壊すると次の就職氷河期と呼ばれる世代の人たちは「バブル世代は浪費に走ったバカ」とみなすようになる。おそらく中国でも同じような事が起きてくるのではないかと思う。

就職氷河期世代は実際に賃金上昇が望めずその後も経済格差に晒され続けている。そして政治や社会には関心を向けず自分たちの選択を責め続けている。

就職氷河期世代は浪費に走ったバブル世代を馬鹿だと考える。一方で就職氷河期世代を見て育った日本の新世代は「消費は罪悪だ」とさえ考えるようになった。これがよく現れているのがNISA貧乏だ。将来不安を感じて消費を控えて投資を増やしている。結果的に賃金が上がっても消費が増えず潜在的な不安を抱え続ける。TBSの新しいデジタルブランドであるCrossDigはこの言葉を盛んにバズらせようとしているようだ。年始からバズれば流行語大賞も夢ではない。

日本の状況は極めて興味深い。日本人の新世代は「素直で優しい人」た多いため就職氷河期の問題を「自分のせいだ」と考える傾向が高い。このため自分の選択を責め続けメンタル的に追い詰められてしまう人も多いようだ。匿名で社会に当たるときには極めて他責傾向が強いとされる日本人だが「自分の問題」に関しては強い自責傾向を持っている。

各政党も当事者たちの優しさがわかっている。選挙のたびに「就職氷河期対策」を打ち出す。しかしその総括をしたという話は聞いたことがない。仮に総括してしまうと野党から「無能だ、政権担当能力がない」と責められるだけに終わってしまう可能性もあるだろう。

結果的に日本人は政府の打ち出す対策に興味を持たなくなってしまった。30年にわたる「調教」の成果だ。

石破総理が楽しい日本・楽しい社会を打ち出したが、マスコミはほとんどこの問題について取り上げなかった。代わりに「野党にどう迎合するか」「トランプ大統領にどうへつらうか」ばかりを議論し続けている。

中国政府は「失われた世代」がその後の国家経済にどのような影響を与えるのかをよくわかっているのだろう。消費刺激策を打ち出し若者の消費意欲を喚起しようとしている。

しかしながら、中国のZ世代が「政府に統制されたマスコミの言うことを信じてもバカを見るだけ」と判断すれば、中国も本格的に日本のような失われた数十年に突入することになるのではないかと考えられる。

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